スペインにはその土地ごとに独立した文化があり、地方ごとに国があると言われるほど多彩な文化を持つ国です。
ワインも同様に、地方ごとの個性あふれる味わいを楽しむことができますが、スペインワインを語る上で外せないのはスパークリングワインではないでしょうか。
中でもカバ(Cava)は、シャンパーニュ製法と呼ばれる本格的な造り方でありながら、スペインの固有品種を使用することで、シャンパンにはない味わいを表現し、世界中で愛されていますよね。
しかし、スパークリングワインには、シャンパーニュ製法以外にも色々な製法があるのをご存知ですか?
今回は、年間生産量わずか1,880本という超希少な「アンセストラル製法」で造られる弱発泡性ワイン、パレジャダ・アンセストラル・ビニャ・マルトラ(Parellada Ancestral Vinya Martra)をご紹介します。
メトード・アンセストラルの魅力
スペインを代表するスパークリングワイン、カバ(Cava)がトラデショナル方式(シャンパーニュ方式)で造られているのは有名ですよね。
今回ご紹介するパレジャダ・アンセストラル・ビニャ・マルトラ(Parellada Ancestral Vinya Martra)は、世界でも生産者が少ない、アンセストラル方式と呼ばれる方法で造られています。
フランスのローヌ地方や、ラングドック地方でもアンセストラル方式で造られているワインがありますが、生産量が極めて少なく、お店でもあまり見かける機会がないかもしれません。
しかし、「田舎方式」とも呼ばれるこの製法で造られるワインには、「優しい泡と豊かな香り」という素晴らしい魅力があります。
スパークリングワインには様々な製法があり、ワイン先進国であるフランスでは、これらのスパークリングワインを総称してヴァン・ムスー(Vin mousseux)と呼び、スペインではエスプモーソ(Espumoso)と呼びます。各製法それぞれの特徴をご紹介します。
スパークリングワインの製法 |
製造方法 |
トラデショナル方式 |
スティルワイン(発泡していないワイン)と酵母、糖を瓶に入れ密閉します。 瓶内で二次発酵をさせ、泡をワインの中に閉じ込める製法で、作業工程が多く手間と時間がかかりますが、 滑らかできめ細かい泡を生み出します。 シャンパーニュ方式とも呼ばれ、フランスのシャンパーニュの他、イタリアのメトド・クラシコ、 スペインのカバなどがこの方法で造られています。 |
シャルマ方式 |
スティルワインを大きなタンクに入れ、タンク内に酵母と糖を加え密閉し、 タンク内で二次発酵をさせスパークリングワインを造る製法です。 繊細な香りを残したい場合にも用いられる方法です。 |
トランスファー方式 |
トラデショナル方式(シャンパーニュ方式)と同様に、瓶内で二次発酵を行った「二酸化炭素を含んだワイン」を、 加圧されたタンクに開け、まとめて冷却・濾過した後に新しいボトルに詰める方法です。 まとめて行うという、トラデショナル方式を簡略化した製造方法で、コストを抑えたいときに用いられます。 |
アンセストラル方式 |
一次発酵の途中でワインを瓶に詰め、王冠などで栓をして残りの発酵を瓶内で行う方法です。 |
炭酸ガス注入方式 |
スティルワイン(発泡していないワイン)を加圧されたタンクに入れ、炭酸ガスを注入して造る製法。 |
Parellada Ancestral Vinya Martra
【商品情報】
商品名 |
パレジャダ・アンセストラル・ビニャ・マルトラ(Parellada Ancestral Vinya Martra) |
生産者 |
カン・ジェオ・デ・ビラノべタ(Can Lleó de Vilanoveta) |
ビンテージ |
2022 |
生産国 |
スペイン |
ブドウ品種 |
パレジャーダ(Parellada)100% |
認証・規格 |
ユーロリーフ、EU有機認証有 |
おすすめ料理 |
生牡蠣、オリーヴやシーフードのピンチョス、生ハムと洋梨 チキンとリンゴのサラダ、レモンパイなど |
発酵容器 |
フレンチオークフードル、ステンレススティールタンク |
発酵期間 |
12日間 |
発酵温度 |
15~16℃ |
製法 |
熟成容器/期間 ボトル熟成 5ヶ月 |
度数 |
10.5% |
テイスト |
辛口 弱発泡 |
飲み頃の温度 |
6∼8℃ |
容量 |
750ml |
パレジャダ・アンセストラル・ビニャ・マルトラ(Parellada Ancestral Vinya Martra)について
