オーガニックワイン未経験の方に!その特徴とスペインのオーガニックワインの現状をご紹介  オーガニックワイン未経験の方に!その特徴とスペインのオーガニックワインの現状をご紹介 

オーガニックワイン未経験の方に!その特徴とスペインのオーガニックワインの現状をご紹介 

オーガニックワインという言葉は知っていても、具体的にオーガニックワインがどういったものなのか、ご存じない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この文章では、オーガニックワインの定義やメリット・デメリット、どのような認証制度があるのか、スペインでのオーガニックワインの現状をご紹介したいと思います。


オーガニックワインとは?

オーガニックは日本語で「有機栽培」や「無農薬」を意味し、有機栽培で作られたぶどうを使ったワインを、通常はオーガニックワインと呼んでいます。

有機栽培では、化学肥料や殺虫剤・除草剤などの農薬、防腐剤(ポストハーベスト農薬)などを使いません。

ですが、ボルドー液(硫酸銅と石灰)など有機由来の農薬は例外で使うことができます。ボルドー液も使いすぎると、土に重金属がたまるので、使用量は限られます。

酸化防止剤として亜硫酸を使用することもできますが、容量が限られています。亜硫酸は、二酸化硫黄が水に溶けたものです。亜硫酸が無添加の場合でも、天然酵母が若干亜硫酸を分泌するため、亜硫酸がまったく入っていないワインは作ることができません。


オーガニックワインには、 


・ビオロジック・ワイン

・ビオディナミ・ワイン


の2種類があります。

ビオロジック・ワインは、有機農法で栽培されたぶどうを使って作られたワインなので、オーガニックワインとほぼ同じ意味です。

ビオディナミ・ワインは、ルドルフ・シュタイナーが提唱したビオディナミ農法で作られたワインのことです。ビオディナミ農法は、天体がぶどうの樹や畑にもたらす影響を考慮に入れながら行う栽培方法で、有機肥料の種類や調合の仕方なども細かく決められています。ドイツの認証機関・デメター(Demeter)で認証を受けることができます。

ワイナリーによっては、どうしても化学薬品や農薬を使わざるを得ない状況がある可能性を考慮し、オーガニックでなく、あえてリュット・レゾネ(減農薬農法)を選ぶケースもあります。 


オーガニックワインと自然派ワインの違い

オーガニックワイン おいしい スコルニワイン

オーガニックワインと似たイメージの自然派ワインですが、オーガニックワインがぶどうの栽培に関する規定が主なのに対し、自然派ワインは、ワインの醸造に重きが置かれています。

自然派ワインは


・ぶどうに付着した酵母、およびワイナリー内の酵母で自然に発酵させる

・亜硫酸が無添加、または少量であること

・無着色・無添加であること

・清澄したり、ろ過したりしないケースが多い


などが特徴です。

また、コルクにカビが生えにくいなどの理由で、蝋封されたビンが多いのも特徴です。

しかし、定義が明確化されていないため、すべてを厳格に行っているワイナリーや一部だけ取り入れているワイナリーなど、ワイナリーによってばらつきがあります。


オーガニックワインのメリットとデメリット

オーガニック オーガニックワイン おいしい スコルニワイン

メリット

農薬が含まれていないので、身体に良い

糖度が抜けたり、天然の酵母が洗い流されたりしてしまうため、ワインを作る時にぶどうを洗うことはできません。そのため、通常のワインは農薬がそのまま混入されてしまいます。

飲んでも頭が痛くなりにくい 

メタ重亜硫酸カリウムで作られた二酸化硫黄」が酸化防止剤として入っているワインは、大量に飲むと、頭痛や胃痛の原因になります。硫黄を燃やした「二酸化硫黄」が使われたオーガニックワインならば、そのような痛みを引き起こす可能性が低いと言われています。

自然環境に良い 

殺虫剤を使うと、害虫だけでなく益虫も殺してしまうため、受粉する蜂などもいなくなってしまいます。

オーガニックワインを飲むことで、「陸の豊かさも守ろう」など、SDGs※の目標のいくつかにも貢献できます。

※SDGs=持続可能な開発目標の事。貧困を無くしたり、ジェンダー平等、環境問題改善などを目標にしている。

その土地ならではの個性がある 

化学肥料は土を固めるため、化学肥料の層を取り除かないと、その土地ならではの個性がワインにあらわれません。


デメリット

生産量が少ないので、値段が高い

栽培に手間がかかったり、ぶどうの収穫量が少なくなったりするだけでなく、ポストハーベスト処理を行わないので、遠くの場所で加工することもできないため、通常のワインに比べて、値段が高くなっています。

