19世紀後半に大流行したフィロキセラ渦によって、スペインを含むヨーロッパ全域の2/3にも及ぶ、ぶどう畑が大きな被害を受けました。フィロキセラによる被害はヨーロッパにとどまらず、世界中のワイン産地のぶどう畑は壊滅的な状況となりました。
しかし、奇跡的にフィロキセラの被害を受けることなく、樹齢200年以上の貴重なぶどうの樹を現在も大切に受け継いでいるワイナリーもあります。
今回は、そんな伝統のワイナリーが造るスペイン最高の白ワイン品種と評される「ベルデホ」を使用した完全有機栽培の極上白ワインをご紹介します。
スペイン最高の白ワイン品種ベルデホとは
スペインの土着品種ベルデホは、高級品種アルバリーニョとならび、スペインを代表する最高の白ワイン品種と評されています。
ベルデホは、1000年以上前にスペイン内陸部ルエダからはじまり、現在もルエダあるカスティーリャ・イ・レオン州を中心に栽培されています。また、D.O.ルエダは1980年にカスティーリャ・イ・レオン州で初めての原産地呼称名称に認定されており、ベルデホがこの地域で唯一の白ワイン中心産地でもあります。
ライム、グレープフルーツ、メロン、白桃、ローリエなどといった香りを特徴としており、熟成にも向いており、樽熟成を経たベルデホはナッツのような香ばしい風味を持ちます。
一般的にハーブや柑橘系の爽やかなアロマや白桃などの甘い香りに加えて、豊かな果実味を感じられるフレッシュでフルーティーな味わいへと仕上がります。
"Verde(ベルデ)”とはスペイン語で「緑色」を意味しており、ベルデホの緑色の果皮が由来とされていますが、ベルデホからできるワインは緑味を帯びた明るい黄色になります。
ベルデホに合う料理
さっぱりとした酸に引き締まった骨格、ほのかな苦味の特徴を持つベルデホは、パエリヤなど魚介類を使った料理はもちろんのこと、アヒージョなどオリーブオイルを使った料理、唐揚げや天ぷらなどの揚げ物、お寿司など和食にも合わせやすい白ワインですので、日本人にもピッタリ。
ベルデホは長期熟成にも向いているぶどう品種です。熟成されたベルデホはアーモンドのような香ばしい香りを持っており、生ハムやチーズとの相性も抜群ですので、ぜひ合わせてみてください。
高齢樹からできるワインは何が違う?
一般的にぶどう樹は古ければ古いほど、ワインの価値も高価になる傾向にあります。
高価になる理由として、フィロキセラ渦以前からある100年以上の古樹が、稀少であるからという理由ももちろんありますが、数百年かけて地下の深くまで根を下ろしている古樹は、水源まで達していることもあり、様々な層からしっかりと栄養を取り込むことができます。
さらに、若いぶどう樹に比べて高齢樹は多くの実を付けず、そのひとつひとつのぶどうが高品質。こうして出来たぶどうから生まれるワインは、絶妙なバランスが取れており、素晴らしいワインとなります。
稀少な古樹から生まれた白ワイン「キンタルナ(Quintaluna)」
【商品情報】
商品名 |
キンタルナ(Quintaluna) |
生産者 |
オシアン ビデス イ ビノ(アルマ・カラオベハス) Ossian Vides y Vinos(Alma Carraovejas) |
おすすめ料理 |
ナチュラルチーズ、サラダや魚介料理、魚介リゾット |
生産国 |
スペイン |
地域 |
ビノ デ ラ ティエラ カスティージャイレオン(vino de la tierra Castilla y León) |
ぶどう品種 |
ベルデホ 100%:約60%が樹齢100~200年前後(全てフィロキセラの猛威発生以前古木)残り40%が樹齢10~25年 |
度数 |
14% |
ボディ |
ミディアム |
飲み頃の温度 |
12℃ |
容量 |
750ml |
今回ご紹介するのは、ベルデホ100%使用したキンタルナ(Quintaluna)です。ワインの約6割に樹齢100年〜200年の古樹を使用しており、スッキリとした味わいの中にも複雑味のある深い味わいを演出します。
