ワイン造りの歴史は大変古く、紀元前8000年前(日本の縄文時代)にワインは存在していたという記述が書物に残っています。
古代では、当然ながら今のようにステンレス樽や木製の樽でさえ存在しません。足で潰したブドウを石造りのタンクで発酵し、陶器の入れ物で熟成を行っていました。ひと手間もふた手間もかかるワイン製法です。そんな幻のワイン、できることなら一度飲んでみたいと思いませんか?
スペインのカタルーニャ州に1413年に修道士たちが造っていた礼拝のために造られていたワイン製法を再現しているワイナリーがあり、古代幻のワインを味わうことができます。今回は、600年前の修道士たちのワイン「Jerónimus(ジェロニムス)」をご紹介します。
Jerónimus― ジェロニムス ―
【商品情報】
商品名 |
Jerónimus(ジェロニムス) |
生産者 |
Bodegas Torre del Veguer(ボデガス・トレ・デル・ベゲール ) |
ビンテージ |
2017年 |
設立 |
1878年 |
おすすめ料理 |
ハモンイベリコ、ポークリエット、鴨のロースト、ペッパーステーキなど |
生産国 |
スペイン |
地域 |
D.O.Penedès(D.O.ペネデス)カタルーニャ州 |
ブドウ品種 |
Garnacha Negra(ガルナチャ・ネグラ) 60% Petite Sirah(プティ・シラー) 40% |
認証・規格 |
ユーロリーフ、EU有機認証及びヴィーガン認証有 |
発酵容器 |
1413年から使われているワイナリー内にある石造りのタンク |
発酵期間 |
15日間 |
熟成容器 |
ワイナリー内のローム質土壌から作った石造りのタンク725L(石造り大桶) |
熟成期間 |
最低6ヶ月 |
度数 |
14.0% |
テイスト |
フルボディ |
飲み頃の温度 |
15~18°C |
容量 |
750ml |
Jerónimus(ジェロニムス)について
Jerónimus(ジェロニムス)の開発は、2015年に古いワイナリーの慣習を取り戻すことを思い立ったことからはじまります。まずは、これまで使用されていなかった樽室の真ん中にある石造りのワインプレスに着目し、古典的なワイン造りに挑戦。さらに、13世紀にこの地に定住していたカトリック教ジェロニモ会の修道士たちが行っていたワイン製法を模倣し、石造りのタンクやセラミック製のアンフォラを使用するなど、可能な限り当時のワイン製法を再現すること哲学に研究を重ねた末に完成した、ワイナリーこだわりの赤ワインです。
Jerónimus(ジェロニムス)では、手摘みによる丁寧な収穫が行われた後、豊かなアロマを抽出するためにマセラシオンを行い、600年続く中世石造りのタンクによるワイン発酵を行います。さらに、725Lのセラミック製アンフォラにより6ヶ月の熟成を行っています。
古代のワイン製法を再現して造られているJerónimus(ジェロニムス)は、大量生産することはできないため、年間生産本数はわずか5,000本ほどに限られており、当時のワインを感じられる大変希少なスペインワインです。
ワイン名の由来
Bodegas Torre del Veguer(ボデガス・トレ・デル・ベゲール )が、Jerónimus(ジェロニムス)ワインの原点となったカトリック教ジェロニモ会修道士たちに敬意を称し、Jerónimus(ジェロニムス)の名が付けられました。
受賞歴
Jerónimus(ジェロニムス)2016
- Robert Parker(ロバートパーカー) 2019 :88ポイント
Jerónimus(ジェロニムス)2017
- Robert Parker(ロバートパーカー) 2019 :87ポイント
- Peñin Guide(ペニンガイド):91ポイント
- Gilbert & Gaillard Guide 2018:91ポイント
- Gilbert & Gaillard Guide 2017:銀賞
味わいの特徴