亜硫酸の容量が少ないので、温度管理が難しい

温度を一定に保って輸送しないと(通常は15度前後。遠方に送る際は12度)、劣化して、味が落ちてしまいます。

品質が安定しにくい

同じ生産者が作ったワインでも、ぶどうの収穫日やタンクのどの部分にあったかなどにより、味が違ってしまいます。

オーガニックワインの主な認証制度

ユーロリーフ

ユーロリーフ オーガニック

ユーロリーフはEUのオーガニック認証制度で、EU内で作られた製品の他、EU内からEU外へ輸出、またはEU外からEU内へ輸入する製品も対象です。

有機成分が95%以上含まれている製品に限って認定され、残りの5%の成分も、細かく制限されています。

慣行農法から有機農法に転換する場合は、3年以上経過しないと認証が受けられません。

ユーロリーフのルールとしては、


・遺伝子組換え作物( GMO )を使用していない

・人工肥料、除草剤、農薬の使用を制限する。

・食品の殺虫・殺菌、熟度調整などを目的とした電離放射線の使用禁止


などが挙げられます。

ビオディナミ(バイオダイナミック)農法の使用も許可されています。

ワインに関しては、

・有機ぶどうと酵母を使う

・ソルビン酸(ワインの再発酵防止用)の使用と脱硫(亜硫酸を科学的に除去すること)の禁止

・有機ワイン中の亜硫酸は、赤ワインの場合、1リットルにつき100mg以下で、残糖量は1リットルあたり2g未満。残糖度が2未満の白ワインやロゼワインは1リットルにつき、亜硫酸が150mg以下

などのルールが決められています。

2010年から、EU内で作られた包装済みの認証製品に関しては、ロゴマークの添付が義務化されました。ロゴマークには、認証機関コードと原産地が記載されています。

2012年から、ぶどう栽培だけでなく、醸造に関する規定も盛り込まれるようになりました。


AB

AB オーガニック認証

アグリキュルチュール・ビオロジック(Agriculture biologique)はフランスのオーガニック認証制度で、100%オーガニック、または有機成分が95%以上含まれている加工製品が対象です。1985年に、フランス政府が制定しました。フランスでの知名度は97%以上あります。ユーロリーフのように義務化されていなく、オプションで付けることができます。

ACO

オーガニック認証 ACO

1987年に設立されたオーストラリアン・サーティファイド・オーガニック(Australian Certified Organic)は、オーストラリアで最大規模のオーガニック認証機関です。ACOでは、オーストラリア国内でのバイオダイナミック(BD)認証と有機認証の両方を取得できます。また、ユーロリーフや日本のJAS規格など、提携している認証機関の認証も取得できるのが特徴です。

スペインの主な認証制度

SOHISCERT

オーガニック認証 SOHISCERT

スペイン国家認定機関(ENAC)公認。20年以上の歴史がある、スペインで初めての民間有機認証機関です。日本のJASやアメリカのNOP団体などと提携しています。

スペインでは、オーガニックワインを「ビノ・エコロヒコ(vino ecológico)」と呼び、州ごとに認証や認証シールの発行が行われています。


CCPAE (Consell Català de la Producció Agrària Ecològica)は、 カタルーニャ地方の有機農法生産統制委員会です。

オーガニック認証 CCPAE

他に、CAECV(Comité de Agricultura Ecológica de la Comunidad Valenciana) (バレンシア有機農業委員会)などがあります。

オーガニック認証 CAECV


スペインのオーガニックワインの現状

オーガニックワイン 葡萄

スペインは、オーガニックへの取り組みが、他の国に比べてだいぶ遅れていました。しかし、冬は極寒、夏は猛暑で乾燥する気候であるため、もともと化学肥料や殺虫剤を使わずに育てていた農家も多くいました。

農業と観光が主な産業で、ほかの地域への人口流出を避けたいアンダルシア州では、1991年から、農水省の下部機関であるCAAEが農産食品部門の認証を行うようになりました(現在、アンダルシア州とカスティーリャ・ラ・マンチャ州、カスティーリャ・イ・レオン州の認可を受けています)。

CAAEは公的な機関のため、オーガニック農業の普及を行ったり、認証の負担を軽くしたり、オーガニックに転換する助成を行ったりすることができました。その結果、認証した面積は1,000,000ヘクタール以上になり、ヨーロッパの認証機関としては最大の広さを誇ります。

2018年現在、スペインの有機農地の面積は2,246,474ヘクタールで、前年から8%増加しました。EU内での有機農地の加盟国別シェアは、2017年現在、16.6%でトップです。

スペインは、有機ぶどうを栽培する畑の面積も2018年時点で113,000ヘクタール以上あり、広さが世界一です。2001年の11,841ヘクタールと比べると、約10倍に増加しています。

有機ぶどうの畑はぶどう畑全体の約12%で、年々増加傾向にあります。

有機ワイン生産者の数も、2017年から2018年の間に939から1,033へと、10%増加しました。

2014年には、スペインのオーガニックワインの輸出を促進するため、SOW(Spanish Organic Wines、スペイン有機ワイン協会)が設立されました。

スペインでは、Five Bioのような、国際的なオーガニックワインのイベントも開催されています。


まとめ

オーガニックワインに縁がなかった方も、この文章を読んで、少しオーガニックワインに興味を持たれたのではないでしょうか。

オーガニックワインは、身体にも環境にも優しいワインです。また、大量生産のワインでは出せない個性もあります。

初めてのオーガニックワインは、お手頃価格のスペイン産がおすすめです。

この機会に、ぜひ1度、オーガニックワインを試してみてはいかがでしょうか。

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