カスティージャ・イ・レオン(Castilla y León)州セゴビアは州の中心からやや南東に位置したところにあります。
「セゴビアの旧市街と水道橋」といえば、「古代ローマの傑作」として世界遺産にも登録されており、とても有名な場所ですよね。
この歴史ある土地、セゴビア県ニエバで、5世紀にわたってワイン造りを続けている生産者が居ます。
今回は、カスティージャ・イ・レオン(Castilla y León)州セゴビアの生産者、オシアン・ビデス・イ・ビノ (Ossian Vides y・Vinos)が手がける、ベルデホ(Verdejo)100%の白ワイン、オシアン(OSSIAN)をご紹介します。
州を代表する白ワイン品種 ベルデホ(Verdejo)
カスティージャ・イ・レオン(Castilla y León)州の白ワイン用品種として、最も主要なものがベルデホ(Verdejo)です。
ベルデホ(Verdejo)のワインは、豊かな芳香性があり、フレッシュでフルーティーな口当たりに仕上がることから、ソーヴィニヨンブラン(Sauvignon Blanc)とも比較されることもあり、ニエバ(nieva)を含むルエダ(D.O.Rueda)では最大の栽培面積を誇る特別な品種です。
プレ・フィロキセラという奇跡
「プレ・フィロキセラ」とは、ブドウ樹の根に付いて樹を枯らしてしまう害虫「フィロキセラ」の被害を免れたブドウの樹、その樹から収穫されたブドウによって造られたワインを指します。
ブドウの根に付いて樹を枯らしてしまうおそろしい害虫「フィロキセラ」は、19世紀にアメリカからフランスに輸入されてきたブドウの苗木に付いており、瞬く間にヨーロッパ全土に広がり、当時のワイン産業に甚大な被害を与えました。
他の病害と違って、ブドウの根につく虫のため薬剤の散布では防ぎ切ることができず、対策に難航し被害が広がったのだと言われています。
事態を重く見たフランス政府によって対策の調査が進められ、アメリカ原産のブドウの苗木にフィロキセラ耐性があることがわかり、これらのブドウを台木に、フィロキセラに弱い「ヴィニフェラ種」の枝を「接ぎ木」することでフィロキセラ禍は収束に向かっていきます。
このような過去から、現在ヨーロッパで栽培されているワイン用ブドウのほとんどが、アメリカ系品種の台木に接ぎ木された苗が使われているのですが、一部フィロキセラの被害を免れた土地があるのです。
ニエバ(nieva)の土壌
オシアン(OSSIAN)のブドウ畑は、スペインのセゴビア県にあるニエバ(nieva)にあり、ルエダのこの地域は砂質土壌に恵まれており、フィロキセラに対する自然耐性があったため、ブドウが被害を受けなかったと言われています。
砂質土壌は水捌けがよく根腐れが起こりにくいことから、ブドウ栽培に適した土壌と言われています。現在でも樹齢200年を超える「自根」のブドウが存在しており、ワイナリーではこの貴重な畑の回復と維持に取り組んでいます。
ヴィノ・デ・ラ・ティエラ(Vino de la tierra)について
スペイン北西部にある、カスティージャ・イ・レオン(Castilla y León)州はスペインで一番広い面積の州で、州内では多彩なワインが造られています。
「リベラ・デル・デゥエロ(Ribera del Duero)」を筆頭にスペインのワイン法によって9つの原産地呼称ワイン(D.O.)と4つの地域名付き高級ワイン(V.C.)があり、その数の多さからもそのことがうかがえますね。
D.O.やV.C.という分類を含む「原産地呼称保護(D.O.P)」の他に、「地方ワイン」として位置付けられている「ヴィノ・デ・ラ・ティエラ(Vino de la tierra)」という分類があり、今回ご紹介するワインは、「ヴィノ・デ・ラ・ティエラ(Vino de la tierra)」に含まれるワインです。
スペインのワイン法についてはこちらでご紹介しているので、詳しく知りたい方はこちらの記事も読んでみてください。
◆スペインのワイン法について詳しく解説!
