フレンチオークとアメリカンオークの違いとは?オークの風味が楽しめるスペインワインも紹介 フレンチオークとアメリカンオークの違いとは?オークの風味が楽しめるスペインワインも紹介

フレンチオークとアメリカンオークの違いとは?オークの風味が楽しめるスペインワインも紹介

ワインの発酵と熟成に使われるオーク樽は古くからワイン造りに使われてきた長い歴史があります。スペインワインでもオーク樽が使用されているものは数多くあり、こちらのサイトでも「フレンチオーク」「アメリカンオーク」などの用語を目にされることもあるのではないでしょうか。 

今回はオークについて、その特徴やフレンチオークとアメリカンオークの違い、樽の焼き具合や大きさによる違いなどについて解説します。また、オーク樽を使用したおすすめのスペインワインもご紹介します。どうぞ最後までご一読ください!

 

オーク(oak)とは 

まず、オークについての説明をします。オークとは楢(ナラ)という種類の木全般を表します。ナラはブナ科コナラ属の落葉樹の紅葉樹です。ちなみに、「楢」という字は壺からお酒の香りが漏れ出る様子を表した象形文字がもとになっている「酋」の字に木偏がついてできています。このことからも、ナラの木が古くからお酒造りに使われてきたことが推察されます。ちなみに、たまにオークを樫、と説明しているのを見かけますが、樫の木は常緑樹で楢とはまったく別物です。

オークで作った樽、つまり、オーク樽には微生物に強く、乾燥に強くて液漏れしにくいという特徴があります。また、タンニンの含有量が多く、さまざまな香り成分もあります。そのため、オーク樽で発酵・熟成されたワインには、ステンレスタンクやコンクリートタンクなどが使われたワインにはない味や香りの深みがあるのです。

オーク樽の持つ香り成分には以下のようなものがあります。

ヴァニリン・・・ヴァニラの香り

ラクトン・・・ココナッツの香り

オイゲノール・・・クローブの香り

グアイアコール・・・スモーキーな香り

フルフラール、メチルフルフラール・・・樽を焼く過程で生まれるアーモンドやキャラメル、バタースコッチの香り

 

フレンチオークとアメリカンオークの違い

まず、それぞれの材質の違いを説明します。

フレンチオーク樽に使われる材質には2種類あります。1つはペドンキュラータ・オークQuercus robur)、2つめはセシルオーク(Quercus Petraea)またはツクバネガシです。いっぽう、アメリカンオーク樽に使われるのはホワイトオーク(Quercus Alba)という種類です。

フランスでは年間に750,000㎥のオーク材が加工されていて、その5%は南ドイツ原産のオークを使い、他にもイタリア、ポルトガル、ハンガリー、スロバキア、ロシアなどヨーロパ全域のオークが使われたフレンチオーク樽が存在します。いっぽう、アメリカンオークの原材料はケンタッキー、ミズーリ、カンザス、オクラホマ、アーカンソー、テキサスの各州で作られています。 

ホワイトオークはフレンチオーク樽に使われるオークに比べると繊維組織である「チロース」の密度が高いため、液漏れしにくいという性質があります。そのため、アメリカンオークはフレンチオークに比べ効率的に板材を作ることができます。また、生育のスピードもペドンキュラータ・オークセシルオークに比べると早いという特徴があります。

いっぽう、ペドンキュラータ・オークセシルオークは斧で割って板を切り出さなければならないこと、また、木の中心から放射状に木を切り出す手法を取らなければならないことなどから板材の大量生産ができません。そのため、フレンチオークはアメリカンオークよりも値段が高くなるのです。

 

つぎに、それぞれがワインに与える風味の違いを説明します。

一般的に、フレンチオークはタンニン分が多く、ヴァニラ香やココナッツ香をもたらす成分が控えめ、という特徴があります。そのため、フレンチオーク樽で熟成されたワインは樽由来の香りが控えめだとされています。 

いっぽう、アメリカンオークはタンニン分が控えめで、ヴァニラ香やココナッツ香、ミルクキャンディなどの甘い香りが強いという特徴があります。そのため、アメリカンオーク樽で熟成させたワインにはヴァニラやココナッツのほか、タバコの香りなどがつきやすいとされているのです。

