ワイン、特に赤ワインを飲んでいて、ついあやまってこぼしてしまい、服やテーブルクロスなどに染みをつけてしまった、という経験はありませんか?赤ワインの染みは目立ちますし、「染みが落ちなかったらどうしよう」と気になってしまったら、せっかくのワインを飲んでのくつろぎ時間が台無しです。
ワインの染みはきちんと対処すればきれいに落とすことができます。この記事では衣服、そしてグラスについたワインによる染みの抜き方について解説します。スペインワイン愛好家の方にとって大切な内容になるかと思いますので、どうぞ最後まで読んでいただけたらと思います。
ワインの染みの原因となる成分
ワインによる染みの抜き方を知るために、まずはワインの染みの原因となる成分について解説していきます。
ワインの染みは白ワインのものはほとんど目立ちませんが、赤ワインの染みはとても目立ちます。これは、赤ワインの原料となるぶどうの皮に多く含まれる、アントシアニンという色素が原因です。ぶどうのほか、りんごやなす、ブルーベリーなどのベリー系の果実や、紫キャベツなどにも含まれます。
アントシアニンはフラボノイド系の植物色素で、酸化することによって濃い紅色になって定着する性質を持っています。そのため、赤ワインは衣服などにつくと染みになりやすく、しかも取れにくいのです。
衣服についたワインの染みへの対処法
もし衣服などにワインをこぼしてしまったら、まずはできるだけ早く対処することが大切です。ワインの染みは時間が経つとどんどん定着してしまいます。外出先などであればまずは応急処置だけでもおこなうようにしましょう。
ただし、染みを落とす前には、必ず洗濯タグに書かれた注意書きを見ておきましょう。「家庭での洗濯が不可」である、水の入った桶にバツが付けられているマークが書かれたものは水洗いができません。染み抜きはクリーニング屋にお願いしましょう。
ワインの染みへの応急処置
- 乾いたタオルやハンカチ、ティッシュなどを染みの裏側に当てます。
- 湿らせたティッシュを染みの部分に押し当てる。この時、擦らないように注意します。
- 裏側のタオルやハンカチに色素を移していくイメージで、染みが薄くなるまで繰り返します。
自宅でできるワインの染み抜き方法
応急処置でワインの染みをできるだけ薄くしたら今度は本格的に染み抜きをしていきます。自宅でのワインの染み抜きには、
台所用洗剤
弱アルカリ性洗濯洗剤
酸素系漂白剤
重曹
を使った方法がおすすめです。それぞれの方法を説明していきましょう。
台所用洗剤
ワインの染みがついてまだ間もない場合であれば食器用洗剤で落とすことができるかもしれません。ほとんどの台所用洗剤に含まれる界面活性剤には油汚れを落とす効果があります。この効果を使うと、ワインの染みもある程度落とすことができるのです。
台所用洗剤を使ったワインの染み抜き方法
- 水で濡らした染みの部分に洗剤をつけ、上にタオルをおきます。
- 衣服を裏返し、染みの裏から歯ブラシなどでタオルに移すようにたたきます。
- 色が薄くなったら、お湯でもみ洗いするようにし、できるだけ早く洗濯しましょう。
弱アルカリ性洗濯洗剤
弱アルカリ性洗濯洗剤は台所用洗剤よりもワインの染みがよく落ちます。弱アルカリ性洗濯洗剤でワインのシミを抜く方法は台所用洗剤の方法と同じです。
酸素系漂白剤
染みがついてから時間が経ってしまってから承知した場合、洗剤で洗っても染みが残ってしまうことが大半です。その場合は漂白剤で染み抜きしましょう。
漂白剤には塩素系漂白剤と酸素系漂白剤の2種類があります。塩素系漂白剤は漂白力が強いのですが生地を痛めてしまう可能性があります。また、色柄物は塩素系漂白剤を使うと色落ちするため、使えません。生地が厚めの白いテーブルクロスなどであれば使っても良いかもしれませんが、衣服の染み抜きをする場合は酸素系漂白剤を使うことをおすすめします。
