スペインワインの歴史 スペインワインの歴史

スペインワインの歴史

現在、ワインの生産量第3位。ぶどう栽培面積世界一を誇るスペインですが、30年ほど前までは、フランスやイタリアに比べ、目立たない存在でした。

しかし、日本でも2000年以降にバルをはじめとしたスペイン料理店が増え始め、それと共に、スペインワインの知名度も上がってきました。

安くておいしいから、高品質高価格にシフトしてきた、スペインワインの歴史をご紹介します。

 古代~レコンキスタ

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3000年前(紀元前1100年)から紀元前500年まで、スペイン東海岸はフェニキア人や古代ギリシャ人に支配されていたため、バルセロナなどでは、ぶどうの栽培やワインの醸造が既に行われていました。

紀元前100年ころには、ローマ人がスペインを統治し、イベリア半島のワイン製造技術が進みます。

スペインの代表的な品種・テンプラリーニョ(Tempranillo)は、古代ローマの農学者・コルメラ(Columella)の著書にたびたび登場しています。

 ローマ人の統治時代には、バルデペーニャス、バルセロナ、ジローナ、バレンシア、タラゴナ、バレアレス諸島、バエティカ(アンダルシアの南西部)が特にワインの産地として知られていました。

コッコロビス(シーグレープまたはハマベブドウ)という種類のぶどうから造られたワインがローマ人に人気で、バエティカから大量に輸出されていました。

このワインは現在のワインとは異なり、水で薄めたり、海水・松脂・薬草などが加えられたりしていました。

7世紀以降、北西アフリカのイスラム教徒(ベルベル人)が統治したため、飲酒が禁止になります。そのため、ワインづくりは衰退したかに見えましたが、キリスト教徒向けに一部ぶどう栽培は行われていて、ワインも隠れて飲まれていました。

9世紀、サンティアゴ・デ・コンポステーラが巡礼の聖地となったことで、ベネディクト会やシトー会の修道士がフランス・ブルゴーニュのワイン技術を、イベリア半島北部のキリスト教諸国に持ち込みました。

そのため、ガリシア、カスティーリャ、カタルーニャ地方のワインはブルゴーニュの影響を受けています。

11世紀後半ころから、北部を中心にキリスト教国が増えていき、キリスト教徒の再植民も始まって、ぶどう畑が再興されていきます。

12世紀以降、バルセロナ伯・ラモン・バランゲーが、プロヴァンス地方から土地開墾とぶどう栽培の専門家を移住させました。

バルセロナ伯・ラモン・バランゲー3世が、ドゥース1世(ドゥース・ド・プロヴァンス)と結婚し、プロヴァンス伯としてプロヴァンス地方も支配するようになったためです。

プロヴァンス地方は、2600年以上続くワイン産地です。その当時、フランスワインの産地として知られるルーションも、プロヴァンス伯の支配下にありました。

ラモン・バランゲー3世とドゥース1世の子どもであるラモン・バランゲー4世は、アラゴン王国の王女ペトロニアと結婚し、アラゴン連合王国を樹立します。1149年に、現在カタルーニャ地方にあたる部分のレコンキスタ(reconquista/キリスト教による国土回復運動)を完了しました。

レコンキスタが完了した地域は、修道士が中心となって、ミサのワイン用にぶどう栽培を行うようになりました。

 

レコンキスタ終了後~現在まで

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 レコンキスタがすべて完了した1492年以降に大航海時代が始まり、ワイン貿易が盛んになります。特に、イギリスはスペインワインの重要な輸出先となりました。

16,17世紀、スペイン産ワインは「サック(Sack)」という名前で輸出されていました。その当時、シェリー酒の他には、カナリア産ワイン(ランサローテ島のマルバシアで作られた甘口のワイン)も人気でした。

19世紀後半、害虫フィロキセラ(Phylloxera/ブドウネアブラムシ病)で壊滅状態になったフランスのボルドー(Bordeaux)からスペインのリオハ(Rioja)に職人が流れてきたことで、全国的にぶどう栽培が拡大します。

しかし、フランスの被害がおさまった代わりにスペインがフィロキセラの被害を受けます。アメリカ原産のぶどうの接ぎ木をすることで、被害は20世紀初頭に食い止めることができました。

1939年から1975年まではフランコ独裁政権が続き、設備投資などにお金がかけられず、1960年代までは、リオハ(Rioja)、ヘレス(Jerez)、マラガ(Málaga)などを除いたスペインワインには、安価なワインというイメージがつきまとっていました。

