肉と赤ワインはなぜ合うのか、掘り下げてみよう! 肉と赤ワインはなぜ合うのか、掘り下げてみよう!

肉と赤ワインはなぜ合うのか、掘り下げてみよう!

「牛肉に赤ワインのマリアージュ」というイメージは、一般的な常識のように定着しているかと思います。しかし、肉と赤ワインがなぜ合うのか、ということまでご存じの方はあまり多くないかもしれません。

 今回は肉と赤ワインはなぜ合うのか、料理と飲み物の相性が良い、または悪いということはそもそもどういう事なのかについて少し化学的に考え、掘り下げてみたいと思います。また、おすすめのスペインワインと食べ物のペアリングもご紹介しますので、ぜひ最後までご一読いただければと思います。

 

料理と飲み物の相性が良いとは?化学的に考えよう

まずは、マリアージュという言葉について説明します。マリアージュ(mariage)とはフランス語で結婚を意味する言葉です。転じて、主にフランス料理の世界において「料理と料理の相性が良い場合」や「料理とワインの相性が良い場合」に使われるようになりました。

 それでは、「料理と料理の相性が良い」、「料理と飲み物の相性が良い」と私たちが感じるのはどのような場合なのでしょうか?

私たちが「甘い」「酸っぱい」「旨味がある」などと感じる感覚を、「味覚」と呼びます。味覚は食品や飲み物に含まれる化学物質を舌の表面の「味蕾」という器官が受容することによって感じられます。そして、味覚をもたらす化学物質が口内で混ざり合うことで互いに影響し合い、より美味しく、または美味しくない、と感じられることがあるのです。この現象を味の相互作用といい、相互作用によって「料理と料理の相性が良い」、「料理と飲み物の相性が良い」と感じられる、というわけなのです。

 

味の相互作用には主に以下の3つがあります。

相乗効果

甘味と甘味、旨味と旨味など、同じ系統の味のもの同士が組み合わされたとき、その味が何倍にも強調される作用です。

広く知られている例として、核酸系とアミノ酸系の旨味成分の相乗効果が知られています。鰹節のイノシン酸ナトリウム(核酸系)と昆布のグルタミン酸ナトリウム(アミノ酸系)が組み合わされ、和食の味の決め手となる出汁ができるのは相乗効果のおかげ、というわけなのです。

 

抑制効果

甘味と苦味、酸味と甘味、酸味と塩味など、違った味が組み合わされたとき、どちらかの味が弱められる作用です。

 例えば、コーヒーに砂糖を入れるとコーヒーの苦味が弱められる、レモンに砂糖をかけると酸っぱさが軽減する、魚の塩焼きにレモンを絞ると魚の塩味やハラワタの苦味が和らげられる、ということがあげられます。

 

対比効果

甘味と塩味、旨味と塩味など、違った味が組み合わされた時、どちらかの味もしくは両方の味が強くなる作用です。

例えば、スイカに塩をかけるとスイカがさらに甘く感じられる、あんこに少しだけ塩を加えると甘味が増す、出汁に醤油や味噌などを入れることによって旨味を感じる、ということがあげられます。

 

肉と赤ワインはなぜ合う?

それでは、なぜ肉と赤ワインを「合う」と感じるのでしょうか?

赤ワインにはぶどうの皮や種に含まれるポリフェノールの一種である、タンニンが含まれています。タンニンは渋味のもととなる成分です。タンニンの渋みと、肉の旨み、そして甘味が組み合わされることによる対比効果により、より肉が美味しく感じられる、というわけなのです。 

もし、赤ワインと一緒に魚料理を食べた場合、赤ワインの渋みが魚の淡白な旨味を弱めてしまいます。いっぽう、酸味やミネラル感(塩味)のある白ワインと一緒に魚料理を食べると、魚の淡白な旨味を白ワインの持つ味が引き立て、より美味しく感じられるのです。

また、赤身肉には赤ワイン、白身の魚には白ワイン、サーモンにはロゼワイン、というように、マリアージュでは同じ色のワインと食材を合わせる、というルールがあります。このルールに関しては科学的根拠というより、フランス料理の長い歴史の中で得られた経験則にもとづくものなのでしょう。ちなみに、同じようにマリアージュでは同じ産地のもの同士を合わせる、というルールもあります。このルールに関しては、同じ産地で育った食材同士に含まれる、共通した化学物質が相乗効果を起こすことが関係していると考えられます。

 

魚介類とワインの組み合わせで感じる「生臭さ」はなぜ生まれる?

