日本ではイタリア料理の流行とともに普及し、今や大人気食材のオリーブオイルですが、オリーブオイルの本場は実はスペインです。オリーブ、そしてオリーブオイルの生産量、そしてその品質で世界一を誇るスペインでは、料理の味をオリーブオイルが大きく支えています。
スペインワインとオリーブオイルの味の相性も、ルーツが近いこともあるせいかぴったり!今回はスペインワインとの相性が良い、オリーブオイルを使ったスペイン料理のレシピを厳選して5つ、紹介します。
タコのガリシア風
ガリシア州の街、ルーゴ(Lugo)の守護聖人の祭り日では定番のこの伝統料理は、ガリシア地方以外ではプルポ・ア・ラ・ガジェーガ(Pulpo a la gallega/タコのガリシア風)の名前で知られ、スペイン全土でバル(Bar)の定番料理となっています。ガリシア地方ではポルボ・ア・フェイラ(Polbo á feira/祭りタコ)と呼ばれています。
本来は干物のタコで作る料理で、生のタコを茹でて使う場合は調理の前にしっかり叩いて柔らかくする必要があります。しかし近年では冷凍のタコを使うことで、タコを叩く手間を省くのが一般的な作り方です。
ガリシアでは若い赤ワインと一緒に食べるのが一般的。ガリシアの昔からの食べ方にならい、木の皿に盛り、パンを添えて頂くのがおすすめです。
(材料)
- 冷凍のゆでダコ・・・300g
- たまねぎ・・・1/2個
- じゃがいも・・・1個
- ローリエ・・・1枚
- 塩・・・ひとつまみ
- パプリカパウダー・・・小さじ1
- オリーブオイル・・・適量
- 粗塩・・・少々
(作り方)
- 玉ねぎとローリエ、皮付きのじゃがいもを鍋に入れ、かぶるくらいの水(分量外)と塩を加えて火にかけます。沸騰したら冷凍のタコをそのまま入れます。
- 弱火にして30〜60分、タコが柔らかくなるまで煮ます。
- 熱いうちにタコは輪切りにし、茹でじゃがいもを添えて皿に盛り、パプリカパウダー、粗塩、オリーブオイルを振りかけ、完成です。タコが冷めたら茹で汁で温めると良いでしょう。玉ねぎもタコの茹で汁で美味しくなっているので温野菜として頂くと良いでしょう。
マッシュルームのアヒージョ
チャンピニョネス・アル・アヒージョ(Champiñones al ajillo /マッシュルームのアヒージョ)もバルの定番料理です。スペインでは秋になると天然物のキノコが市場に並びます。山にキノコ狩りに出かける人も少なくありません。マッシュルーム以外にもボレート(Boleto/ポルチーニ)やニスカロ(níscalo/初茸)など、さまざまなキノコがアヒージョなどの料理に使われます。
アヒージョの名前の由来であるにんにく(アホ、Ajo)をお好みで増やしても良いでしょう。にんにくとキノコの風味がたっぷりのオリーブオイルはパンに付けてお楽しみください。スペインの伝統的な土鍋、カスエラ(Cazuela)で作り、そのままテーブルに出すと熱々のままでさらに美味しく頂けるでしょう。
(材料)
- マッシュルーム・・・500g
- にんにく・・・1〜2片
- エキストラバージンオイル・・・50ml
- パセリ・・・適量
- 塩、胡椒・・・適量
- レモン汁・・・5ml
- カイエンペッパー・・・お好みで
- マッシュルームは冷水(分量外)とレモン汁を入れたボウルに入れます。水気を切り、キッチンペーパーなどで優しく拭きとります。マッシュルームが大きい場合は切ります。
- 鍋にスライス、もしくはみじん切りにしたにんにくをオリーブオイルとともに入れます。にんにくがほんの少し色づいたらマッシュルームと塩、胡椒、お好みでカイエンペッパーを加えます。
- 中火で10分、その後はキノコを木べらなどでならして少し火を強めて5分ほど加熱し、刻んだパセリを散らして完成です。
タラのピルピル
バカラオ・アル・ピルピル(Bacalao al Pil Pil /鱈のピルピル)はバスク地方の伝統料理です。ピルピル、とは調理中の油がはねる音から来たという説と、アフリカのスワヒリ語の「Piri piri(唐辛子)」が、ポルトガルから伝わった、という説があります。
本来は干したタラを長い時間オリーブオイルの中で熱して旨味とゼラチン質を引き出す料理ですが、ここでは簡単に甘塩タラで作るレシピを紹介します。
たっぷりのオリーブオイルににんにくを入れて食材を調理するため、アヒージョと同一視されることの多い料理ですが、アヒージョが強めの火でにんにくの香りをしっかり引き出すのに対し、ピルピルは弱火でじっくり食材を熱していくことでゼラチン質をオリーブオイルに溶け出させ、乳化させます。ピルピルのクリーム状になったオリーブオイルは旨味がたっぷりで、そのまま味わうことが多いようです。タラ以外にも、エビやイカなどで作っても良いでしょう。バスクのチャコリ(Txakoli)など、白のスペインワインと一緒にぜひどうぞ。
