ワインにはさまざまな種類があり、楽しみ方もさまざまです。今回はワインの種類をあらためておさらいしつつ、ワインを美味しく飲むコツや料理との組み合わせのコツについて解説します。スペインワインを楽しむためにも非常に役立つ内容となっていますのでどうぞ最後までご一読ください。
ワインの種類
ワインは製法によって以下の4つの種類に分けられます。
l スティルワイン
l スパークリングワイン
l フォーティファイドワイン
l フレーヴァードワイン
それぞれの種類についてひとつずつ説明していきましょう。
スティルワイン
スティルワインは泡の出ないワインで、英語で「Still(静かな、動きのない) Wine」と表記します。スティルワインには赤ワイン、白ワイン、ロゼワイン、オレンジワイン、デザートワインなどの種類があります。
スパークリングワイン
スパークリングワインは発泡性のワインで、英語で「Sparkling(発泡性の) Wine」と表記します。正式には入っている炭酸ガスが3気圧以上となっているワインのことを指し、ガス気圧が1~2.5気圧であればセミスパークリングワイン(弱発泡性ワイン)と呼ばれます。スパークリングワインは白が基本となりますが、赤やロゼのスパークリングワインもあります。
その昔、日本にスパークリングワインの存在を周知したのがフランスのシャンパーニュ地方で瓶内二次発酵による伝統的方式で造られたシャンパーニュ(Champagne)です。また、スペインでシャンパーニュと同じ製法で造られるスパークリングワインはカヴァ(Cava)と呼ばれます。
スパークリングワインの製法は伝統的方式のほか、主に以下の4つが挙げられます。
l シャルマ方式(Méthode Charmat)・・・伝統的方式の、瓶内での二次発酵から澱抜きまでのプロセスを簡素化した製法。
l トランスファー方式(Méthode de Transfert)・・・伝統的方式とシャルマ方式の中間のような製法。
l 田舎方式・・・一次発酵の途中でワインを瓶詰し、発酵の最終段階を瓶内でおこなって発泡させる製法。
l 炭酸ガス注入方式・・・発泡性のないスティルワインに炭酸ガスを注入することで、発泡性を持たせる製法。
スパークリングワインの各国の呼び名は以下のようになります。
l フランス・・・ヴァンムスー(Vin Mousseux)
l イタリア・・・スプマンテ(Spumante)
l ドイツ・・・シャウムヴァイン(Schaumwein)
l スペイン・・・エスプモーゾ(Espmoso)
フォーティファイドワイン
フォーティファイドワインとは、醸造過程でアルコール度数が40〜80%のブランデーなどのアルコールを加えたワインです。英語で「Fortified(アルコール度数を高める) Wine」と表記し、酒精強化ワインとも呼ばれます。
フォーティファイドワインは主にワインの酸化・腐敗防止の目的で造られはじめました。また、ほかにもアルコール度数を高めたり、コクを出す目的や糖をワインの中に残す目的でも造る場合があります。
スペインのシェリー(Sherry)、ポルトガルのポートワイン(Port Wine)、マデイラワイン(Vinho da Madeira)が世界三大フォーティファイドワインと呼ばれます。
フレーヴァードワイン
フレーヴァードワインとは、果汁や果実、薬草、エッセンスなどを加え、独特な風味を添えたワインのことです。英語で「Flavored(味、香りをつけた)Wine」と表記します。代表的なフレーヴァードワインには以下のようなものがあります。
l サングリア(Sangria)・・・ワインにオレンジやブルーベリーなどの果実やスパイスを漬け込み、砂糖を加えて甘くしたスペイン生まれのフレーヴァードワイン。
l ヴェルモット(Vermouth)・・・白ワインにニガヨモギなどの香草や香辛料、スピリッツという蒸留酒を入れ、アルコール度数を上げて楽しむフレーヴァードワイン。
l レツィーナ(Retsina)・・・ギリシャで造られる、松脂の風味がついたクセの強いフレーヴァードワイン。
ワインを楽しく、美味しく飲むには?
