ムルシア州の世界遺産・ワイン産地で洞窟壁画鑑賞も楽しめる ムルシア州の世界遺産・ワイン産地で洞窟壁画鑑賞も楽しめる

ムルシア州の世界遺産・ワイン産地で洞窟壁画鑑賞も楽しめる

ムルシア州(Murcia)はスペインの州の中では知名度が低いですが、州都のムルシアは、スペインの都市人口ランキングでトップ7に入る程、人口が多い都市です。

東側をバレンシア州(Valencia)、西側をアンダルシア州(Andalusia)にはさまれ、地中海に面したムルシア州。

カスティーリャ=ラ・マンチャ州に接する内陸部には、有名なワイン産地もあります。

有名なワイン産地のそばには、世界遺産もあるので、セットで訪れてみるのもいいですね。


ムルシア州唯一の世界遺産ロック・アートとは?

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(引用元:Arte Rupestre del Arco Mediterráneo de la Península Ibérica)

ムルシア州にある唯一の世界遺産は、1998年に登録された「イベリア半島の地中海入り江のロック・アート」(Arte rupestre del arco mediterráneo de la Península Ibérica)です。

ムルシアを含め、アンダルシア、アラゴン(Aragón)、カスティーリャ・ラ・マンチャ(Castilla-La Mancha)、カタルーニャ(Cataluña)、バレンシアの6州に点在している世界遺産で、合計758ヶ所のうち約65ヶ所がムルシア州にあります。

およそ紀元前8000~2000年ころ(中石器時代から青銅器時代のころ)に描かれたといわれるロック・アート(岩壁画)。

単純化されたシルエットのような形や細い輪郭線が特徴で、使われているのは主に赤色や黒色です。

ムルシア州を流れるセグラ川(Río Segura)流域とその周辺の山岳地帯は、動物の形の岩壁画が多いことで知られています。

岩壁画は、スペイン語で「シェルター」や「避難所」、「自然にできた岩盤の空洞」を意味するアブリゴ(Abrigo)や人間や動物によって掘られた、または、自然にできた洞窟であるクエバ(Cueva)で見ることができます。

アブリゴは、屋根が庇のように突き出ていて、雨宿りできそうな感じの場所で、比較的奥が浅く、クエバは奥行きがあります。

岩壁画の中には、現在は一般公開されていない場所や見に行くのが難しい場所に位置するものもあるのですが、今回は訪れやすいスポットを中心にご紹介していきたいと思います。

フミージャでボデガ見学と世界遺産巡りを

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ムルシア州の北部に位置するフミージャ(Jumilla)は、1966年にD.O.認定されたワイン産地です。

もともとはアルコール度数が高いブレンド用のワインを造っていたのですが、1980年代終わりにフィロキセラ(Phylloxera)の被害に遭ったことをきっかけに、高品質なワインが造られるようになりました。

フミージャではモナストレル(Monastrell)を使った赤ワインを主に生産していて、モナストレルが85%以上のワインのみ「フミージャ・モナストレル」(Jumilla Monastrell)と表示することができます。

フミージャのおすすめボデガは、ボデガス・ルソン(Bodegas Luzón)です。

樹齢45年以上のモナストレルをベースに、テンプラニーリョ(Tempranillo)とカベルネ・ソーヴィニョン(Cabernet Sauvignon)をブレンドし、樽と瓶で12ヶ月ずつ熟成させることで、複雑でパワフルなテイストを生み出す「アルトス・デ・ルソン」(Altos de Luzón)は、ボデガス・ルソンを代表するワインです。

ボデガス・ルソンでは、ボデガとぶどう畑の見学後に3種類のワインをテイスティングできる、有料のツアーを開催しています。

さて、世界遺産に話を戻しましょう。

フミージャの中心部から車で約7分の場所にあるラ・アルケリア(La Alquería)は、世界遺産を巡るシングラ山脈ルート(Ruta Sierra de la Cingla)の起点になっています。

このルート上には、スペイン語で「良い空気」を意味するブエン・アイレ(Abrigo del Buen Aire)とペリシエゴ洞窟(Cueva del Peliciego)という、2つの世界遺産があります。

ブエン・アイレには2つのシェルターがあり、南向きのシェルターには、人や動物、点や多葉模様など85点の岩壁画が、東向きのシェルターには櫛や枝のような形に見える図形的な動物などが描かれています。

南向きのシェルターの岩壁画のように、動物や人間の行動を自然に描いた絵画はレバント絵画(La pintura levantina)と呼ばれ、新石器時代ころから銅器時代(紀元前3000年ころまで)にかけて描かれました。

東向きのシェルターのように抽象的な形で描かれた岩壁画は、スケマティック絵画(La pintura esquemática)と呼ばれ、新石器時代中期から青銅器時代(紀元前2000年ころまで)にかけて描かれたものです。

シェルターの中はフェンス越しに眺めることができますが、アクセスの難易度は中くらいなので、足元に気を付けながら登ってみてください。

ペリシエゴ洞窟は、急な岩場を登った先にあるため、健脚向けのスポットです。

前面にフェンスが設置されたシェルターでは、馬・鹿などの動物や人型の岩壁画を見ることができます。すぐ隣には、長さ約40mの洞窟もあり、中に入ることもできますよ。

イエクラでは岩壁画をデザインした

ワインをお土産に

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ムルシア州の北部、フミージャよりも東側に位置するイエクラ(Yecla)は、スペインで唯一、1つの町だけでD.O.を取得しています。

