シェリー酒はさまざまな種類があり、それぞれに個性豊かな味わいや香りがあります。そのため、シェリー酒は多種多様な食材や料理に合わせられる、ペアリングにはもってこいの飲み物なのです。
今回はシェリー酒の種類と味わいやシェリー酒のペアリング例、そして、おすすめのレシピとシェリー酒のペアリングの紹介をします。スペインワインがお好きな方にも耳寄りの情報となっていますので、どうぞご一読ください。
シェリー酒の種類と味わいの紹介
スペインではシェリー酒を、ヘレスのワインという意味で「ビノ・デ・ヘレス(Vino de Jerez)」呼びます。また、原産地呼称法における正式名称は「ヘレス・ケレス・シェリー(Jerez-Xerez-Sherry)」です。ケレス(Xerez)はフランス語、シェリー(Sherry)は英語でそれぞれシェリー酒を表す言葉です。原産地呼称法では、シェリー酒と名乗ることのできる製法や産地などが決められています。ですから、他の国や地域で同じぶどう品種を使い、同一の製法で造っても、シェリー酒と名乗ることはできないのです。
シェリー酒にはさまざまな種類があります。シェリー酒の種類と、その味わいについて解説していきます。
辛口シェリー酒の種類
辛口のシェリー酒はビノ・ヘネロソ(Vinos Generosos)といいます。パノミロ種(Paromino)のぶどうを使い、完全な辛口になるまで発酵させて造ります。ビノ・ヘネロソは以下の5種類に分類されます。
l フィノ(Fino)
l マンサニージャ(Manzanilla)
l アモンティリャード(Amontillado)
l オロロソ(Oloroso)
l パロ・コルタド(Palo Cortado)
5種類それぞれの味わいなど、特徴を解説していきましょう。
フィノ
産膜酵母と一緒に熟成することによる、イーストのような香りがあります。すっきりと、軽い口当たりでドライな味わいが特徴。色合いは淡い金色。
マンサニージャ(マンサニーリャ)
フィノと同じ製法で造られますが、サンルーカル・デ・バラメーダ(Sanlúcar de Barrameda)で造られるものはマンサニージャと呼ばれます。味わいと色合いはフィノに似ていますが、シェリー酒の中でも最も口当たりが軽くドライだとされています。また、ミネラル感もあります。
アモンティリャード
フィノを7年ほど熟成させ、さらにしっとりとした味わいに仕上げるとアモンティリャードになります。ヘーゼルナッツのような味わいで、色合いは琥珀色でフィノよりもややアルコール度数は高めです。
オロロソ
蒸留アルコールをアルコール度数17%になるまで添加することで、産膜酵母の活動を止めるとオロロソになります。ウィスキーやブランデーのように香ばしく、刺激的なアロマがあります。色合いはブランデーやコーヒーのような濃い赤茶色です。アルコール度数はシェリー酒の中で最も高い17〜22%。
パロ・コルタド
短期間産膜酵母と共に熟成し、その後酸化熟成をさせるとパロ・コルタドになります。アモンティリャードの繊細な香り、オロロソのようなコクのある複雑な味わいがあり、シャープな辛口。
極甘口シェリー酒の種類
極甘口のシェリー酒はビノ・ドゥルセ・ナトゥラル((Vinos Dulces Naturales)といいます。モスカテル種(Moscatel)とペドロ・ヒメネス種(Pedro Ximénez)を天日干しにし、糖分を残したままアルコール発酵を途中で止め、より極甘口に仕上げます。ビノ・ドゥルセ・ナトゥラルは以下の2種類に分類されます。
ペドロ・ヒメネス
天日干しにしたペドロ・ヒメネス種を使って造る、凝縮感のある極甘口。ビロードのような口当たりで、色合いはエスプレッソのようなマホガニー色。
モスカテル
天日干しにしたモスカテル種を使って造る、極甘口。マスカットのような爽やかな香りがあります。ペドロ・ヒメネスよりも淡いマホガニー色です。
甘口シェリーの種類
ビノ・ヘネロソとビノ・ドゥルセ・ナトゥラルをブレンドして造る甘口シェリー酒をビノ・ヘネロソ・デ・リコール(Vinos Generosos de Licor)といいます。ブレンドの割合によりさまざまな種類がありますが、代表的なものは以下の3種類です。
