スペイン北部、エブロ河流域に広がる生産地リオハ(Rioja)は、スペインが誇る名釀地として知られています。
近年では、プリオラート(Priorato)やリベラ・デル・ドゥエロ(Ribera del Duero)などの、発展が目覚ましい他の産地も注目されていますが、スペンワインと言えば、リオハ(Rioja)を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
リオハ(Rioja)で造られている主要なブドウ品種は、黒ブドウはテンプラニージョ(Tempranillo)、ガルナッチャ(Garnacha)、白ブドウではビウラ(Viura)やガルナッチャブランカ(Garnacha Blanca)などが栽培されており、生産量の約8割が赤ワインとなっています。
今回は、リオハ(Rioja)の老舗ワイナリー、ボテガス・カサ・プリミシア(Bodegas Casa Primicia)が手掛ける赤ワイン、フリアン マドリード (Julian Madrid)をご紹介します。
リオハ(Rioja)が名釀地となった歴史
リオハ(Rioja)はスペイン北部に流れる大きな河、エブロ河の支流であるオハ河(スペイン語でRioOhaリオ・オハ)が産地名の由来となっています。
リオハ(Rioja)が現在のように名釀地と呼ばれるようになったきっかけは、19世紀後半にフランス全土を襲ったフィロキセラやウドンコ病などの病害虫の影響でした。(※フィロキセラ とはアブラムシの一種で、ブドウの樹の根に寄生すると樹全体を腐らせてしまう恐ろしい害虫です。)
フランス全土を襲ったフィロキセラ渦では、対策の術を持たなかったフランスのブドウ畑は大きな被害を受け、中でもボルドーの被害は甚大でした。
ボルドーのワイン商たちは代わりとなるワインを探すため、フランスから近く大きな被害を受けていなかったスペインを訪れ、リオハ(Rioja)に辿り着いたのです。
リオハでは「ラガール」と呼ばれる石で出来た発酵槽を使用して造った、早飲みタイプのワイン造りが主流でした。
ボルドーワインの代替品として造られるリオハワインは、当時のボルドー式の製法に習い、「木製の大きな発酵槽」で発酵させ、輸送容器としても便利であった「木の小樽」に詰めて熟成させる、というスタイルで造られ、次第にこの「ボルドースタイル」がリオハワインの主流となっていくのです。
ボルドーの技術によって品質が大きく向上したことに加え、鉄道がスペイン全土に広がったことで物流が容易になり、高品質なリオハワインはスペイン全土に広がっていきます。
フランスからフィロキセラがスペインにやってきた頃には、すでにフィロキセラに耐性のある品種の樹を接木するという対策が確立されており、スペインのブドウ畑は被害を免れることとなりました。
元からブドウ栽培に適した気候・風土を持っていたことから、ボルドーからスペインに移住してブドウ栽培を続ける生産者も居たそうです。
このような経緯からリオハ(Rioja)は、恵まれた風土とボルドーから伝わった技術が融合し、世界的な名釀地として知られるようになったのです。
リオハ(Rioja)が1991年にスペインで最初の特選原産地呼称D.O.Ca.を取得していることからも、特別な産地であることが伺えますね。
リオハワインの熟成規定
ボルドーから技術が伝わったという背景もあり、樽を巧みに使った奥深い味わいがリオハワインの魅力のひとつです。
Rioja D.O.Ca.委員会が2017年に発表した熟成期間の規定が2018年にヨーロッパ連合によって承認され、ラベルを見ることでワインの熟成期間がわかるようになっています。
樽熟成には主にアメリカ産オークやフランス産オークから作られた樽が用いられ、熟成期間によってその表示が変わります。
名称 |
ワインのタイプ |
熟成期間 |
Crianza(クリアンサ) |
赤 |
収穫年の10月1日から数えて、最低2年以上の熟成をしていること。 |
白・ロゼ |
合計18ヶ月(内6ヶ月以上は樽熟成)の熟成をしていること。 |
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Reserva(レセルバ) |
赤 |
オーク樽熟成と瓶熟成の期間を合わせて、最低36ヶ月熟成をしていること。 |
白・ロゼ |
オーク樽と瓶熟成の期間を合わせて最低24ヶ月熟成をしていること。 |
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GranReserva |
赤 |
オーク樽と瓶熟成の期間を合わせて、最低60ヶ月熟成をしていること。 |
白・ロゼ |
オーク樽と瓶熟成の期間を合わせて、最低48ヶ月熟成をしていること。 |
フリアン マドリード レセルバ
【商品情報】
商品名 |
フリアン マドリード レセルバ (Julian Madrid Reserva) |