1970年代になって、世界的にワインがブームになり、新しい技術や機械を導入するなど、ワイン産業への投資が増えていきます。

また、「ぶどう畑、ワインおよびアルコールに関する法令」が施行され、原産地呼称(Denominación de Origen)制度によるランク付けが行われるようになったことで、スペイン各地でその土地にあったワインが生産されるようになり、質も向上していきました。

1986年にEC(欧州共同体・現在のEU)に加盟したことで、ワインの輸出量も増えます。

1990年以降は、伝統にとらわれず、世界のマーケットを意識した「スーパースパニッシュ」や「モダンスパニッシュ」と呼ばれる高品質なワインも登場。

EUの中ではワインと認められていませんが、最近では、Gik(ジック)の青ワインという、ワインの専門家でない若者による斬新なワインも作られています。

 主な産地の歴史

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リオハ(Rioja)

 

リオハには、ローマ人が統治していたころから、ぶどう畑がありました。

レコンキスタがいち早く完了したため、ぶどう畑を復興し、キリスト教徒向けに大量のワインを供給します。

リオハには、1770年の段階で既に、「王立収穫者協会」が結成されていました。

19世紀にボルドーで害虫被害が発生して、リオハに多くの人が移り住んだことで、高品質のワイン産地として知られるようになります。

このころ、マルケス・デ・リスカルの使用済みボトルに粗悪なワインを詰めて売る人物が現れ、その対策として、網を掛けた状態のボトルが販売されるようになりました。

19914月には、特選原産地呼称ワイン(DOCa)第1号に選ばれました。

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プリオラート(Priorat)

カタルーニャ語で「小修道院」を意味するプリオラート。

12世紀にカルトゥジオ会(ケルンのブルーノ司教が創始者)の修道士が建てたスカラ・デイ修道院(Cartoixa d’Escaladei)で、ぶどう栽培やワインづくりが開始されました。

アルコール度数が高い、濃厚なワインが作られていましたが、傾斜のきつい場所にあったため、作り手がどんどん減り、衰退の一途をたどりました。

19世紀には害虫被害により、ぶどう畑が壊滅状態になります。

1980年代後半、ルネ・バルビエ(René Barbier)、アルバロ・パラシオス(Álvaro Palacios)、ホセ・ルイス・ペレス(Josep Lluís Pérez)、パストラーナ(Pastrana)夫妻からなる「4人組」が登場したことで、再び脚光を浴びることに。

20097月、リオハに続き、特選原産地呼称ワイン(DOCa)第2号に選ばれました。

弊社では、シンガーだった「リュイス・リャック(Lluís Llach)」と公証人の「エンリック・コスタ(Enric Costa)」により創業された【セジェール・バイ・リャック(Celler Vall Llach)】社のワインを輸入しております。非常にエレガントで複雑味のある高品質なワインを作っております。

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 ベネデス(Penedès

ペネデスは、バルセロナの南側にあります。

ギリシャ人が、ペネデスにマルヴァジーア種(Malvasia)を伝えたといわれています。

ペネデスの中心部・ビラフランカ・デル・ペネデス(Vilafranca del Penedès)は、カルタゴの将軍・ハミルカル・バルカ(Hamilcar Barca(s))によって開拓されました。

第二次ポエニ戦争(紀元前219年から紀元前201年)でカルタゴがローマに負けた後、ローマ人がワインづくりの基盤を築きました。

1870年ころには、コドーニュ一(Codorniu)族のホセ・ラベントス(Josep Raventós)が、フランスのシャンパーニュ(Champagne)地方を旅して、その時に手に入れた本を参考に、スパークリングワインづくりをはじめます。

1872年にフランスと技術援助契約を結び、発売を開始すると、イギリスで人気が出始めます。スペイン産シャンパンとして販売していましたが、シャンパーニュ地方からクレームが出て、1970年代からカタルーニャ語で「洞窟」、「地下蔵」を意味するカヴァ(Cava)と呼ばれるようになりました。

カヴァの生産量の95%は、ペネデス産です。

カバは、1986年に原産地呼称(DO)認定。ベネデスも、1960年に原産地呼称(DO)認定されています。

エウダルド・マッサナ・ノヤ社(Eudald Massana Noya)では、ビオディナミ農法で育てられた葡萄でオーガニックのカヴァや、土着品種のチャレロ(Xarel-lo)を使った美味しい白ワイン「アビ・トン(Avi Ton)」などを作っています。

