暑さや湿気で夏バテ気味、食欲がない、という時でも、スパイスの効いた料理を食べると元気が出た、という経験はないでしょうか?それもそのはず、スパイスは古くから健康増進の薬として重宝されてきたのです。
今回はスパイスの種類やワインが飲みたくなるようなスパイス料理、スペインワインとスパイス料理のペアリングのおすすめを紹介します。
スパイスの種類
たくさんの種類があるスパイスのなかから代表的なものをいくつか紹介します。
唐辛子
唐辛子は料理に辛さを加えるために欠かせないスパイスとして、世界中で使用されています。ナス科トウガラシ属の植物で、原産は中南米。種類は100種ほどあり、熱帯から温帯までの非常に広い地域で栽培されています。非常に辛い唐辛子として日本ではハバネロなどが知られていますが、世界1辛いのは「ペッパーX」で辛味成分のカプサイシン量を示すスコヴィル値がハバネロの約100倍ほどもあります。
唐辛子の辛みは種の周りにある「胎座」と呼ばれる白い部分に集中しています。ただ、乾燥させた唐辛子は果肉や種にも辛さが移っているので、胎座を取り除いても辛さは残ります。
生姜
生姜も料理に辛さを加えるスパイスとして世界中で使われているスパイスの一種です。ショウガ科の多年草で、原産地は不明。日本ではすり下ろしたり薄切りにしたりして生のまま食べられることもありますが、欧米では飲み物やお菓子に使われたり、アジアでは加熱して料理に多用されます。
胡椒
胡椒はコショウ科コショウ属の植物で、完熟する前の実を乾燥させたものが黒胡椒(ブラックペッパー)、完熟した実を乾燥させて水につけ、外皮を柔らかくしてむいたものが白胡椒(ホワイトペッパー)です。黒胡椒は強い風味があり肉料理によく合います。白胡椒はより繊細な香りでサラダやクリーム系の料理、白身魚などよく合います。
ナツメグ
ナツメグといえばハンバーグに入れるスパイスとして多くの人に知られています。ナツメグは原産地がインドネシアのモルッカ諸島のニクズクという常緑樹の種子を割り、中身を挽いて粉末にしたものです。ホールで手に入れ、削って使うこともできます。ほんのりとした甘さと胡椒に似た辛味が特徴で、ひき肉料理に使うと肉の臭みを消す役割を果たします。
クミン
クミンはエジプト原産のセリ科の植物の種です。インド料理に欠かせないスパイスで、アフリカや中東、東南アジアや北米、南米など、世界中で広く使われます。欧米ではソーセージやピクルスなどにも使われ、独特の風味と香りがクセになる美味しさです。種子をホールで使うこともあれば粉末でも使われます。
ターメリック
ターメリックはインド原産のショウガ科の植物であるウコンの根茎を乾燥させて粉末にしたものです。カレーの黄色い色を出すのに欠かせないスパイスで、苦味があります。インドでは健康維持のために欠かせないスパイスで、日本では漢方薬のウコンとして親しまれています。
シナモン
シナモンはクスノキ科ニッケイ属の常緑樹の樹皮を細長く剥ぎ取って乾燥させたスパイスです。独特のスパイシーさと甘い香りがあり、インドのチャイやヨーロッパの伝統菓子などに欠かせません。漢方やアーユルヴェーダでは薬として使われ、血流を改善したり胃腸の働きを助けたりなどの効果があるとされています。
マスタードシード
マスタードシードはアブラナ科の植物、からし菜の種で原産地は地中海沿岸、現在は世界中で栽培されています。マスタードシードをペースト状にしたものがマスタードで、日本では辛子と呼ばれます。日本や中華料理では辛さを生かして料理に使われますが、欧米の料理では風味を生かして調理される傾向があるようです。インドではマスタードシードをホールのまま油で熱し、カレーに使います。また、マスタードシードのホールはピクルスやマリネなどにも使われます。