Jerónimus(ジェロニムス)2017年は、Garnacha Negra(ガルナチャ・ネグラ) 60% とPetite Sirah(プティ・シラー) 40%の2種類のブドウ品種から造られたフレッシュで凝縮感のあるフルボディ赤ワインです。
落ち着きのあるルビーレッドの色調に、黒プラム、チェリー、ラズベリー、カシスといった黒系&赤系ベリーのフルーティーなアロマを特徴とします。
セラミックのアンフォラで熟成されたJerónimus(ジェロニムス)は、口当たりが大変まろやかでコクがあります。ほんのりとフルーツジャムのニュアンスに、ホワイトペッパーやグローブのようなスパイシーさとともに、ジャーキーのようなワイルドな表情も伺えます。風味豊かで長く続く丸みのあるタンニンが心地良い余韻を残します。
しっかりとしたストラクチャーがありつつも、その味わいは繊細でエレガント。ポテンシャルの高いワインとなっています。
おすすめのペアリング
フレッシュな果実味と深みのある味わい、適度なタンニンを心地よく、パワフルなJerónimus(ジェロニムス)には、ハモンイベリコ、ポークリエット、鴨のローストといった脂の少ない肉料理との相性が抜群です。
また、ペッパーなどのスパイシーなアクセントを特徴とするため、胡椒のきいたペッパーステーキとのペアリングもおすすめです。
Bodegas Torre del Veguer(ボデガス・トレ・デル・ベゲール )について
Bodegas Torre del Veguer(ボデガス・トレ・デル・ベゲール )は、地中海とペネデス平野の間のシエラ・リトラル山脈の南部に位置しており、カタルーニャ州の歴史的芸術建築物として指定されているTorre del Veguer Tower(トレ・デル・ベゲール・タワー)を所有しています。ブドウ畑が海辺から近いことから同じD.O.ペネデスでも他とは違う石灰石土壌を特徴とした、塩分、ヨウ素、ミネラル感のある個性的なワインができます。
本ワイナリーでは、ブドウ畑からボトリングに至るまで、最高のワインを造ることをモットーとしており、実際にバルセロナで行われた1888年の万博博覧会では金賞を受賞している実力派。2013年からは有機栽培をはじめ、2016年にオーガニックワイン認定、2018年にはヴィーガン認定を受けています。一般的に保存のためにワインに使われる亜硫酸塩や砂糖の使用は最低限に抑え、極力人の手を加えることなく、ブドウそのものを自然のままに活かしたワイン造りを行っているワイナリーです。
ワイナリーの歴史
そんなBodegas Torre del Veguer(ボデガス・トレ・デル・ベゲール )の歴史は大変長く、13世紀にまでさかのぼります。ワイナリーの象徴でもあるTorre del Veguer Tower(トレ・デル・ベゲール・タワー)が建てられたのは、1359年であることが書物に記録されており、1413年には、僧侶(ジェロニモ修道士たち)によってワイン造りがはじめられました。当時、粘土と石造りの大桶を使った礼拝のためにワインを造っていました。
ワイナリーには、当時使用されていた石桶が保存されており、現在でもワイン造りに使用しています。修道士たちが移動してからというもの、多くの権力者のもとに渡ってきました。その後、1878年に現在、所有する一族の1代目であるJosé Ferrer Vidal(ホセ・フェレール・ビダル)が当時のオーナーであったMiguel Ángel Desmassiéres(ミケランジェロ デスマシエレ)から買い取り、今のワイナリーの形となりました。
まとめ
古い歴史と伝統を大切にしてきたBodegas Torre del Veguer(ボデガス・トレ・デル・ベゲール )の努力によって600年前の幻ワイン「Jerónimus(ジェロニムス)」が完成しました。
Jerónimus(ジェロニムス)は、中世の修道士が造っていたワインの本質を受け継いだ古典的な赤ワインに仕上がっています。古代のワインを飲める機会はなかなかありません。ぜひ、Jerónimus(ジェロニムス)のアロマティックでモダン、フレッシュで魅力的な味わいをお試しください。