スペイン全土には約600種類ものぶどう品種があるといわれていますが、スペインワインの8割のワインはそのうちわずか20種類のぶどう品種から生産されています。
つまり、残りの580種類は必然的にマイナー品種となります。今回は、そんな数あるマイナー品種の中でも、世界クラスの上品質な赤ワインが造れると、現在注目を集めているスター品種「ボバル」をご紹介します。
ボバル種の名を初めて聞く人もいるかもしれませんが、そのポテンシャルの高さを知ればきっとボバルワインが飲みたくなるはず。おすすめのボバル100%ワイン「ボデガ・シエラ・ノルテ(Bodega Sierra Norte)」と共にその魅力についてご紹介します。
マイナーぶどう品種「ボバル」について
ボバルは、スペイン南東部バレンシア州ウティエル・レケナ原産のぶどう品種です。
ボバルは色素が濃く、酸味が強いことからその多くがマイナーなブレンド品種として使用されてきました。さらにボバルのぶどう樹は、不均一に熟すという習慣があるため、注意深く栽培する必要がありました。
しかし、最高の状態を保つことができれば、ボバルワインはアルコール度数が少なくても、バランスの取れた酸味をもつ、滑らかでシルキーなワインに仕上がります。
研究を重ねられた現在のボバルは、世界クラスの上質なワインを生み出し、2000年代初頭、かの有名なロバートパーカーが、ボバルのワインの品質の良さを大変高く評価。
以降、これまで脚光を浴びることのなかったマイナーブレンド品種だったボバル種は、スペインの新たなスター品種となりました。
ボバルワインの特徴
ボバルワインは、チェリーのような赤系ベリーからプラム、ブルーベリー、プルーンなどの青系ベリーまで、大変豊かな果実味を感じられることが特徴です。
フランスの古典的な赤ワインにあるスモーキーさや、チョコレートやドライベリーなど非常に繊細なフレーバーを持ち、絹のように滑らかでシルキーな口当たり。
ボバルワインは、複雑さと上品なタンニンを備えた非常にポテンシャルの高いワインとして認められています。
ボバル100%のおすすめ赤ワイン「パシオン・デ・ボバル(Pasión de Bobal)」
【商品情報】
商品名 |
パシオン・デ・ボバル(Pasión de Bobal) |
生産者 |
ボデガ・シエラ・ノルテ(Bodega Sierra Norte) |
ビンテージ |
2019年 |
設立 |
1995年 |
おすすめ料理 |
赤身肉のグリル(薪や炭火焼)、ローストビーフ、ラムシチュー、カジョスなど |
生産国 |
スペイン |
地域 |
D.O.ウティエル・レケーナ(D.O.Utiel Requena) |
ぶどう品種 |
ボバル 100%(樹齢 61年) |
発酵容器 |
ステンレス・スティールタンク |
度数 |
14% |
テイスト |
ミディアム |
飲み頃の温度 |
16~18℃ |
容量 |
750ml |
今回ご紹介するワインは、ボデガ・シエラ・ノルテ(Bodega Sierra Norte)が造るボバル100%を使用した赤ワイン「パシオン・デ・ボバル(Pasión de Bobal)」。
2017年リリースのワインよりユーロリーフ認定のオーガニック赤ワイン、さらにヴィーガン認証を取得。環境にも身体にも配慮した思いやりのあるワインは、ハートの木が描かれているラベルが特徴です。
Pasión de Bobal(パシオン・デ・ボバル)
Pasión de Bobal(パシオン・デ・ボバル)は、ワイナリー「ボデガ・シエラ・ノルテ」が造る最初の単一品種ワインです。
ボバルを使った単一品種ワインは、非常に複雑なワインを造ることができる一方で、その当時の一般消費者にとって名前を聞いたことのないぶどう品種でありながら高価なワインであったため、そのワインの価値が評価され辛いという、難しいぶどう品種でもありました。
しかし、絶滅しかけていた土着品種「ボバル種」の素晴らしさを広く知ってもらいたい。という想いから、誰にでも好まれる手頃な価格で販売できる高品質なワインを目指し、5年間の試行錯誤を重ねて2010年にパテシオン・デ・ボバル、最初のヴィンテージが生まれました。