https://sukoruni.wine/blogs/wine-column/a-detailed-explanation-of-spanish-wine-law
「原産地呼称保護(D.O.P)」は、「原産地呼称統制委員会」によって管理されます。
「ヴィノ・デ・ラ・ティエラ(Vino de la tierra)」は品質に関する委員会などが無い地域において、原産地呼称保護(D.O.P)ほどの厳格な品質の規定ではありませんが、小規模な生産者が造る良質なワインであることを表す一つの重要な指標となっています。
Ossian
【商品情報】
商品名 |
オシアン(OSSIAN) |
生産者 |
オシアン・ビデス・イ・ビノ (Ossian Vides y・Vinos) |
地域 |
ブドウ生産地:カスティージャ・イ・レオン州 |
ビンテージ |
2020 |
生産国 |
スペイン |
ブドウ品種 |
ベルデホ(Verdejo) 100% |
認証・規格 |
ユーロリーフ EU有機認証 |
おすすめ料理 |
グリルパプリカのマリネ、白身魚のポワレ、ポークロインのグリル、洋梨のタルト なと |
発酵容器 |
フレンチオーク228Lと600Lの小樽 |
発酵期間 |
1ヶ月 |
発酵温度 |
18℃ |
度数 |
14% |
テイスト |
辛口 |
飲み頃の温度 |
9∼12℃ |
容量 |
750ml |
オシアン(OSSIAN)について
オシアン(OSSIAN)のブドウ畑には信じられないほど古い樹齢のブドウの樹が豊富にあり、オシアン・ビデス・イ・ビノ (Ossian Vides y・Vinos)では、自然に敬意を払い、誠実に、偉大な白ワインを造ることだけを考えてワイン造りを行っています。
古い木があるため機械化ができず収穫は全て手摘み、除梗はせずに全房圧搾を行い、野生酵母のみで発酵させていきます。
2005年に醸造家のスマエル・ゴザロ氏により開始されたプロジェクトで造られる白ワインは、「世界最高峰」と言っても過言ではありません。
味わいの特徴
輝きのあるレモンイエローの色調。
グラスに注ぐとグリーンアップルを思わせる香りに、熟したトロピカルフルーツや爽やかなハーブのニュアンスを感じられます。
口に含むと、フルーティーな果実味の後に程よい酸味が広がり、ワイン全体のボリュームを感じさせる余韻が広がります。
少しずつ温度が上がっていくと、フルーツのニュアンスから樽を思わせる香りに移行し、時間の経過とともに色々な表情を楽しむことが出来ます。
フィロキセラの被害を受けていない畑から生み出される非常に価値のある白ワインと言えるでしょう。
おすすめのペアリング
オシアン(OSSIAN)は、果実味、酸味、熟成感のバランスが良いので、お魚や野菜を使ったお料理にはもちろん、ポークやチキンなどクセのないお肉を使ったお料理に合わせていただくのもおすすめです。
樽の香りを感じさせる余韻が長く、ボリューム感のある白ワインなので、バターをたっぷり使った白身魚のポワレやムニエルは相性抜群です。
野菜料理には、グリルしたパプリカに塩胡椒で味付けしたシンプルなものもおすすめですし、ビネガーでマリネしたサラダや、野菜のトマト煮込みなどもおすすめ。パプリカの程よい苦味がワインととてもよく合います。
果実味と樽のニュアンスのバランスが良いオシアン(Ossian)は、食後のチーズやデザートとも相性の良いワインです。
カマンベールやブリーのような白カビタイプの柔らかいチーズにハチミツをかけたものや、スペインでよく造られている羊乳製ハードタイプチーズと合わせていただくのもおすすめ。もちろん牛乳製のハードタイプともマッチします。
オシアン・ビデス・イ・ビノ (Ossian Vides y・Vinos)について
” 私たちの仕事は、記憶に残る果実を手に入れることで、その遺産を不滅のものにすること”
500年にもわたるワイン造りの伝統を受け継ぎ、200年もの歴史を生きている「本物のベルデホ」がある恵まれた土地で、誠実にワイン造りを続けている生産者です。
フィロキセラによる壊滅的な打撃を受けなかった畑の維持と回復のため、完全有機栽培とオーガニックにこだわり、ブドウ栽培の遺産であるブドウの木に敬意を表しながら、人間、環境、ブドウの樹の自然なバランスを追求するために、生態系を観察し日々自然から学んでいます。
オシアン・ビデス・イ・ビノ (Ossian Vides y・Vinos)は、ユニークな土地から「スペインで最も興味深いワインを生み出す生産者」と言って良いでしょう。
まとめ
今回は、オシアン・ビデス・イ・ビノ (Ossian Vides y・Vinos)が手がける、ベルデホ(Verdejo)100%の白ワイン、オシアン(OSSIAN)をご紹介しました。
世界で限られた場所にしか存在しない「プレ・フィロキセラ」の超希少な白ワインをぜひ一度味わってみてください!