フレンチオーク樽を使うか、アメリカンオーク樽を使うかは、どのようなスタイルのワインを目指すのか、また、どのような品種のぶどうのワインなのかによって判断が分かれます。また、フレンチオーク樽とアメリカンオーク樽の両方が使われる、といったワインも存在します。ちなみに、フレンチオークはヨーロピアンオークと呼ばれることもあります。

 

新樽と古樽、小樽と大樽の違い

オーク樽が新樽か古樽かでもワインに与える風味の違いがあります。新樽は木が新しいため、木の持つ風味がより強くワインにもたらされます。ワインによっては新樽で熟成させたものと古樽で熟成させたものとをブレンドすることもあります。また、新樽で発酵し、また別の新樽で熟成させ、「新樽200%」などのキャッチコピーで売り出されているワインもあるのです。ちなみに樽の寿命は短く、新樽は3年で古樽と呼ばれます。 

また、樽が大きいか小さいかでもワインにもたらされる風味は変わります。小さな樽に入れられたワインは大きな樽に入れられたワインよりも樽に接する面積が大きくなります。そのため、小樽は大樽に比べ、ワインにより強く風味を与えるのです。ちなみに、よく耳にするバリック(barrique)とは225Lほどの小樽のことを指します。バリックよりも大きな樽は、450L、500L、1800L、2000L、2400Lなどのものがあります。

 

樽の焼き加減による違い

オーク樽を組んでいく際、樽の内側の木材を柔らかくするために火で炙る工程が必要です。また、前述したとおり、樽を焼く過程でフルフラール、メチルフルフラールといった成分が生まれ、ワインにアーモンドやキャラメル、バタースコッチの香りをもたらす効果を持つようになります。

樽の焼き加減には「ライト」「ミディアム」「ヘヴィ」の三段階があります。焼き加減が「ライト」であればヴァニラなどの甘い香りやほのかなスパイシーさ、また、オーク特有の香りがワインにつきます。「ミディアム」であればカカオの風味が生まれ、「ヘヴィ」にするとコーヒーや葉巻、スパイスなどの香りが生まれると言われています

 

オークの風味が楽しめるおすすめのスペインワイン

フィンカ・アンティグア カベルネ・ソーヴィニヨン クリアンサ(FINCA ANTIGUA CABERNET SAUVIGNON CRIANZA)

 

カベルネ・ソーヴィニヨン100%のハーブやインク香のニュアンスが楽しめるしなやかなミディアムボディワイン。濃いチェリーレッドの色調に、黒系果実の香り、バルサミコの香りなどが特徴。また、マロラクティック発酵由来のヨーグルトのような香りも感じられます。豊かなフルーティさと、アメリカンオークの甘いヴァニラ香やココナッツ香もあり、熟成が感じられます。力強い味わいとともに、しっかりとしたボディ感が後からじわじわと広がります。

ペアリングにおすすめの料理は、パルミジャーノ・レッジャーノ(parmigiano reggiano)やロックフォール(roquefort)などの味の濃いチーズ、牛肉の赤ワイン煮込み、ジビエ肉や赤身肉の網焼きなどです。

スペイン中部のD.O.ラマンチャ(La Mancha)のフィンカ・アンティグアはリオハ(Rioja)に19世紀からあるファミリア・マルティネスブハンダ社(FAMILIA MARTINEZ BUJANDA, S.L.)の傘下にある、家族経営のボデガ(Bodega)で、その名も「古い畑」を意味します。高い標高にある伝統ある畑には高齢樹のぶどうが育成されていて、畑は区画ごとに分けられ、それぞれの区画ごとにワインが造られています。

 

まとめ

オークについて、その特徴やフレンチオークとアメリカンオークの違い、樽の焼き具合や大きさによる違いについてと、オーク樽を使用したおすすめのスペインワインを紹介しました。

樽について知ることで、ワインの楽しみ方がまた少し広がってくるはずです。この記事が皆さまの参考になれば幸いです。ご読了ありがとうございました!

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