ワインに含まれる亜硫酸について解説します ワインに含まれる亜硫酸について解説します

ワインに含まれる亜硫酸について解説します

みなさんはワインを買う時、亜硫酸について気にしたことはないでしょうか? 

「亜硫酸が入ったワインを飲むと頭痛がする」などと耳にしたことがある方もいらっしゃると思いますが、はたしてそれは本当なのでしょうか?

今回は亜硫酸について、なぜワインに亜硫酸は含まれるのかということや亜硫酸に関する規定・義務などについて解説し、おすすめのナチュールワインをスペインワインから紹介します。


亜硫酸とは?

亜硫酸は硫黄を焼いたときに生まれ、化学式で表すとH2SO3sです。硫黄は自然界に存在する、古くからワインと非常に関わりの深い物質です。古代エジプトやローマ時代にはすでに、樽の中で硫黄を燃やし、亜硫酸ガスを発生させてワイン醸造に利用していたと言われています。

亜硫酸はアレルギーのある方や重度の喘息の方にとって、低濃度でも発作を引き起こす原因となる可能性があります。そのため、喘息の方は亜硫酸の添加されたワインには注意が必要です。

また、ワインに含まれる亜硫酸は頭痛の原因になる、との説もあります。ただ、この説は近年否定されつつあり、ワインに含まれるヒスタミンやチラミンなどが頭痛のおもな原因であると考えられています。ヒスタミンには血管を拡張させる作用があり、チラミンは血管を収縮させる作用があるため、ワインを飲んだ後の頭痛の原因となる可能性があるのです。

ヒスタミンやチラミンはおもに、赤ワインとの醸造過程で発生します。そのため、赤ワインを飲むと頭痛がする方も、白ワインなら大丈夫、ということもあるのです。

 

なぜワインに亜硫酸は含まれるのか?

ワインはぶどうと酵母だけで造られるお酒です。亜硫酸塩は、ぶどうが発酵し、ワインになる過程の副産物としても生成されます。そのため、亜硫酸「無添加」ワインはあっても、亜硫酸「含有量ゼロ」のワインはありません。

ただ、近年は、亜硫酸を収穫の段階で添加するワインの造り手が増えています。そして、機械で一気に収穫する大量生産のワインには、 醸造過程で酸化防止剤を添加する必要があるのです。

亜硫酸をワインに添加しなくてはならない理由はおもに、以下の2つになります。

 

酸化防止

亜硫酸は酸化防止剤の役割を果たします。亜硫酸は非常に酸化しやすく、ワインに含まれる他の成分に先駆けて酸素と結合するため、ワインの酸化を防いでくれるのです。また、ワインに含まれるアルコールが酸化するとアセトアルデヒドが生まれますが、亜硫酸はアセトアルデヒドに結合し、すでに酸化していた状態からも復活させてくれます。

 

殺菌効果

殺菌効果は古代から亜硫酸がワイン醸造に使用されてきた理由となっています。亜硫酸には細菌の増殖を防ぎ、発酵が終わった後も残っている酵母の活動を弱め、再発酵を防止してくれるのです。また、樽などの醸造器具の殺菌や、不快な臭いを生み出す悪玉酵母や雑菌の繁殖を防ぐためなど、醸造中の細菌管理にも利用されています。

 

亜硫酸に関する規定・義務

ワインに使用される酸化防止剤は食品添加物のひとつです。消費者庁は食品添加物表示を管轄し、事業者に表示方法を定めています。その際、目的に応じた用途名と物質名を併わせて表示することが義務付けられています。

ワインの例を上げると「原材料名 ぶどう/酸化防止剤(亜硫酸)」と表示があった場合、「/」の後からが添加物の表示になります。そして、用途名が酸化防止剤、物質名が亜硫酸となるのです。

添加物である酸化防止剤の使用量は、厚生労働省により一日摂取許容量が法律で定められています。また、日本の果実酒に対する亜硫酸最大含有量規定は350mg/Lまでと定められています。


おすすめのナチュールワインの紹介

ブライ ロゼ(Blai Rose)

