食前にカクテルやスパークリングワインで乾杯!などという、食前酒の習慣は日本でも徐々に浸透しつつあります。いっぽう、食後酒の方はどうでしょうか?食後酒は食事が終わった後の時間をより豊かに楽しませてくれる、大切な食文化のひとつでもあります。今回はそんな食後酒について、食後酒の種類や楽しみ方、そして、食後酒におすすめのリキュールやスペインワインについても合わせて紹介していきます。
食後酒とは?
食後酒はフランス語でディジェスティフ(Digestif)、直訳すると「消化促進剤」です。世界的にはアフター・ディナードリンク(After dinner drink)と呼ばれます。食後に飲まれる甘口のお酒を指し、満腹になったお腹の消化を促したり、口直しをしたり、満足感を与えたりする役割を果たします。
食事の前に飲まれる食前酒はアルコール度数の低いお酒が好まれる傾向にありますが、アルコール度数の高い、濃厚な味わいのお酒を食後にゆっくり、というのが食後酒の楽しみ方として一般的です。
食後酒の種類
食後酒として何を飲むべきかについては明確なルールはありませんが、食後酒として好まれるお酒は以下の3種類です。
デザートワイン
デザートワインはソーテルヌ(Sauternes)などの貴腐ワインやアイスワインなどの甘口、極甘口ワインを指します。
貴腐ワインは白ぶどうに貴腐菌が付着することによってドライフルーツ状態になった、糖度と香りがギュッと詰まったぶどうを使って造られる極甘口ワインです。いっぽう、アイスワインは木についたまま凍結したぶどうを絞り、凝縮感のあるマストを長期間発酵させて造られる甘口ワインです。どちらも、大変貴重な原材料を使って造られるため希少価値があり、高値がつけられます。
酒精強化ワイン
酒精強化ワインはスペインのシェリー(Sherry)、ポルトガルのポートワイン(Port Wine)、マデイラ・ワイン(Vinho da Madeira)など、ワインに蒸留酒を添加して造られます。辛口から甘口まで幅広い味わいのものがあり、辛口は食前酒、甘口は食後酒として飲まれる傾向にあります。ロックやストレート、ソーダ割りなどで飲まれます。
蒸留酒
蒸留酒は醸造酒を蒸留して造るお酒で、ほとんどが40度以上とアルコール度数は非常に高め。代表的なものにブランデー(Brandy)やウィスキー(Wisky)があり、ブランデーはぶどう、ウィスキーは大麦麦芽やとうもろこしなどを原料とします。食後酒として飲まれる蒸留酒は他にも、ぶどうのしぼりカスを原料としたマール(Marc)やグラッパ(Grappa)、さくらんぼを原料としたキルシュワッサー(Kirschwasser)、りんごを原料としたカルヴァドス(Calvados)なども人気です。
食後酒の楽しみ方
食後酒は単体だけで飲むのも悪くないのですが、以下のようなペアリングを楽しむのもおすすめです。
デザートと
食後のデザートと甘い食後酒の組み合わせはヨーロッパの食文化の定番です。
甘いデザートにはしっかりと冷やしたデザートワインや酒精強化ワインのペアリングがおすすめ。果物や、果物を使ったシャーベットなどのさっぱりしたデザートには甘さがひかえめでアルコール度数が低めのデザートワインを合わせると良いでしょう。また、ケーキやタルトなどは極甘口のデザートワインのペアリングをおすすめします。ナッツなどを使った焼き菓子の香ばしさには樽熟成の甘口シェリー、チョコレートのデザートにはペドロ・ヒメネス(Pedro Ximénez)などの甘口シェリーがおすすめ。また、バニラアイスクリームにペドロ・ヒメネスをかけると絶品デザートになります。
チーズと
濃厚なチーズと食後酒の組み合わせも最高です。ゴルゴンゾーラ(Gorgonzolaなど、青カビのチーズとデザートワインやペドロ・ヒメネスのペアリングは定番中の定番。モスカテル(Moscatel)はゴーダ(Gouda)などのセミハードタイプのチーズとのペアリングがおすすめです。また、パルミジャーノ・レッジャーノ(Parmigiano reggiano)のような旨みのあるハードタイプのチーズはブランデーやウイスキーなどと楽しむのにぴったりです。