 

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リベラ・デル・ドゥエロ(Ribera del Duero

リベラ・デル・ドゥエロは、カスティーリャ・イ・レオン(Castilla y León)州の中央部に位置します。

1980年代前半に、アレハンドロ・フェルナンデスの「ティント・ペスケラ」が、ロバート・パーカーに「スペインのペトリュス」と評されてから、スペインだけでなく国外でも話題になります。

1982年、原産地呼称(DO)認定。

1980年代後半には近代化が図られ、品質を重視したぶどうを育てるようになりました。

現在は、リオハ以上に高品質赤ワインの産地として知られています。

弊社では、その高品質から3社取り扱っております。

 

(1)パゴ・デ・ロス・カペジャーネス(Pago de los Capellanes

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自他共に求める高品質でエレガントな美味しい赤ワインを造る。近年では、ガリシア州でゴデージョの白ワインも造っている(こちらも美味!)   

 

(2)パゴ・デ・カラオベハス(Pago de Carraovejas

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有名レストラン「ホセ・マリア(José María)のコチニージョ・アサド(Cochinillo Asado/ 子豚の丸焼き)に合う料理を造りたい!というところから始まったワイン。

 

(3)ボデガス・エルマノス・ぺレス・パスクアスービニャ・ペドロサ

Bodegas Hermanos Pérez Pascuas-Viña Pedrosa)

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ローマ法王のミサで使われた、スペインのクラシックな味わいの赤ワインを造る。

 

リアス・バイシャス(Rias Baixas

リアス・バイシャスは、ガリシア州の南西に位置します。

1980年、ECに加盟すれば、ワインの需要が増えることを見越して、ワイン改革に乗り出しました。

1988年に原産地呼称(DO)認定。

それ以降、アルバリーニョ種の栽培が進められ、全体の95%を占めています。

1990年代には、年平均20%以上、輸出を伸ばしました。

特に、アメリカで大人気(輸出量の半分以上を占める)のワインです。

近年日本でも人気が高まってきており、トーレ・ラ・モレイラ(Torre la Moreira)やポルタ・ダ・リーア(Porta da Ria)は、ワインに慣れていない方でも楽しめるフルーティな白ワインです。

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 ヘレス(Jerez)

ヘレスは、アンダルシア州の南西に位置します。

紀元前1100年ころ、カディス経由でフェニキア人からぶどう栽培とワインづくりが伝わります。

ローマ支配の時代には、煮詰めて樹脂などが加えられたワインを、ローマに送っていました。

8世紀初めからイスラム教徒の支配が始まりましたが、その期間も干しぶどう用のぶどうは作られ続け、アルコールの蒸留技術も伝わりました。

1264年、カスティーリャ王国のアルフォンソ10世がヘレスのレコンキスタを完了し、再びワインづくりが行われるように。

百年戦争(1337年~1453年)でフランスからのワインを輸入できなくなったイギリスでは、シェリー酒(ヘレスのワイン)が人気になります。

ポルトガルの探検家・マゼランはシェリー酒が大好きで、1519年に世界一周の旅に出た際には、武器よりもシェリー酒にお金をより多くつぎ込んだそうです。

1587年には、イギリスの提督・フランシス・ドレークが、カディス湾で約3,000樽のシェリー酒を奪う事件が起きます。

この事件により、イギリスではシェリー酒の評判がより高まり、シェークスピアの作品にも登場するようになりました。

酒精強化されるようになった時期には様々な説がありますが、「シェリー酒」をまねてマルサラワインが作られるようになった18世紀には、既に酒精強化が行われていたそうです。

19世紀に害虫の被害を受けますが、他の地域よりも時期が遅く、対処法がわかっていたため、被害は最小限に食い止められました。

1935年に原産地呼称(DO)認定されました。

今年初輸入の限定商品「アルグエソ(Argüeso) 1822」シリーズは、通常シリーズよりも平均熟成期間が長めでまろやかになり、お食事とも非常に合わせやすくなっておりお勧めです。

 

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まとめ

イタリアやフランスよりも古くから醸造されてきたスペインのワイン。

全土に産地が点在しているため、その土地ごとの個性を反映したワインを楽しむことができます。

今回ご紹介した産地以外にも要注目の産地はまだまだあるので、ぜひ様々なスペインワインを楽しんでみてください。

 

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