ワインは温度、グラスの大きさなどによって味わいが変わる飲み物です。とくに、温度による味の変化は非常に大きく、注意が必要です。
ワインの種類によって美味しく飲むためのおおまかな適温やグラスは以下のように異なります。
l 白ワイン(甘口)
適温は6~8℃くらいで、グラスは大ぶりで口径が広めのモンラッシュ型のグラスが適しているでしょう。
l 白ワイン(辛口)
適温は10℃くらいで、グラスは中くらいの大きさで口がすぼまったチューリップ型のグラスが適しているでしょう。
l 赤ワイン(ライトボディ)
適温は12〜14℃くらいで、グラスは大ぶりで口がすぼまったブルゴーニュ型のグラスが適しているでしょう。
l 赤ワイン(フルボディ)
適温は16〜20℃くらいで、グラスは大ぶりですぼまりは緩めのボルドー型のグラスが適しているでしょう。
l スパークリングワイン
適温は6〜8℃くらいで、グラスは細長い口がすぼまったフルート型のグラスが適しているでしょう。
ワインと料理と合わせるうえでのコツ
ワインは料理と組み合わせることにより、魅力が何倍にもなる飲み物です。また、ワインと料理をペアリングさせることは伝統的な文化のひとつであり、ワインの楽しみ方をさらに広げてくれます。
ワインと料理と合わせるうえでのコツを知るためには味の相互作用について知る必要があるでしょう。
人間はなぜ「甘い」「酸っぱい」などと感じるのでしょうか。それは、食べ物や飲み物に含まれる化学物質を舌の表面にある味蕾が受容し、その情報が脳に伝達されることによるのです。つまりワインと料理を組み合わせ、それぞれに含まれる化学物質が口の中で混ざり合い、影響し合ったとき、私たちは「美味しい」または「美味しくない」感じます。この現象が味の相互作用なのです。そして、この味の相互作用を意識することがワインと料理と合わせるうえでのコツになります。
味の相互作用の代表的なものとして以下の3つがあります。
l 相乗効果
甘味と甘味、旨味と旨味など、同じ系統の味同士が組み合わされ、その味が強調される作用です。
相乗効果の例として、和食の出汁があります。出汁では、核酸系とアミノ酸系の旨味成分の相乗効果が活かされます。鰹節のイノシン酸ナトリウム(核酸系)と昆布のグルタミン酸ナトリウム(アミノ酸系)が組み合わされ、相乗効果が生まれて和食の決め手となる、旨味たっぷりの出汁が出来上がります。
l 抑制効果
甘味と苦味、酸味と甘味、酸味と塩味など、方向性の違う味同士が組み合わされ、どちらかの味が弱められる作用です。
例として、「コーヒー+砂糖=コーヒーの苦味が弱められる」「魚の塩焼き+レモンの絞り汁=魚の塩味や苦味が和らげられる」などが挙げられます。
l 対比効果
甘味と塩味、旨味と塩味など、方向性の違う味同士が組み合わされ、どちらかの味もしくは両方の味が強調される作用です。
例として、「スイカ+少量の塩=スイカの甘味が強くなる」、「あんこ+少量の塩=あんこの甘味が強くなる」などが挙げられます。
以上のような味の相互作用をふまえ、ワインと料理を合わせるコツには以下のようなルールが挙げられるでしょう。
l 似ているもの同士を合わせる
味の相乗効果により、味付けの濃い料理やこってりした肉料理にはフルボディのワインを合わせると、それぞれのコクがさらに増し、ペアリングが成功しやすいでしょう。同じように、さっぱりとした料理にはフレッシュな白ワインを合わせると非常に爽やかな味わいに感じられる組み合わせになります。
また、ワインと料理の香りが似たもの同士を合わせるのも良いでしょう。例えば、ハーブが使われた料理にはハーブの香りがするワインを合わせると相乗効果が起き、良い組み合わせとなります。
l 対照的なもの同士を合わせる
例えば、塩味の強いチーズなどに極甘口のワインを合わせると、味の対比効果や抑制効果によって良い組み合わせになることがあります。また、少しレモン汁が必要そうな魚料理などに柑橘系の香りのある酸味の効いた白ワインを合わせると美味しいのも、対比効果による良いペアリング例のひとつです。
l 産地が同じもの同士を合わせる
食材とワインの産地が同じもの同士を合わせるのはペアリングの基本ですが、これは味の相乗効果が関係していると思われます。産地が同じもの同士、ということは、育った土壌や環境が同じです。そのため、それぞれに同一の成分が含まれ、結果的に味の相乗効果が生まれる可能性があります。
まとめ
ワインの種類をあらためておさらいしつつ、ワインを美味しく飲むコツや料理との組み合わせのコツについて解説しました。ぜひこの記事を参考に、スペインワインをさらに楽しんでいただければと思います。