ペール・クリーム(Pale cream)
フィノやマンサニージャに極甘口シェリーを加えて造る、ほのかに酸味のある甘口シェリー。白ワインのような色合いをしています。
ミディアム(Medium)
アモンティリャードに極甘口シェリーを加えて造る、フルボディでほのかに甘いシェリー酒。香り豊かで軽い味わい、色合いは琥珀色です。
クリーム(Cream)
オロロソに極甘口シェリーを加えて造る、オロロソに似た厚みのある複雑な味わいも楽しめる甘口シェリー。濃い琥珀色が特徴です。
シェリー酒のおすすめペアリングの紹介
ここまでの内容で、シェリーは辛口から極甘口まで、幅広い種類があり、その個性もさまざまであることがおわかりいただけたと思います。
シェリー酒はとても種類が多いので、食前酒からデザートまでを通して選んでいただける飲み物です。
シェリーと食べ物のペアリングをいくつか紹介しましょう。
フィノ×天ぷら
軽くてすっきりとした辛口のフィノは天ぷらなどの揚げ物料理の脂をさっぱりさせてくれますし、繊細な味わいを損なうことなく楽しませてくれます。
マンサニージャ×牡蠣
マンサニージャには海の香りを思わせるミネラルがほんのりと感じられるため、牡蠣などの魚介類とのペアリングにおすすめです。
オロロソ×ラム肉、牛肉
非常に香ばしく、刺激的な香りのあるオロロソは、牛肉やラム肉などの赤身肉に合わせると、その豊かな香りが肉の臭みを中和し、旨味を引きたててくれます。
おすすめのレシピとシェリー酒のペアリングの紹介
1822 フィノ(1822 Fino)×カラスミクリームチーズ
スムースな口当たりとドライさが楽しめるシェリーで、キレとコクのバランスが魅力です。フローラル系の香りと、ナッツのような熟成感もあり、カラスミなどの魚介系珍味や生ハムとのペアリングがおすすめです。
カラスミクリームチーズの作り方
材料
カラスミ(薄切り)・・・適量
クリームチーズ・・・少量
パセリ(みじん切り)・・・適量
作り方
1cm角にカットしたクリームチーズをカラスミにのせ、みじん切りしたパセリを振って完成。
サン・レオン マンサニージャ(San León Manzanilla)×白身魚のフライ
海辺の街、サンルーカル・デ・バラメーダ産の伝統あるドライシェリーです。フローラルな香りにほのかなミネラル感と塩味を感じます。軽やかな味わいで、白身魚のフライや貝のワイン蒸しなどとのペアリングにぴったりです。
白身魚のフライの作り方
材料
白身魚・・・片身
小麦粉・・・適量
水・・・適量
パン粉・・・適量
作り方
- 小麦粉と水をよく混ぜ、バッター液を作ります。
- 白身魚を1にくぐらせ、パン粉を全面にまぶします。
- 油(分量外)を熱し、170〜180℃くらいの温度で揚げたら完成。
オロロソ アルグエソ(Oloroso Argüeso)×スペアリブのBBQロースト
ナッツやトリュフなど、ちょっぴりワイルドなアロマが豊かでスパイシーさやハチミツのニュアンスも楽しめます。複雑なアロマがスペアリブや牛テールの煮込みなどとのペアリングにおすすめです。
スペアリブのBBQローストの作り方
材料
スペアリブ・・・700gほど
ヨーグルト・・・大さじ3
黒こしょう・・・お好みで
*BBQソース
ケチャップ・・・大さじ2
ウスターソース・・・大さじ2
ハチミツ・・・小さじ2
しょうゆ・・・小さじ1
すり下ろしニンニク・・・小さじ1
作り方
- スペアリブにヨーグルトを揉み込みます。
- *の材料を混ぜ、1を30分以上漬け込みます。
- オーブンを180〜200℃に余熱し、天板に2を並べてお好みで黒こしょうを振り、15〜20分焼いたら完成。
まとめ
シェリー酒の種類と味わいやシェリー酒のペアリング例、そして、おすすめのレシピとシェリー酒のペアリングの紹介をしました。シェリー酒の食事とのペアリングに挑戦すると、スペインワインの楽しみ方の幅がぐんと広がります。ぜひ、お試しください!