スペインで2番目に大きな都市「バルセロナ」の南側、地中海に面した「ペネデス(Penedès)」は、カバ(Cava)で有名になったワイン産地です。ワイン造りの歴史は古く、州の全土でブドウ栽培が行われています。現在ではカバ意外にもさまざまなタイプのワインが造られており、中でもスペイン固有の白ブドウ品種「チャレロ(Xarel・lo)」を使った白ワインは年々評価を高めています。
今回は、ローマ人によって伝えられたという品種、チャレロ100%の無添加白ワイン、マテリア・プリマ ブラン (Materia Prima Blanc)をご紹介します。
チャレロ(Xarel・lo)の特徴
スペインのスパークリングワイン・カバは、生産量の9割以上がカタルーニャ州で造られており、カバに使われる主要品種・チャレロは、ペネデス(D.O.Penedès)の中で最大の栽培面積を誇っています。
果皮が厚い品種で、良く完熟し糖度が高くなることから、チャレロから造られるワインにはボディがあり、エレガントなタイプのワインとブレンドすることで、ワインに骨格を与えバランスが良くなると言われています。
このような理由から他の品種と混ぜて造られることが多かったチャレロですが、最近では単一で造られる白ワインも多く、特にペネデスで造られるチャレロ単一の白ワインは、しっかりとしたボディと酸味、果実味のバランスが良く、世界的に高評価を得ています。
ステンレスタンクでクリアに造られる早飲みタイプや、樽でしっかりと熟成させるタイプ、澱と一緒に寝かせて複雑さとボディを強調させるタイプなど、造り手によって様々なタイプのワインがある品種です。
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ペネデス(Penedès)のテロワール
ペネデス(Penedès)は、スペインの西端に位置するカタルーニャ州の南側、バルセロナから40 Kmほど南西にあるヴィラフランカ・デル・ペネデス(Vilafranca del Penedès )を中心に広がる広大なワイン産地です。
地中海性気候で比較的温暖なペネデス(Penedès)ですが、海岸沿いの丘陵や内陸の高地など、地形に高低差があり、地域によってテロワールに大きな違いがあることから3つのゾーンに分けられています。
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ペネデス・スペリオル:最も内陸に位置する海抜800mの高地で気温差が大きい。降水量が多く冷涼な地域。
最近では、寒い地域に適したリースリングやゲヴェルツトラミネールが栽培されている。
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メディオ・ペネデス:ふたつの地域の中間にある地帯。ペネデス全体の生産量の60%を占める。
カバ用のチャレロ、マカベオをはじめ、フランスの伝統品種、カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワール、シャルドネなどが栽培されている。
- バホ・ペネデス:地中海沿岸の低地。3つの中で最も温暖な地域で、固有品種のチャレロ、マカベオなどが栽培されている。
ペネデス(Penedès)は全体的に水捌けの良い石灰質土壌で、ブドウの栽培に適した土地です。それぞれにテロワールの個性を活かしたブドウが栽培されており、同じペネデス(Penedès)のワインでも多彩な味わいを楽しむことができます。
ペネデス(Penedès)の特徴については、こちらの記事でも解説しています。
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マテリア・プリマ ブラン
【商品情報】
商品名 |
マテリア・プリマ ブラン (Materia Prima Blanc) |
生産者 |
マテリア・プリマ(Materia Prima) |
地域 |
カタルーニャ州(Cataluña) |
ビンテージ |
2022 |
生産国 |
スペイン |
ブドウ品種 |
チャレロ(Xarel・lo)100% |
おすすめ料理 |
シーフードマリネ、根菜のピクルス、青パパイヤのサラダ、イカのフリット、穴子の白焼など |