1975年にD.O.認定された後、1980年代半ばに、温度制御システムを備えたステンレス鋼のタンクで、ワイン造りが行われるようになりました。

イエクラの赤ワインやロゼワインは、モナストレルを60%以上使用するよう定められています。

イエクラから北に車で30分弱向かった場所には、岩壁画を見ることができるアラビ山(Monte Arabí)があります。

周囲は「アラビ山ルート」(Ruta del Monte Arabí)という5.5kmのハイキングルートになっていて、標識が設置されているので、岩壁画までは簡単にアクセスすることができますよ。

カントス・デラ・ビセラ(Cantos de la Visera)には、2つのシェルターがあり、合計で約110点の岩壁画が鑑賞できます。

描かれているのは牛、鹿、馬、山羊、鳥などの動物が主で、他に十字型や網目模様などの形も見受けられます。

カントス・デラ・ビセラは、ガイドツアーでのみ見学が可能です。15~25人のグループでないとガイドツアーに参加できないので、ご注意ください。

カントス・デラ・ビセラと共に世界遺産に選ばれている南の洞窟(Abrigo del Mediodía)は、「アラビ山ルート」のルートを外れ、5分ほど山を登った場所にあります。

南の洞窟の壁に線で描かれた動物や人などは、3mほど離れたフェンス越しに眺めることができますよ。

斜面にあるため、トレッキングシューズなど、しっかりした足元で訪れてみてください。

話は代わりますが、カサ・デ・ラス・エスペシアス(Casa de las Especias)のワインは、すべてのエチエットに、アラビ山の洞窟に描かれた山羊のデザインを使用しています。

イエクラを訪れた記念に、購入するのも良いですね。

フミージャからイエクラまでは車で30分弱の距離にあるので、両方のボデガをはしごするのもありかもしれません。


他にもまだある!ワイン産地近くの世界遺産

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ムーラ(Mula)は、ムルシア州の中西部にあるワイン産地ブーリャス(Bullas)から車で20分ほどの場所にあります。

ブーリャスでは2600年以上前からワインが造られていたそうで、16世紀以降はワインの大産地となり、19世紀のはじめには乾燥地帯にぶどう畑を造るようになりました。

フミージャやイエクラから遅れ、1994年にD.O.認定を受けたブーリャス。

町の中心部には、19世紀に建てられたボデガを利用したワイン博物館(Museo del Vino)があり、ワインのテイスティングもできます。

ブーリャスには様々な名物料理がありますが、町の名前がついた「トリハス・デ・ブーリャス」(Torrijas de Bullas)というデザートを、ぜひ食べてみてください。

このフレンチトーストのようなデザートは、通常ならばイースター(Easter)前の聖週間に食べますが、ブーリャスのお菓子屋さんでは、一年中「トリハス・デ・ブーリャス」を販売しています。

さて、ムーラの世界遺産をご紹介しましょう。

ムーラとブーリャスのほぼ中間、C-6道路を少し逸れた農場からアクセスできるアブリゴ・デル・ミラノ(Abrigo del Milano)。

農場からは0.5kmしか離れていないので、楽にアクセスすることができます。

シェルターは奥が深いものと浅いものの2ヶ所ありますが、世界遺産に登録されているのは、奥が深いほうのシェルターです。

こちらに描かれているのはレバント絵画で、弓を持った人物や動物などが描かれています。

浅いシェルターでは、ファイ(Φ)の形で人物を表現したスケマティック絵画を見ることができますよ。

アブリゴ・デル・ミラノを訪れる際は、事前にムーラの観光案内所(Oficina de Turismo de Mula)に連絡を入れてみてください。

ムルシア州でD.O.認定を受けているワイン産地は、今までご紹介してきた3ヶ所のみですが、地中海に面したカルタヘナ(Cartagena)も、「カンポ・デ・カルタヘナ」(Campo de Cartagena)という名前で、保護原産地呼称(IGP)を取得しています。

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なお、カルタヘナのイスラ・プラナ(Isla Plana)には、一般公開されていないですが、ヒグエラ洞窟(Cueva de la Higuera)という世界遺産があります。

カルタヘナを訪れるならば、人気のタパスバル・アルベドリオ(Albedrio)に立ち寄ってみてはいかがですか。

見た目もかわいい、1口サイズのキューブ状フライが4種類楽しめるDaditos Albedrioなど、工夫を凝らしたメニューがいっぱいです。

ワインはリベラ・デル・ドゥエロ(Ribera del Duero)中心ですが、フミージャにあるボデガス・ヴィーニャ・エレーナ(Bodegas Viña Elena)のBruma Marín Colecciónもラインナップに含まれています。

アルベドリオは、ロルカ(Lorca)にも姉妹店がありますよ。


まとめ

スペイン有数の農業地帯で、地中海にも面しているムルシア州。

そのため、乾燥そらまめ・ミチロネス(Michirones)を使った料理やムルシア風ミートパイ(Pastel murciano)、マグロの塩干し(モハマ, Mojama de Atun)、からすみ(botargaまたはhueva)、ムルシア州原産のボンバ米(arroz bomba)を魚の出汁で煮込んだカルデロ(Arroz Caldero)など、名物がいろいろあります。

また、熟成中にムルシア産の赤ワインで洗う、シェーブル(Chevre,山羊)タイプのチーズ・ケソ・デ・ムルシア・アル・ビノ(Queso de Murcia al Vino)やワイン入りのドーナツ風焼き菓子(Rollos de vino)など、ワインを使った名物もありますよ。

ムルシア州では、世界遺産だけでなく、ワインやグルメも楽しめるので、機会があれば、ぜひ訪れてみてください。

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