先ほども述べましたが、「白身魚には白ワイン」といったように、魚介類とワインはかなりポピュラーな組み合わせです。しかし、「刺身と一緒にワインを飲んだら生臭かった」というようなケースが頻繁にあるのも事実。

近年の研究でこの「生臭さ」は、実はワインに含まれる鉄イオンの一種、Fe2+が原因になっている、とわかってきました。

魚介類にはドコサヘキサエン酸(DHA)などの脂肪酸があります。この脂肪酸は酸化すると過酸化脂質に変化するのですが、魚介類の過酸化脂質に鉄イオンの一種のFe2+が反応するとE,Z)-2,4-ヘプタジエナールという生臭さを感じさせる成分ができるのです。そのため、過酸化脂質を多く含む魚介類と、Fe2+が多く含まれるワインを一緒に食すと、生臭さを感じてしまう、というわけなのです。

ただ、鉄分から発生する生臭さは脂分やクエン酸によって軽減するという性質がありますそのため、魚介をバターやクリームなどで調理したり、レモンなどを添えたりした料理を白ワインと一緒にいただく、というマリアージュが成立するのです。また、ワインに含まれるFe2+は種類によって量に違いがあります。同じように、過酸化脂質が少ない魚介類も存在します。ですから、ものによっては白ワインに刺身、というマリアージュも成立する、というわけなのです。

 

おすすめのスペインワインと食べ物のペアリング

マルケス・デ・グリニョン プティ・ヴェルド(Marqués de Griñón Petit Verdot)+赤身肉

『マルケス・デ・グリニョン プティ・ヴェルド』はタンニンが豊富で香り高い品種、プティ・ヴェルド100%のフルボディワインです。肉感的でバランスの取れた渋みが赤身肉の旨味や甘味を存分に引き出します。花の香りや格式高い樽の香り、完熟したベリー系の果実やシナモンや葉巻、チョコレートの香りもあり、子羊や鹿などのジビエとのペアリングもおすすめです。

 

1822 ペドロ・ヒメネス(1822 Pedro Ximénez)+ビターチョコレート

糖度の高いペドロ・ヒメネス を天日干しにして造った極甘口シェリー(sherry)『1822ペドロ・ヒメネス』と一緒にビターチョコレートを食べると甘味と甘味の相乗効果で非常に良いペアリングになります。滑らかな口当たりで苦味とコクもあり、ドライフルーツのアロマも感じられます。また、ブルーチーズも塩味と甘味の対比効果で美味しくいただけるのでおすすめです。

 

マルケス・デ・グリニョン グラシアーノ(Marqués de Griñón Graciano)+寿司

『マルケス・デ・グリニョン グラシアーノ』はグラシアーノという希少なリオハ(Rioja)の伝統品種100%の長期熟成向け赤ワインです。オーク由来の軽いロースト香とこなれたタンニンが絶妙に組み合わされています。赤ワインではありますが清々しいオレンジピールのアロマが繊細に感じられ、寿司とのペアリングがおすすめです。また、野菜の天ぷらや煮込み料理にもよく合います。

 

エステバン・マルティン ブランコ(Esteban Martín Blanco)+しめさば

シャルドネ(Chardonnay)70%、マカベオ(Macabeo)30%の柑橘系の香りがフレッシュな辛口ワイン、『エステバン・マルティン ブランコ』とのペアリングにおすすめなのがしめさばです。ほのかに甘いフルーツのアロマもあり、魚介類との相性が抜群です。

 

オロロソ アルグエソ(Oloroso Argüeso)+スープカレー

パロミノ・フィノ(Palomino fino)100%のナッツの香りとコクが豊かな『オロロソ・アルグエソ』はトリュフのような野性味あるアロマがあり、スープの旨味たっぷりのスープカレーとのペアリングがおすすめです。ほのかなスパイシーさがカレーのスパイスと相乗効果でさらに香り高く食欲を刺激してくれることでしょう。

 

ブエラ・パロマ・デ・プラタ ゴデージョ(Vuela Paloma de Plata Godello)+蒸し野菜

高級品種ゴデージョ100%の、甘いフルーツや優しい花の香りの『ブエラ・パロマ・デ・プラタ ゴデージョ』は程よい酸味とミネラル感があり、蒸し野菜の繊細な旨味を引き立てます。濃厚で口の中いっぱいに広がる味わいがあり、白子の天ぷらや帆立貝など、優しい塩味と旨味の魚介料理に合わせるとぴったりです。

 

まとめ

肉と赤ワインはなぜ合うのか、料理と飲み物の相性が良い、または悪いということはそもそもなんなのか?について掘り下げてみました。おすすめのスペインワインと食べ物のペアリングもぜひ一度、お試しください!

関連記事