発酵容器 |
ステンレススティールタンク |
発酵期間 |
10日間 |
発酵温度 |
15 ~16℃ |
度数 |
12% |
テイスト |
ドライ |
飲み頃の温度 |
8∼10℃ |
容量 |
750ml |
マテリア・プリマ ブラン(Materia Prima Blanc)について
マテリア・プリマ ブラン (Materia Prima Blanc)は、ペネデスの生産者、パレス・バルタ(PARES BALTA)のナチュラルワインプロジェクト、マテリア・プリマ (Materia Prima)によって生まれました。マテリア・プリマ (Materia Prima)は、全ての工程において極力人の手を介さず、自然にワイン造りを行うプロジェクトです。
有機農法で栽培されたチャレロは、ブドウについている野生酵母のみで発酵が進められ、発酵後は清澄や濾過を行わずに瓶詰めされます。酸化防止剤(SO2)無添加で、オーガニックなだけでなくヴィーガンにも対応したワイン。マテリア・プリマ ブラン (Materia Prima Blanc)は、歴史あるワイナリーの伝統と、常に向上し続ける生産者の情熱を味わえる一本です。
パレス・バルタ(PARES BALTA)ナチュラルワイン プロジェクト
パレス・バルタ(PARES BALTA)は、地中海沿岸とバルセロナから30kmほどの場所にある家族経営のワイナリーです。3代目であるジョアンとジョゼップのクシネ兄弟は、祖父と父から受け継いだワイン造りに真摯に向き合い、高品質なオーガニックワイン、ビオディナミワインを造り続けてきました。
クシネ兄弟の妻であるマリアとマルタも、ブドウ栽培と向き合う兄弟の情熱に心を打たれ、ワイナリーに加わるために醸造学を学ぶことを決意します。ロヴィラ・イ・ビルジリ大学で醸造学を学んだ彼女らは、後に醸造責任者としてチームに加わりました。
パンデミックが本格化した 2020 年半ば、クシネ家はこれまで以上に一緒に集まり、話し合い、将来のプロジェクトについて構想する時間を持ちます。家族経営のクシネ家は数十年にわたって有機農業を実践し、10年以上にわたってビオディナミを実践してきた実績があり、SO2を含まない様々なワイン醸造技術を実験しました。
こうして全ての工程でSO2を使用せず、人の介入を最小限に抑えるワイン造りを実践する「ナチュラルワインプロジェクト マテリア・プリマ」が始まったのです。
彼らの目標は常に「誰もが理解し楽しめるクリーン且つ高品質で表現力豊かなワインを造ること」です。マテリア・プリマはまさにそれを実現しています。
味わいの特徴
オレンジがかったレモンイエローの色調。グラスに鼻を近づけるとフレッシュな柑橘系のアロマがひろがります。口に含むと青バナナや青パパイヤといった若々しいトロピカルフルーツのニュアンスに加え、ハーブのような爽やかさと伸びやかな酸味が心地良い味わい。わずかに火薬香があり、豊かなミネラルを感じられる白ワインです。
おすすめのペアリング
フレッシュで爽やかでありながら、しっかりとしたボディとミネラル感を味わえるマテリア・プリマ ブラン (Materia Prima Blanc)には、生野菜や魚介料理がよく合います。
柑橘のドレッシングを効かせたシーフードマリネや、フルーツビネガーを使った根菜のピクルス、青パパイヤのサラダなどもおすすめ。イカのフリットや魚介のアヒージョなど、オイルを使用したお料理もワインの酸味が油分を中和してくれるので良く合います。チーズはクセのないハードタイプを合わせると良いでしょう。
まとめ
今回は、ペネデスの生産者パレス・バルタ(PARES BALTA)のナチュラルワインプロジェクト、マテリア・プリマ (Materia Prima)によって生まれた白ワイン、マテリア・プリマ ブラン (Materia Prima Blanc)をご紹介しました。
数十年にわたって有機農業を実践してきたクシネ家によるナチュラルワインプロジェクトのテーマには「伝統と革新を結びつけること」も含まれています。
全ての工程でS O2を使用せずに、天然酵母のみで発酵を進めた果汁から造られる白ワインは、クリーンで豊かな味わいです。長年受け継がれてきたワイナリーの伝統と、最新の有機農法とテクノロジーで造られた無添加ワインを、ぜひ一度味わってみてください。