酸素系漂白剤は40〜60℃のぬるま湯で漂白力を発揮します。つけおき液を作るときは水ではなく、ぬるま湯を使うようにしましょう。
酸素系漂白剤を使ったワインの染み抜き方法
- 洗面器などにぬるま湯を入れ、商品の説明書きに従った量の酸素系漂白剤を入れて混ぜ、つけ置き液を作ります。
- ワインの染みがついた部分をつけ置き液に浸し、まずは30分浸します。このとき、フタをしておくとつけ置き液の温度が下がるのを防げるので、漂白力が保たれます。
- 30分経ったら染みが落ちているか確認します。落ちていなかったらもう30分浸します。
- すすいでから洗濯機で洗います。
重曹
ワインは酸性なので、アルカリ性の水酸化ナトリウムでできている重曹で中和し、染み抜きすることができます。ただし、漂白剤に比べると漂白力は低いので、染みがついてから数日たったワインの染みは完全に落とせないかもしれません。漂白剤がない時や、ワインをこぼしてすぐであれば重曹も試してみると良いでしょう。
重曹を使ったワインの染み抜き方法
- ワイン染みの上に重曹を振りかけます。
- 熱湯を染みにかけます。
- しっかりと揉み洗いします。
- すすいでから洗濯機で洗います。
赤ワインの染みは白ワインで落とせるって本当?
昔から「赤ワインをこぼした染みにはすぐに白ワインで落とすと良い」といううわさを聞いたことがある方もいるでしょう。しかしこれははたして、本当なのでしょうか。
恐らくこのうわさは、白ワインに含まれるクエン酸が赤ワインの染みに効くのではないか、というイメージから来ている説だと思われます。たしかに、赤ワインがこぼれた部分にすぐに白ワインを染み込ませ、タオルなどでトントンと叩いてみると確かに染みは薄くはなります。しかし、決して完璧には取れませんし、白ワインにもアントシアニンは微量ですが含まれるため、かえって染みになる可能性もあります。ですから、白ワインで赤ワインの染み抜きをすることは避けたほうが良いでしょう。
ワイングラスの底についた赤ワインの染みへの対処法
赤ワインの染みはグラスの底にもついてしまいます。ワイングラスは深く、しかもデリケートな素材でできています。ですから、底の部分が洗いにくいのです。
ワイングラスは使い終わったらすぐに洗い、放置せずにクロスなどでしっかりと水気を拭き取るのがきれいに保つ最善の方法です。しかし、ワインを飲んだ後はすぐに洗い物をしたりせずにゆっくりしたい、という方も多いでしょう。その場合は、とにかくまずはワイングラスを水を入れた洗い桶の中に浸しておきましょう。こうすることで赤ワインの色素がグラスに沈着するのを防ぐことができます。
もし、ワイングラスに赤ワインの染みがついたら以下のような方法で対処できます。
酢を使う方法
- 酢90gに塩10gを入れ、混ぜます。
- キッチンペーパーなどに1を含ませ、グラスを優しく磨きます。
- ぬるま湯ですすぎ、マイクロファイバーなどの布でよく拭きます。
重曹を使う方法
酢で落ちない汚れは重曹を試してみてください。
サランラップを適当な大きさに切り、くしゃくしゃに丸めます。
水で濡らしたグラスに重曹を適量かけ、1のサランラップで優しく擦ります。
水でグラスをしっかりすすぎ、マイクロファイバーなどの布でよく拭きます。
まとめ
衣服、そしてグラスについたワインによる染みの抜き方について解説しました。
スペインワインに親しむうえで、ワインの染みとのお付き合いは避けることができないはず。でも、ワインをこぼしてもこの記事の方法を試していただければきっと心配はいらないでしょう。まずは洗濯タグのチェックと、応急処置を忘れないでくださいね。