カジュアルに楽しめる近年注目のロゼチャコリ(Rose txakoli)です。スペイン北部のバスク州(País Vasco)ギプスコア県(Gipuzkoa)ゲタリアのワイナリー、ブライ・チャコリーナ(Blai Txakolina)が、シュール・リー(Sur Lie)製法で、珍しいロゼタイプのチャコリ(txakoli)を造りました。シュール・リーとは澱引きをせず、澱と一緒にワインの熟成を進め、果汁と下に沈んだ澱をかき混ぜることを繰り返します。そのため、澱由来のうまみがワインに溶け、ボリューム感のある味わいになるのです。使用されているのは海沿いのぶどう畑で収穫された黒ぶどう品種、オンダラビ・ベルツァ(Hondarrabi Beltza)。色合いはサーモンピンクで、ピンクグレープフルーツやザクロのようなアロマがチャーミングです。

注いだ瞬間にシュワシュワと泡が感じられ、ハーブのフレッシュな香りを楽しめます。また、注いでから時間が経って温度が上がると新鮮なイチゴのような香りも出てきてフルーティさがしっかり感じられ、たっぷりとした味わいを楽しむことができます。

白ワインの爽やかさと、果皮からくるかすかな渋みがあるため、幅広い種類の料理に合わせられます。おすすめのペアリングは生春巻き、海老のチリソースなど、スパイシーなエスニックや、生ハムなど。魚料理はカルパッチョやサーモンの香草焼きなど、肉料理はチキンピカタ、ラムのローストなどです。チーズはクリーミーな白カビタイプや、クリームチーズがおすすめです。

 

ライク(Like)

カジュアルに楽しめる辛口ワイン。たくさんの人からの「いいね!」がつくようなワインを目指して造られました。色合いはレモンイエロー。新鮮で爽やかな味わいです。また、青りんごや柑橘のようなアロマにしっかりと酸が特徴です。使用しているぶどうはチャレロ(Xarel·lo)50%、ミュスカ・ド・フロンティニャン(Muscat de Frontignan)50%。

造り手のボデガス・トレ・デル・ベゲール(Bodegas Torre del Veguer)は1413年には修道士たちが礼拝のためにワインを造るため、粘土と石造りによる手作りの大桶が作られ、ワインが醸造され始めました。その石桶はなんと現在でも使用されています。

修道士が他の地に移住し、所有権が多くの権力者たちの手に渡ったのち現在のオーナー家族になったのは1878年のこと。 建築物としての歴史的価値と芸術性から2010年にはカタルーニャ州(Catalunya)の歴史的建造物として登録されました。 また、2013年からは有機農法を始め、オーガニックワインとしては2016年から認証を取得、2018年にはヴィーガン認証も取得。 亜硫酸、砂糖の使用を極力控え、自然にまかせた農業を心掛け、造られるワインは畑そのものが表現されたものになっています。

 

ジェロニムス(Jerónimus)

古くからの造り方にこだわり続ける、温故知新の赤ワインです。色合いは落ち着きのあるルビーレッド。赤系ベリー系のアロマに、ジャムとペッパーのほんのりとしたニュアンスが楽しめます。時間と共に干し肉のようなワイルドな表情も垣間見えます。しっかりとしたストラクチャーと繊細さ、エレガントさを兼ねそなえる仕上がり。 また、深みと奥行きもあり、計り知れないポテンシャルのあるオーガニック認証ワインです。

このジェロニムスの大きな特徴はボデガス・トレ・デル・ベゲールが1413年から使い続けてきた石桶で発酵している点でしょう。年間生産本数はわずか5000本の希少さも、注目のポイントです。

 

まとめ

亜硫酸について、なぜワインに亜硫酸は含まれるのかということや亜硫酸に関する規定・義務などについて解説し、おすすめのナチュールワインをスペインワインから紹介しました。亜硫酸について知ることで、ワイン選びの幅がより広がるはずです。亜硫酸について正しく知り、さらにワインを楽しく、美味しく、味わいたいですね。

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