食欲の秋。夏が過ぎ、涼しくなって食欲を取り戻す方も多い中、たくさん食材が旬を迎えます。
秋に旬を迎える魚といえば秋刀魚です。昔から日本の秋の味覚を代表する秋刀魚とのペアリングといえば、ビールや日本酒、というイメージが強いかもしれません。しかし、実は秋刀魚はワインにも合わせやすい魚なのです。
今回は秋刀魚の味わいに合うワインについて解説し、秋刀魚を使用したレシピと秋刀魚とのペアリングにおすすめのスペインワインも紹介します。
秋刀魚とは?
秋刀魚はダツ目秋刀魚科の海に住む魚です。日本の秋の味覚を代表する魚のひとつで,刀に似ているところから、秋刀魚の字が当てられるようになりました。ダツやサヨリ、トビウオなどの仲間で、体は細長く,下あごが上あごより少しだけ長いのが特徴です。体の後部に背びれとしりびれがあり、それぞれに数個の離れびれも付いています。背側は青黒く,腹側は銀白色に輝くところが刀を思わせます。
秋刀魚の餌はプランクトンで、ほかには小さな甲殻類や稚魚などを食べ、成長すると全長40cmに達することもあります。通常は外海の表層を群れになって泳ぎますが、内湾の奥に迷い込むこともあります。なにかに驚くと水面上を弧を描いて跳ぶ習性もあり、夜は灯火に集まる性質もあり、集魚灯を使って大量に漁獲されます。
生息域は北太平洋の広い範囲にありますが、日本近海が主な生息域です。日本近海の秋刀魚は千島,サハリンから九州,沖縄付近までと日本海がおもな生息域です。太平洋側では,春から夏にかけて北上し,オホーツク海にまで行きますが、秋になるとびっしりと群れをつくり,親潮に乗って南下します。それに伴い、秋刀魚の漁場は8月末~9月初めに北海道から始まって南に移っていくのです。秋刀魚の漁に適した水温は14~18℃で、群れが東北から関東の沖合を通る10~11月が漁の最盛期となります。
秋刀魚は晩秋に旬を迎え、もっとも脂が乗って美味しくなります。新鮮で脂の乗った秋刀魚は、身に張りがあり黒目の周りが透明で、ずんぐりと太め。また、口先が黄色いものは脂がのっている証拠です。
秋刀魚にはバランスの良い必須アミノ酸を含んだ良質のタンパク質や鉄分、粘膜を健康に保つビタミンA、骨や歯を作るカルシウムとその吸収を助けるビタミンDなど、たくさんの栄養が含まれています。また認知症予防や中性脂肪、悪玉コレステロールを減らす効果があると言われているDHA、抗血栓作用があることで注目されているIPAも含みます。
また、大根おろしには、焼き魚のこげに含まれる発ガン物質を分解する酵素(アミラーゼ)が含まれていて、味も含め秋刀魚の塩焼きにはうってつけなのです。
秋刀魚の味わいに合うワイン
秋刀魚は実はワインにも合わせやすい魚です。料理法を変えるなどの工夫で以下のようなワインのペアリングがおすすめです。
柑橘を感じさせる白ワイン
秋の旬の時期に食べる秋刀魚といえば塩焼きですね。秋刀魚の塩焼きに合わせる場合はすだちやカボスなどを搾るように、柑橘を感じさせる白ワインを合わせるのが王道です。また、脂が乗りきった旨みも感じさせる秋刀魚の塩焼きには少しコクのある白ワインもおすすめです。
瓶内二次発酵のスパークリングワイン
瓶内二次発酵のスパークリングワインには旨み成分のアミノ酸が豊富に含まれているため、秋刀魚の脂身やはらわたなど、少々クセのある味にもなじみやすい奥深さがあります。
軽めの赤ワイン
秋刀魚には鉄分のニュアンスもあり、軽めの赤ワインとのペアリングもおすすめです。
軽めの赤ワインに合わせる場合におすすめの秋刀魚の調理法は甘めの甘露煮や蒲焼き、トマト煮などです。
とくにおすすめなのはピノ・ノワールです。ピノ・ノワールの上品な旨味が秋刀魚の旨味と相乗効果を起こし、はらわたの風味や苦みが軽めの赤ワインにボディを与えてくれます。また、少し熟成したピノ・ノワールの持つ醤油のような香りは、秋刀魚の塩焼きや蒲焼きなどに使われる醤油に寄り添ってくれます。
ロゼワイン
ロゼは秋刀魚のはらわたの苦味とも喧嘩しにくく、どの秋刀魚料理にも合わせやすいでしょう。とくに相性がよいのは、酸味の豊かなロゼワインです。柑橘のような役割を果たし、塩焼きにも合わせられるでしょう。