そして、スタッフの“Pasion(情熱)”をぶどう品種「ボバル」へ惜しみなく込めたワインと言うことから、“Pasión de Bobal”という名前が付けられました。
60年の歴史を持つぶどう園からこだわりの生産
パテシオンには、樹齢60年という高樹齢のボバルのみを100%を使用しており、個性的なワインを生産するために必要なバランスと品質の可能性を明確に追求されたワインです。
ぶどうは毎年10月に収穫され、小さな木枠に集められます。セラーに到着すると、房を慎重に分類し、長い醸造が始まります。
発酵前のコールドソークから始まり、低温での短時間のアルコール発酵が続きます。その後、ワインは100%新しいフレンチオーク樽でマロラクティック発酵を行い、最長6ヶ月間熟成期間があります。
瓶詰め前の清澄、安定化、ろ過のプロセスまで、すべて製造過程において、その品質を高く維持するために細心の注意を払って生産されています。
こだわりと品質が認められ、販売1年で大きく飛躍するパシオン
そんな強い情熱と想いが込められたパシオンは、販売翌年の2011年、多くの一流ワイン評論家によって90点以上の高い評価を受け、素晴らしいワインであると絶賛されました。
国内外の専門雑誌によって、幅広く紹介されたパシオン・デ・ボバルの需要は飛躍的に伸び、販売からたった1年という速さで大きな成功を果たします。
味わいの特徴
ワインの色合いは、色鮮やかな濃いルビー色。
口に含んだ瞬間、ブラックベリー、野いちご、ラズベリー、カシスといった凝縮したベリーの華やかでフルーティーなアロマと樽からくるヴァニラ、トースト、カカオ豆のような軽い焙煎香。スパイシーなニュアンスなど、バラエティに富んだ風味豊かな表情を魅せます。
口当たりはまろやかで、果実と柔らかなタンニンがバランスの取れた魅力溢れるワイン。
土着品種であるボバル種特有のスパイシーさとスモーキーさ、たっぷりと広がる果実味。ボバル種の良さを最大限に引き出している逸品です。
しっかりとした味わいを持つパテシオンは、赤身肉や鴨肉などボリューミーな肉料理から濃厚なチーズ、パスタソースとの相性も抜群です。
生産者「ボデガ・シエラ・ノルテ(Bodega Sierra Norte)」について
ボデガ・シエラ・ノルテ(Bodega Sierra Norte)は、バレンシア県の内陸にあるレケーナの外れ(バレンシアから車で30分程度)にある家族経営のワイナリーです。
ぶどう栽培農家の3代目だった当時のオーナーが自分たちの理想のワインを造ろうと1995年に設立(実際の瓶詰めは1998年から開始)。カンボロブレスに60ヘクタールのぶどう畑を所有しています。
自然との共存を目指したワイン造り
ボデガ・シエラ・ノルテでは、パシオンに使用されている土着品種ボバルの他にも、テンプラニージョ、カベルネ・ソービニヨン、メルロー、シラー、マカベオ、シャルドネ、ソービニヨン・ブランを栽培しています。
これらのぶどう畑には化学肥料を一切使用せず、持続可能な有機ぶどう園を目指し、バレンシア大学や産業技術開発センター(CDTI)と協力して、研究開発に焦点を当てたプロジェクトが継続的に行われています。
こうした絶え間ない努力の結果として、ボデガ・シエラ・ノルテのすべての畑がオーガニック認定を受けています。
まとめ
これまで数百年という間、バレンシア地方のぶどう農家だけが知っているマイナーなぶどう品種として知られてきたスペインの古代ぶどう品種ボバル。
ましてや単一品種での扱いは難しく、常にブレンド品種として扱われてきたボバル種は、その長い歴史を経て、スター品種と呼ばれるまでに成長しました。
そんなボバルのポテンシャルにいち早く目を付けた「ボデガ・シエラ・ノルテ」の手よって、その魅力が引き出され、華やかでフルーティーかつエレガントなワインに仕上がっている「パシオン・デ・ボバル」。
マイナー品種とは思えない、品質の高さにきっとあなたも驚くはず。ぜひ、ご賞味ください。