マスタードシードはブラックやブラウン、イエローと種の色で3種類に分けられ、それぞれの風味や味わいは異なります。ブラックマスタードシードはワサビと同じ成分が含まれ、鼻にツーンと抜ける辛さがあり、カレーなど辛さを必要とする料理に多用されます。ブラウンマスタードシードはブラックに似ていますが辛さはブラックより控えめで、カレーのほか魚料理、肉料理に使われたり、ペースト状にしたり、粒マスタードにしたりします。イエローマスタードシードはツーンとした辛さがなく、最も控えめな辛さです。旨味とコクが強く、ホットドックなどにつけるマスタードに使われます。また、ピクルスなどに使われるのもイエローマスタードシードです。
カルダモン
カルダモンはショウガ科に属する多年草で、強い清涼感と甘く、ほのかな柑橘系の香りが特徴です。原産地はインド亜大陸もしくはインドネシア。インドでは古くから薬として使われ、ヨーロッパでは2世紀ごろからスパイスとして使われてきました。日本では明治時代から食欲を促す薬の原料として使われてきました。コーヒーやホットミルク、チャイなどの飲み物に使われたり、お菓子の香りづけや肉料理の臭み消し、カレーなどに使われたりもします。
夏に飲みたくなるスパイスの料理の紹介
食欲がなくなりがちな夏でも美味しく、ワインが飲みたくなるようなスパイス料理を紹介します。
鶏胸肉のスパイス焼き
材料
鶏胸肉・・・2枚
オリーブオイル・・・大さじ1
黒胡椒・・・適量
【合わせ調味料】
ニンニク・・・2片
オリーブオイル・・・大さじ2
塩・・・小さじ2
ナツメグ・・・小さじ2
粉唐辛子・・・小さじ1/2
黒胡椒(粗挽きがおすすめ)・・・適量
作り方
- ニンニクをボウルの中にすりおろし、合わせ調味料とよく混ぜます。
- 鶏胸肉の皮を取り、脂肪や筋などを取り除き、1cmほどの厚さにスライスします。
- 2を1の中に入れ、調味料を揉み込みます。その後1〜2時間冷蔵庫に入れしっかりと調味料を肉に染み込ませます。
- フライパンにオリーブオイルを敷き、3の肉を敷き詰めてから点火し、中火で熱し、蓋をします。
- 3分ほどして肉に焼き目が付いたらひっくり返し、中〜弱火にし、蓋をして2分ほど焼きます。
- 蓋を取って強火にし、1分ほど焼いてしっかりと焼き目がついたら火を止めます。
- 肉をカットし、盛り付けて最後に黒胡椒(できればホールを削って)振ったら完成。
おすすめのペアリングの紹介
スペインワインとスパイス料理のペアリングのおすすめを紹介します。
オロロソ アルグエソ(Oloroso Argüeso)×スパイススープカレー
ナッツのような香りとトリュフのようなワイルドなアロマ、ほのかなスパイシーさが魅力のオロロソ アルグエソはスパイスをたっぷり聞かせたスープカレーとのペアリングがおすすめです。辛いカレーを食べてしっかりと汗をかくと不思議と暑さが吹き飛んでしまいます。
マルケス・デ・グリニョン シラー(Marqués de Griñón Syrah)×スパイシーグリル
完熟フルーツ、すみれ、スパイス、バルサミコなどの複雑なアロマを持ち、絹のような滑らかな舌触り。パワフルなフルーティさと穏やかな酸、バランスの取れたタンニンがあり、スパイスを使った赤身肉やジビエなどのグリルやBBQにぴったりです。
フリアン マドリード(Julian Madrid)×本格ミートソース
プルーンコンポートや凝縮感のあるブラックベリー系のアロマがあり、黒糖やナツメグなどの複雑さも感じられ、ナツメグを使った本格ミートソースのペンネなどとの相性は抜群です。控えめな酸、柔らかな口当たり、長く続く余韻も魅力。
まとめ
スパイスの種類やワインが飲みたくなるようなスパイス料理、スペインワインとスパイス料理のペアリングのおすすめを紹介しました。美味しいスパイス料理とワインで夏を乗り切りましょう!