"Quinta(キンタ)”はスペイン語で数字の15番目、"luna(ルナ)”は月を表しています。
キンタルナの味わい
淡い緑味を帯びた輝く金色。柔らかいバルサミコ酢や洋梨、レモンなどの柑橘系の爽やかなアロマ、樽由来のはちみつの上品な甘みが魅力的。フレッシュで丸みがありコクのある旨味と豊かなミネラルを感じられます。
生き生きとした果実のニュアンスに適度な酸味と爽やかさを兼ね備えたバランスが絶妙です。
キンタルナの飲み頃温度は12℃ですが、しっかり冷やすと爽やな口当たりですっきりした印象に。少し温度を上げると、凝縮されたアロマの芳香が高く、複雑味のある長い余韻を楽しめる絶品ワインに仕上がっています。
生産者について
キンタルナの生産者であるオシアン ビデス イ ビノ(Ossian Vides y Vinos)は、2005年に設立されたアルマ・カラオベハス(Alma Carraovejas)の傘下にあるワイナリーの一つです。アルマ・カラオベハスは、ハビエル・ザッカニーニによって設立され、4つのワイナリーを持っています。5世紀に渡るワイン造りの伝統がそのまま受け継がれており、自然に敬意を払い、ひたすら誠実にワイン造りを行っています。
200年を超えるぶどう樹と完全有機栽培へのこだわり
この地域の土壌は、サラサラとした砂質土壌であるため、19世紀後半に流行したフィロキエラの被害を受けませんでした。そのため、ぶどう畑にはなんと樹齢200年にもなる稀少な古樹が現在も残っている貴重なぶどう畑です。
ワイナリーでは、この稀に見る貴重な畑の回復と維持に取り組んでおり、人・環境・ぶどう樹の3つの理想的なバランスを実現するため、日々観察を続けています。完全有機栽培のオーガニックにこだわっているワイナリーです。
敏腕シェフのホセ・マリア・ルイス氏が運営するワイナリー
現在のオーナーであるホセ・マリア・ルイス氏は1972年に、イタリアミラノの「International Office of Wine」と「Wine in Milan」が主催する第一回世界ソムリエ・コンクールにおいてスペインを代表として選出されており、32か国から出場した強豪を相手に見事ブロンズ賞を獲得。同時に「Diploma of Honor」と「International Master of Cups」の称号を獲得したスペインワイン界を牽引する人物です
彼は、セゴビアにある自身のレストランの名物料理“子豚の丸焼き(コチニージョ・デ・セゴビア)”に合う『最高のワインをつくる』という明確な目的をもって、リベラ・デル・ドゥエロの歴史の発祥の地で始めたプロジェクトの一つで、ソムリエというかたわらで見事な経営センスを発揮しています。
高樹齢な白ワインの畑(フィロキセラ渦前の100年を越す樹齢)を購入し、自然な製造プロセスに深い敬意を払いつつも、伝統的な醸造方法と先端後術を調和させながら最高品質のワイン造りを追求しています
ホセ・マリア・ルイス氏が造りだすワインは、スペインにおける最先端の一流ワインとして世界中に高く評価されています。
実力派女性醸造家こだわりのワイン醸造
醸造責任者に2019年スペインのベストワインメーカーに選ばれた実力派の女性醸造家アルムデナ・カルボ氏を迎えており、ワインコンサルタントには白ワインを得意とするラファエル・パラシオス氏が就任しています。
オシアン ビデス イ ビノでは、力を入れているベルデホの可能性を最大限に活かすため、すべての醸造過程を手作業で行っています。発酵槽と熟成層は厳密に選別されており、完全自然発酵にこだわっています。また、熟成はテロワールの個性を損なうことのない樽を使用しています。
まとめ
今回は、世界的な大被害フィロキセラ渦を奇跡的に乗り越えて今もなお、現役の高齢樹を使ったベルデホの極上ワインをご紹介しました。
オーナーがぶどう畑の栽培者からワイン醸造家まで、実力派を揃えて造られる「キンタルナ」は、それぞれの思いが詰まった素晴らしいワインに仕上がっています。
ぜひ、樹齢100〜200年にもなる古樹の歴史を感じながら、キンタルナを味わってみてくださいね。