おすすめの食後酒
リキュールやスペインワインなど、おすすめの食後酒を紹介します。
リコール・デ・イエルバス・デ・ビソハ(Licor de Hierbas d´Vizhoja)
1966年創立のガリシア(Garicia)州の家族経営ワイナリー、ボデガス・マルケス・デ・ビソハ(Bodegas Marqués de Vizhoja)が生んだ、オリジナルワインリキュールです。アルバリーニョ(Albariño)種を原料として、自社栽培のカモミールやローズマリーなどのハーブで香りづけされています。すっきりとしたハーブの香りに、ほんのりとしたシナモンのニュアンスがあります。消化を助ける効果が期待できるので、食後にストレート、またはロックでお楽しみください。
詳細はこちら
アニス・セコ・デ・ビソハ(Anís Seco d´Vizhoja)
消化促進作用があるとされる、独特のアニスの香りと風味が楽しめるリキュールです。アニスのお酒ではスペインではクリスマスの時期に飲まれる伝統の飲み物としても知られています。
しっかりとしたアルコール分があり、余韻も長く楽しめるので、ゆっくりとした食後酒の時間におすすめです。アニスの香りを生かし、杏仁豆腐やチョコミントアイスなどとのペアリングも試す価値がありそうです。冷やしてストレートで飲んだり、ロックやトニック割りなどで飲んでも良いでしょう。
詳細はこちら
1822 ペドロ・ヒメネス(1822 Pedro Ximénez)
1822年創立の老舗で、200年ほど昔の樽を使い続けている有名ボデガ、エレドロス・デ・エルグエソ(Herederos de Argüeso)による天然の極甘口シェリーです。プルーンやイチジクのような豊潤なドライフルーツのアロマ、黒糖や黒蜜のようなコクのある甘味が魅力です。滑らかな口当たりで苦味と深みのある甘さに引きつけられます。食後に、紅茶のシフォンケーキやビターチョコレート、ドライフルーツなどと一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか。もちろん、青カビのチーズやバニラアイスクリームとのペアリングは抜群です。
詳細はこちら
1822 モスカテル(1822 Moscatel)
エレドロス・デ・エルグエソ(Herederos de Argüeso)によるモスカテル種を使った甘口シェリーです。品種の特徴である華やかな甘いアロマで、ジャスミンなどの花の香りに、黄桃のコンポートのようなフルーティな甘さが魅力。余韻の最後に、柑橘のニュアンスもほのかに感じられます。フルーツコンポートや焼きたてのアップルパイやブリオッシュ、ゴーダなどのセミハードタイプのチーズと一緒に、素敵な食後酒の時間をお楽しみください。
詳細はこちら
バルベラン 20 マンサナス(Valverán 20 Manzanas)
アイスシードルのパイオニア、ジャガール・デ・シドラ・バルベラン(Llagar de sidra Valveán)によるスペイン最高峰のアイスシードルです。約10年の試行錯誤の末、ようやく完成した傑作。ドライフルーツやピーチを思わせる甘美なアロマ、ほんのり苦味のある、オレンジピールのような柑橘系のニュアンス、蜂蜜のようにしっとり、滑らかな舌触りで甘味が広がり、甘味のなかに絶妙なりんごの酸味が感じられます。ゆっくりと続く余韻に穏やかな酸味が心地良い、フレッシュかつコクのあるジューシーなアイスシードルです。シナモンを使ったデザートやカマンベール(Camambert)などの白カビタイプのチーズとのペアリングがおすすめです。
詳細はこちら
まとめ
食後酒について、食後酒の種類や楽しみ方、そして、食後酒におすすめのリキュールやスペインワインについてもあわせて紹介しました。ぜひ、食事が終わった後も、リキュールやシェリーをデザートやチーズなどと一緒にゆっくりと味わい、素敵な時間を過ごしていただければと思います。