(材料)
- 甘塩タラ・・・400g
- エキストラバージンオリーブオイル・・・300g
- にんにく・・・4片
- 鷹の爪・・・2本
(作り方)
- 鍋に、オリーブオイル、スライスしたにんにく、輪切りにした鷹の爪を入れ、中火にかけます。にんにくがきつね色になったら、にんにくと鷹の爪をキッチンペーパーの上に取り出します。
- 1に骨を抜いたタラを入れ、極弱火で温めます。タラの皮から白い泡と液体が出てくる火加減を保って下さい。熱が入りすぎたら火から鍋を下ろして温度を調節します。
- 極弱火で10〜15分ほど、タラに火が通るまで熱します。金串をタラに刺し、少し暑くなっていたらタラを取り出します。
- 茶こしなどで鍋の中身をよく混ぜ、オイルを乳化させます。混ぜているとだんだん白く濁り、固まってきます。
- 5に全体的にトロミがついたら塩で味を整え、もう一度タラを鍋に戻してタラを温めます。さらにタラを盛り、ソースをかけてにんにくと鷹の爪を散らして完成。
ミガス
ミガス(Migas)とは、スペイン語やポルトガル語でパンのかけらを意味します。残り物のパンのリメイク料理で、日本で言えば炒飯のような存在でしょうか。スペインやポルトガルで広く作られ、地域によってさまざまなレシピがありますが、基本的には硬くなったパンを水で戻し、にんにくやベーコンなどの肉類や魚、ピーマンなどとともにオリーブオイルで調理する料理です。パンがオリーブオイルをたっぷりと吸い込み、美味しくよみがえってくれます。
(材料)
- バゲットパン・・・500g(買って2,3日くらい経っていればOK)
- 水・・・300ml
- チョリソ・・・2,3本
- ベーコン・・・3枚
- ピーマン・・・2個
- 塩・・・小さじ1
- 乾燥にんにく・・・6片
- オリーブオイル・・・100ml
(作り方)
- パンをフードプロセッサーなどで適度に形が残るように砕きます。
- 水に塩を入れて混ぜて溶かし、ボウルなどに入れたパンの上に水を注ぎ、少し混ぜ、パンが全体的に湿るまで1時間ほど置きます。
- チョリソを薄く切り、焦げ付きにくいフライパン(パンが入る大きさのもの)を中火にかけ、熱されてきたらチョリソを入れ、両面を焼きます。
- チョリソをキッチンペーパーの上にとりだします。ベーコンを短冊切りにし、鍋にオリーブオイルを加え、熱されたらベーコンを塩少々とともにこんがりと炒めます。ベーコンは好みで取り出しておきます。
- 細かく切ったピーマンと皮付きのままのにんにくを4の鍋に入れて黄金色になるまで炒めます。ピーマンを取り出します。
- パンを鍋に入れ、よくかき混ぜ、黄金色になるまでじっくり炒めます。残りの材料を鍋に戻し、しばらく一緒に炒めたら完成です。
フラメンカエッグ
ウエボス・ア・ラ・フラメンカ(Huevos a la flamenco /フラメンカエッグ)はアンダルシア地方(Andalucía)、セビージャの郷土料理で、1世紀以上に渡って調理されてきました。名前の由来はフラメンコの衣装のように色あざやかだからだと言われています。ガスパチョなどを作った後の残り野菜や、残った料理などに卵を落として焼いたのがこの料理の始まりなのだそうです。
(材料)
- 卵・・・4個
- イベリコハム・・・100g
- チョリソ・・・60g
- 玉ねぎ・・・1個
- ピーマン・・・2個
- にんにく・・・2片
- トマトソース・・・200ml
- じゃがいも・・・2個
- 冷凍エンドウ豆・・・150g
- オリーブオイル・・・適量
- 塩・・・適量
(作り方)
- じゃがいもは皮を剥き、1cmのサイコロ状に切り、オリーブオイルたっぷりで黄金色になるまで炒めます。炒めたじゃがいもはキッチンペーパーの上に取り出しておきます。
- 玉ねぎとにんにくをじゃがいもを炒めた油で炒めます。玉ねぎによく火が通ったら、トマトソースを加え、5分ほどそのまま加熱します。
- 細く切ったピーマンとじゃがいもを加え、よくかき混ぜてさらに5分加熱します。
- 3を耐熱性のココットなどに4等分します。それぞれに卵を割り入れ、チョリソを薄切りにしたもの、サイコロ状に切ったハムとえんどう豆を入れます。
- 180度に余熱したオーブンにココットを入れ、卵が固まるまで焼いて完成です。
まとめ
オリーブオイルを使ったスペイン料理のレシピを厳選して5つ、紹介しました。
ぜひ、スペインワインとともに味わっていただければと思います。