難関であるソムリエ・ワインエキスパート一次試験が無事受かったことでホッとしたのも束の間、すぐにやってくるのが二次試験です。
二次試験では、ブランドテイスティングによる実技試験が行われます。ワインテイスティングに自信がないという方も安心してください。ソムリエ試験のテイスティングでは、ぶどう品種を外しても合格できます!二次試験では、品種や国を当てるよりも大切なポイントがあります。
本記事では、ソムリエ・ワインエキスパートの二次試験の日程や費用、合格率といった概要について詳しくまとめています。さらに、二次試験ではどんな問題が出されるのか?試験の内容やテイスティング試験突破のポイントについて解説しています。
ソムリエ・ワインエキスパート二次試験について
ソムリエ・ワインエキスパート二次試験とは、一般社団法人日本ソムリエ協会が主催する「J.S.A.ソムリエ/J.S.A.ワインエキスパート呼称資格認定試験」のうち、一次試験を通過した受験者のみが受けることのできる試験であり、ブランドテイスティングによる実技試験が行われます。
ソムリエ試験では、二次試験を通過すると、三次試験の受験資格を得ることができます。一方、ワインエキスパート試験では、二次試験が最終試験となります。このテイスティング試験を通過できた方は、J.S.A.ワインエキスパート呼称資格に認定されますので、ぜひとも一発合格を目指したいところですね。
受験資格
J.S.A.ソムリエ/J.S.A.ワインエキスパート呼称資格認定試験の一次試験を通過していることが二次試験の受験資格となります。
ただし、二次試験で落ちてしまった受験者のために「認定資格免除制度」が用意されており、一定期間内であれば、二次試験から受験することが可能です。
また、既にソムリエ・ワインエキスパート資格を保有する既存有資格者の方も、希望すれば二次試験を再度受験することができます。
認定資格免除制度
認定資格免除制度とは、J.S.A.ソムリエ/J.S.A.ワインエキスパート呼称資格認定試験の一次試験に合格した受験者と既存有資格者は、同一呼称に限り、一次試験が免除になる制度です。
2019年までは、翌3年以内であることが認定資格免除制度の条件でしたが、2020年以降は制度に変更があり「翌5年以内に3回までの一次試験免除可能」と受験可能な期間が2年延長されたことで、チャンスが広がっています。
【認定資格免除制度】
一次試験に合格した年 |
条件 |
2019年 |
翌3年間は、一次試験免除で二次試験を受験可能。 |
2020年以降 |
翌5年間のうち3回まで一次試験免除で二次試験受験可能。 |
受験費用
J.S.A.ソムリエ/J.S.A.ワインエキスパート呼称資格認定試験の一次試験は、2018年より申込時に受験回数を選べるようになりました。一次試験は最高二回まで受験することができ、受験費用は受験回数によってそれぞれ異なります。
認定資格免除制度を使用して、二次試験から受験する場合は、一次試験の費用を支払う必要はありません。また、ソムリエ試験の受験と同時にソムリエ協会へ入会する場合は、入会金が半額となり、受験料も会員価格で申込みが可能となります。
試験内容 |
受験回数 |
会員 |
一般 |
一次試験から |
一回受験 |
20,380円 |
29,600円 |
二回受験 |
25,220円 |
34,440円 |
|
二次試験から |
7,300円 |
14,210円 |
|
三次試験から |
3,650円 |
7,100円 |
※合格後に別途「認定登録料20,950円(うち消費税額等1,905円)」が必要。
2024年ソムリエ・ワインエキスパート試験日程
J.S.A.ソムリエ/J.S.A.ワインエキスパート呼称資格認定試験の二次試験は、毎年10月に実施されます。2024年度は、一次試験が7月20日〜8月31日、二次試験が10月7日、三次試験は11月18日を予定しています。
試験 |
呼称 |
開催日 |
試験内容 |
一次試験 |
ソムリエ/ワインエキスパート |
7/20~8/31 |
筆記試験(CBT試験) |
二次試験 |
ワインエキスパート |
10/7 |
テイスティング実技試験 |
ソムリエ |
テイスティング実技試験 論述(三次試験に含まれる) |
||
三次試験 |
ソムリエ |
11/18 |
サービス実技試験 |
ソムリエ試験で二次試験を受験した方は、同じ日に論述試験が行われますが、こちらは三次試験の内容となります。
受験者数と合格率
ソムリエ協会では、二次試験のみの受験者数と合格率は発表していませんので、具体的な数字を知ることはできませんが、二次試験の受験者のうち毎年約7〜8割、ワインエキスパート試験では、二次試験受験者のうち約6〜7割が合格しています。二次試験は、一次試験に比べると合格率の高い試験となります。