生産者 |
ボテガス・カサ・プリミシア (Bodegas Casa Primicia) |
地域 |
ブドウ生産地:バスク州 D.O.Ca. Rioja(D.O.Ca.リオハ) |
ビンテージ |
2017 |
生産国 |
スペイン |
ブドウ品種 |
テンプラニージョ100%【樹齢35年】 |
認証・規格 |
|
おすすめ料理 |
鹿肉ロースト、フォアグラのポワレ、和牛の炙り、牛頬肉の赤ワイン煮、テリーヌショコラ など |
発酵容器 |
ステンレス・スティールタンク |
発酵期間 |
8日間 |
発酵温度 |
25°C |
度数 |
14.5% |
テイスト |
フルボディ |
飲み頃の温度 |
13~15°C |
容量 |
750ml |
フリアン マドリード (Julian Madrid)について
フリアン マドリード (Julian Madrid)は、テンプラニージョ (Tempranillo)というスペインを代表する品種から造られており、高品質なテンプラニージョはリオハ・アラベサ(Rioja Alavesa)の恵まれた自然環境と、人の手によって生まれます。
リオハ(Rioja)は、リオハ・アルタ(Rioja Alta)、リオハ・オリエンタル(Rioja Oriental)、リオハ・アラベサ(Rioja Alavesa)という 3つの小地区に分かれています。
標高が高く石灰の多い土壌を持つリオハ・アラベサ(Rioja Alavesa)は、高品質なテンプラニージョ (Tempranillo)を生み出すことでられており、カジュアルな若飲みタイプから長期熟成タイプまで、世界的に評価の高い赤ワインが生産されています。
手作業で一房ずつ丁寧に選果されたブドウを破砕し8日間の発酵期間を経て、フランス産オークの小樽で20ヶ月間熟成させ、香りと味わいに複雑さを加えます。
フリアン マドリード (Julian Madrid)は、タンニンと果実味のバランスが良く、樽を巧みに使ったエレガントな赤ワイン。
権威ある国際コンクールであるヴィネクスポ(Vinexpo)をはじめ、著名なワイン専門誌などでも多くの受賞歴を持つ「世界が認める王道のリオハワイン」です。
味わいの特徴
フリアン マドリード (Julian Madrid)は、濃く輝きのあるルビーレッドの美しい色調と、コンポートしたプルーンのような甘やかで凝縮感のある香りを楽しむことができます。
後にブラックベリーのようなアロマに加え、黒糖やナツメグなどの奥行きのある複雑さが加わり、その香りは時間と共に変化していき、口に含むとほのかな甘みに加え穏やかな酸と、きめ細かなタンニン、長い余韻を楽しむことができます。
フリアン マドリード (Julian Madrid)は、エレガントで柔らかな仕上がりの赤ワインです。
おすすめのペアリング
柔らかな飲み口で、穏やかな酸味ときめ細かなタンニンを楽しめるフリアン マドリード (Julian Madrid)は、ぜひお肉を使った料理と合わせてお楽しみください。
中でも、赤身のお肉は特におすすめで、鹿肉や子羊のロースト、和牛の炙り、牛頬肉の赤ワイン煮は相性がピッタリです。
フォアグラのポワレやテリーヌショコラもワインが持つタンニンのきめ細かさを引き立ててくれます。
スペイン産の生ハム「ハモンセラーノ」や、羊乳のハードチーズなども好相性です。
ボテガス・カサ・プリミシア (Bodegas Casa Primicia)について
エブロ河の左岸、リオハ・アラベサの中心地にあるラ・グアルディア村に11世紀から存在する歴史あるワイナリーです。
教会に対して農民が支払う税「十分の一税」が地域で最初に納められていたことから、カサ・プリミシア(最初という意味)という名称が今でも続いています。
15世紀には教会として利用されており、周辺の農家などから税として納められた初収穫の作物を保存していましたが、ブドウは保存されずにワインにされていたという記録があり、地下にはスペイン最古のワイン醸造施設が残っています。
1985年より現在のオーナー、マドリッド・カスタニェーダ兄弟の手による丹念なワインづくりによって、1987年のボルドーのヴィネクスポにて、グランプリ・ドゥヌール(名誉大賞)に選ばれた事を皮切りに、国内外の数々のコンクールで多数受賞。評価を高めているワイナリーです。
まとめ
リオハのワインは熟成期間が非常に重要で、独自の厳しい基準が設けられています。
熟成を経たワインでしか味わえない円熟味を、手にとってすぐに楽しめるのもリオハワインの魅力ですよね。
今回は、名釀地リオハの生き証人とも言える老舗ワイナリー、ボテガス・カサ・プリミシア(Bodegas Casa Primicia)のフリアン マドリード (Julian Madrid)をご紹介しました。
世界が認めた上質なリオハワインは特別な日や贈り物にもぴったりな1本です。