秋刀魚を使用したレシピと秋刀魚とのペアリングにおすすめのスペインワイン
秋刀魚を使用したおすすめのレシピを紹介します。
秋刀魚の塩焼き
材料
- 秋刀魚・・・2尾
- 塩・・・8つまみ程度(2本指)
- ごま油・・・少々
作り方
- 秋刀魚は水洗いした後、包丁の背の先端部分を使って尻尾から頭に向かって優しく動かして全体的に鱗を取ります。
- 再び水洗いし、口を開かせて水を流し、エラや口に溜まった血を流します。
- 重ねたキッチンペーパーで包み、水分をしっかりと拭きとります。
- 3を平らな場所に並べ、上から塩を全体的に、両面振ります。
- 15分ほど置き、塩が水っぽくなってきたらキッチンペーパーで余分な水分を取り除きます。
- グリルを予熱し、網には、ごま油を塗ります。
- しっかり予熱して温めたグリルを中火から弱めの中火にし、片面焼きの場合8分、裏返して6~8分焼きます。両面焼きの場合は10分程度焼きましょう。目安は、皮に焼き目がしっかり付くまでで、最後1分は火をやや強めて皮をパリッと焼き上げます。
- お好みで大根おろしやカボスを添え、完成。
秋刀魚のトマト煮込み
材料
- 秋刀魚・・・2尾
- にんにく・・・2片
- 玉ねぎ・・・1/2個
- ホールトマト缶・・・1缶(400g)
- オリーブオイル・・・大さじ1
- 塩こしょう・・・少々
- チーズ(すり下ろし)・・・適量
- パセリ(みじん切り)・・・適量
作り方
- 秋刀魚は頭と尾を切り落とし、3等分に切って内臓を取り除いて水で洗い、水気をよく切ります。
- にんにく、玉ねぎをみじん切りにします。
- 鍋にオリーブオイルを入れ、中火で秋刀魚の両面を焼き、一度取り出します。
- にんにく、玉ねぎを3の鍋に入れ加熱し、玉ねぎが透き通ったらホールトマト缶をあらく潰したものと秋刀魚を加え、蓋をして15分煮込みます。
- 塩こしょうとチーズを加えて味を整えてから器に盛りつけ、お好みでさらにチーズ、パセリを散らして完成。
秋刀魚の蒲焼き
材料
- 秋刀魚 (3枚下ろし)・・・1尾
- 薄力粉・・・適量
- 万能ねぎ・・・適量
- 白ごま・・・適量
- 油・・・大さじ1
- 調味料
- しょうゆ・・・大さじ1
- 酒・・・大さじ1
- みりん・・・大さじ2
作り方
- 調味料の材料を合わせます。
- 秋刀魚に薄力粉をまぶします。フライパンに油を熱し、皮目を下にして秋刀魚を焼きます。
- 2の裏面も焼き、調味料を入れ、軽く煮詰めます
- 刻んだねぎとごまを振ったら完成。
ここからは秋刀魚とのペアリングにおすすめのスペインワインを紹介しましょう。
マルケス・デ・ビソハ(Marqués de Vizhoja)
フレッシュでフルーティー、フローラルの3つ“F”が揃った最高傑作の辛口白ワイン。色合いは明るいレモンイエローで、柑橘系の爽やかなアロマが秋刀魚とのペアリングにぴったりです。青りんごや蜂蜜のニュアンスを持ち、しっかりした酸と豊かな果実味が活き活きとしています。
パシオン・クヴェ ロゼ(Pasión Cuvee Rose)
ピノ・ノワール主体の辛口ロゼカヴァです。色合いは淡いローズピンク。赤系ベリーのアロマに、フレッシュなフルーツの甘酸っぱいニュアンスからいちご飴のような可愛らしい甘やかさがのぞきます。オーガニック認証を受けていて、優しい泡立ちで前菜からデザートまで楽しめる逸品です。
アグスティ・トレジョ・マタ ブルット・レセルバ(Agustí Torelló Mata Brut Reserva)
きらびやかで爽快な優しい泡立ちのフルーティーなヴィンテージカヴァです。色合いは輝きのあるイエローゴールド。白い花の甘い香りとほのかにハーブのニュアンスを感じます。繊細さもありながらもスッキリとした味わいで、オーガニック認証を受けています。
まとめ
秋刀魚の味わいに合うワインについて解説し、秋刀魚を使用したレシピと秋刀魚とのペアリングにおすすめのスペインワインも紹介しました。
ぜひ、秋には秋刀魚とスペインワインのペアリングをお楽しみください。