ペネデス(Pedres)の標高200mの位置にある、単一畑から収穫された白ブドウ、パレジャーダ(Parellada)種から造られます。
収穫は全て手作業で行われ、徹底した温度管理の下、天然酵母のみでアルコール発酵が行われます。80%はフレンチオークの大樽、20%はステンレスタンクで一次発酵が進んだところで、清澄・濾過をせずにボトリング。その後瓶内で5ヶ月間熟成させます。
パレジャーダ(Parellada)はカバ(Cava)にも使用される高級品種で、フローラルな香りと優雅な酸味が特徴です。このパレジャーダ(Parellada)に含まれる糖のみで造られた優しいスパークリングワインは、味わいもさることながら、酸化防止剤の添加もされていない、環境と体に優しいワインに仕上がっています。
味わいの特徴
ライトなレモンイエローの色調。爽やかなシトラス系のアロマから、洋梨やグリーンアップルのようなフルーティーなニュアンス。後にトロピカルフルーツのような甘味を感じさせる香りが広がります。
口に含むと天然酵母から発生したキメ細やかな優しい泡が広がり、ドライな味わいの中に豊かな果実味が広がるバランスの取れた味わいが魅力。
自然体でありながら繊細で、後味の穏やかな酸味が心地良い、SO2無添加の弱発泡性ワインです。
おすすめのペアリング
パレジャダ・アンセストラル・ビニャ・マルトラ(Parellada Ancestral Vinya Martra)は、フレッシュでフルーティーな香りとドライな味わいで、幅広く色々なお料理に合わせていただけます。
レモンを絞った生牡蠣や、柑橘を効かせた魚介のマリネ、オリーブと魚介を合わせたピンチョスもよく合います。生ハムと洋梨の前菜や、チキンとリンゴのサラダもドライな味わいにぴったり。
微発泡でさっぱりとしたワインなので、サーモンのクリーム煮やクリームシチューのポットパイなど、コクのあるお料理ともよく合います。食後にはレモンパイやシャーベットなど、甘さ控えめのデザートが好相性。
パレジャダ・アンセストラル・ビニャ・マルトラ(Parellada Ancestral Vinya Martra)は、程よいガス圧がお食事を引き立て、もう一口飲みたくなる、クセになる味わいです。
少し温度が上がるとブドウの優しい甘みが際立ち、食前から食後まで、色々なシーンに合わせられますので、ぜひお気に入りのペアリングを見つけてみてくださいね。
カン・ジェオ・デ・ビラノべタ(Can Lleó de Vilanoveta)について
ペネデスの山脈の真ん中にある歴史あるワイナリー、カン・ジェオ・デ・ビラノべタ(Can Lleó de Vilanoveta)は、1751年に設立されたものの一度は閉鎖されることに。
ところが 2022年、オーナーであるアルベルト・ジェオ夫妻が有能なジョアン・アセンス (技術ディレクター) と出会ったことにより、ワイナリーを回復しオーガニックワインの生産を開始することを決心します。
そして更に、彼らは才能ある女性醸造家アイナ・マリンと出会い、環境に最大限配慮したワイン造りに力を入れるようになりました。
カン・ジェオ・デ・ビラノべタ(Can Lleó de Vilanoveta)のワインは全て自社畑のブドウから造られ、醸造後はその場で瓶詰めされます。
この土地が持つワインの真髄を取り戻したいという願いと共に、古いカン・ジェオ(Can Lleó )のワイナリーで使われていた伝統的な手法と近代的な技術を融合させ、すべてのワインが丁寧に造られています。
まとめ
今回は、カン・ジェオ・デ・ビラノべタ(Can Lleó de Vilanoveta)が手がける、S O2無添加の弱発泡性ワイン、パレジャダ・アンセストラル・ビニャ・マルトラ(Parellada Ancestral Vinya Martra)をご紹介しました。
アンセストラル製法でワインを造っている生産者自体が少ないのですが、味わいもさることながら、E U有機認証を取得し、酸化防止剤無添加というナチュラルな製法もこのワインの魅力です。優しい口当たりのスパークリングワインですので、カバ(Cava)のパワフルな泡を強く感じてしまう方にもおすすめしたいワインです。
無添加ワインの他、スペインのオーガニックワインについても知りたい方はこちらの記事もぜひお読みください。
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