以下の表は、J.S.A.ソムリエ/J.S.A.ワインエキスパート呼称資格認定試験全体の受験者数と合格者数、合格率についてまとめています。
呼称 |
2017年 |
2018年 |
2019年 |
2020年 |
2021年 |
2022年 |
2023年 |
|
受験者数 |
ソムリエ |
(1,860)5,520 |
(1,864)5,233 |
(1,612)4,534 |
(1,616)4,315 |
(1,758)4,517 |
(1,545)3,766 |
(1,360)3,224 |
ワインエキスパート |
(1,552)3,174 |
(1,535)3,214 |
(1,575)3,259 |
(1,525)3,213 |
(1,636)3,490 |
(1,671) 3,469 |
(1,654)3,499 |
|
合格者数 |
ソムリエ |
(563)1,299 |
(621)1,389 |
(582)1,353 |
(727)1,634 |
(817)1,902 |
(551)1,132 |
(308)570 |
ワインエキスパート |
(562)1,051 |
(546)1,054 |
(719)1,437 |
(705)1,390 |
(690)1,421 |
(564)1,143 |
(721)1,465 |
|
合格率 |
ソムリエ |
23.5% |
26.5% |
29.8% |
37.9% |
42.1% |
30.1% |
17.7% |
ワインエキスパート |
33.1% |
32.8% |
44.2% |
43.3% |
40.7% |
32.9% |
41.9% |
参考:日本ソムリエ協会「資格保有者・合格率一覧」
ソムリエ・ワインエキスパート二次試験の内容と点数配分
ソムリ・ワインエキスパートの二次試験では、問題用紙に記載されているテイスティング用語から適正な表現を選択する問題が約8割を占めています。残りの2割は、解答用紙に記入する記述問題で構成されています。
では、二次試験ブラインドテイスティングの出題内容とソムリエ協会が発表した2021年度の各テイスティング項目の点数配分について見てみましょう。
【選択問題(マークシート)】
問題 |
内容 |
点数配分 |
外観 |
清澄度、輝き、色調、濃淡、粘性、外観の印象 |
18〜19% |
香り |
第一印象、特徴、香りの印象 |
29% |
味わい |
アタック、甘み、酸味、苦味、バランス、アルコール、余韻、タンニン(赤のみ) |
17〜18% |
その他 |
フレーヴァー、評価、適正温度、グラス、デカンタージュ(赤のみ) |
8〜10% |
【記述問題】
問題 |
点数配分 |
主なぶどう品種 |
12〜13% |
生産国 |
7〜8% |
収穫年 |
5% |
参考:ソムリエ協会「2021年度呼称資格認定二次試験 ソムリエ・ワインエキスパート テイスティングの項目別点数配分について」
ソムリエ・ワインエキスパート二次試験突破のポイント!
テイスティング実技試験において「ぶどう品種を外す=不合格」と思っていませんか?
二次試験では、ぶどうの品種を当てることだけが重要ではありません。むしろ、最も高い点数配点は「香り・外観・味わい」の3つであり、これらの項目を正確に答えることができれば64〜66%の得点を獲得できます。二次試験を突破するためには、平均点以上取る必要はありますが、満点を取る必要はないのです。
実際に、出題されたぶどう品種をすべて外したにも関わらず二次試験に合格したという方もいました。つまり、ぶどう品種や生産国、収穫年を見極める自信がなかったとしても、ワインの味わいを正確に判断できれば二次試験を突破できるということです。
ワインに対する適正な表現力を養うためには、普段から、どのような外観、香り、味わいなのかを言語化できるように練習することが大切です。特に、二次試験までの間は、ソムリエ協会が出題するテイスティング項目内の、どの表現に当てはまるのかを意識しておくことがポイントです。
まとめ
ソムリエ・ワインエキスパートの資格を取得するために避けては通れないのが、二次試験のテイスティング実技です。
普段からブラインドテイスティングに慣れていない方は、特に苦手意識を持ってしまう試験となるでしょう。しかし、二次試験ではワインの味わいをソムリエ協会の定めるテイスティング用語に沿った適正な評価ができているかが、試験突破の鍵となるため、少々ぶどう品種や生産国を間違えたとしても、香りや味わいといったワインの特徴を大きく外さない限り、十分に合格点を狙える試験です!
ワインのテイスティング用語を正しく理解しておくことは、将来的にソムリエやワインエキスパートになった際の実務においても大変重要となります。この二次試験の準備期間にしっかりとワインと向き合い、テイスティングの基礎知識を身につけておきましょう。