スペインワイン愛好家の方の中には既にワインセラーを持っている方も多いでしょう。
また、まだ持っていない場合でも、ワインセラーの購入について一度は考えたことがあるという方も多いのではないでしょうか?
今回は、自宅用のワインセラーの選び方の参考になる、自宅にワインセラーを置くメリットやワインセラーの冷却方式、また、ワインセラーがない場合のワインの保存方法について解説していきます。
自宅にワインセラーを置くメリットとは?
決して安価ではないワインセラー。お部屋の中でスペースもとりますし、気軽に置けるアイテムではないのは確かです。それでも、ワイン好きな方がワインセラーを自宅に置くのは以下のような様々なメリットがあるからなのです。
ワインを長期間保存できる
ワインは非常に繊細な飲み物です。気温が25度を超えた状態でワインを保存すると、劣化する可能性が高くなり、かと言って低温すぎてもいけません。また、湿度が高すぎるとエチケットにカビが生えることもありますし、湿度が低すぎるとコルクが乾いて縮んでしまい、空気がボトル内に入ってワインの劣化の原因になってしまうのです。さらに、ワインは紫外線によっても劣化してしまいます。
そこで、必要になるのがワインセラー。ワインセラー内はワインの保存に適正な温度や湿度に保たれます。また、ワインセラーの中にワインを入れると、紫外線からも守られます。また、ワインは揺れによっても劣化が進んでしまうのですが、ワインセラーによっては揺れを防止する機能もついています。さらに、ワインセラーはワインへの臭い移りも防ぐことができ、ワインの保存には完璧に近い環境を提供できる、というわけなのです。
ワインを購入してもなかなか飲みきれないような場合は保存方法によっては劣化が進んでしまいますが、ワインセラーでの保存はワインを劣化から守ることができます。ですから、頂きもののワインが溜まってしまって保存に困るようなことがあっても、ワインセラーがあれば安心なのです。
ワインを熟成させることができる
デイリーワインであれば開栓してからはワインセラーに入れたとしてもできるだけ早く飲むほうがいいでしょう。ただ、長期間保存することによって美味しさや香り、味の深みが増すタイプのワインは、熟成させるためにワインセラーが必要です。逆に、ワインセラー以外の環境でそのようなタイプのワインを長期熟成させようとしても、かえってワインを劣化させてしまうことが多いのです。
ワインは投資に使える
高級なワインは長期間保存することによってその魅力を増すことが多いのですが、その価値も上がる、という面もあります。そのため、希少なヴィンテージワインをさらに長期熟成させ、市場の価格がピークに達した時に売却することで利益を得る目的でワインを入手して保存する「ワイン投資」というものが存在します。その時に必須となるのがワインの保存に適したワインセラーです。
ワインの価値の高さは熟成の年数に比例するという面がありますが、古い年代のワインをいい状態で入手することは難しいもの。そこで、ヴィンテージはそう古くないものの優れたワインを入手し、そこからできるだけ良い状態で長く熟成させることでワインの価値を上げるわけです。
ワイン投資は、成功すれば最大100倍もの利益を得ることができるとも言われています。そのため、多少高くても初期投資として機能性の高いワインセラーを用意し、ワインの長期熟成に最も適した状態を用意しよう、と考える投資家は少なくないのです。
ワインセラーの冷却方式の違い
ワインセラーの冷却方式は主に以下の3種類があります。それぞれの特徴とメリット、デメリットを紹介していきましょう。
コンプレッサー式
冷蔵庫と同じようにモーターを動かし、冷媒の気化熱で冷却する方式です。メリットは冷却力が強いことと、消費する電力が少ないことです。そのため、ドアの開閉回数の多い業務用や、大型のワインセラーに採用されるのがこのコンプレッサー式です。
コンプレッサー式のデメリットは、音と振動が大きいことです。ただし最近は徐々に静音性の技術が向上してきています。
ペルチェ式
ペルチェ素子という半導体素子の性質を活かした冷却方式で、直流電流を金属が吸収して冷却します。メリットは音が静かで価格が比較的安いことです。そのため、小型のワインセラーや、お手頃価格のワインセラーに導入されているのがこのペルチェ式です。
デメリットは冷却力が他の方式に比べると弱く、維持費がかかることです。また、ペルチェ式のワインセラーは耐久性が低めの商品もあるようです。
熱吸収式
コンプレッサー式と同じように冷媒の気化熱を利用する冷却方法で、冷媒にアンモニアを使用するためアンモニア方式とも呼ばれます。冷媒の循環にはモーターではなくヒーターを使うため、メリットとして静音性に優れていることが挙げられます。
しかし、デメリットとして冷却力がコンペレッサー式に比べると低く、電力の消費量が多いことが挙げられます。
ワインセラーがない場合の保存方法
ワインを保存するにはワインセラーを使うのが最適ですが、ワインセラーがなかったとしてもしばらく家庭でワインを保存することは可能です。未開封のワインの保存方法と、開封後のワインの保存方法を紹介します。
未開封のワインの保存方法
- 夏期は冷蔵庫の野菜室で保存する
冷蔵室は温度が低くなり過ぎ、振動もあるため、ワインの保存にはあまり向いていません。一方、野菜室はそれほど温度も低くなく、振動も少なめです。ただし、野菜室の開閉頻度が高い場合、ヴィンテージワインであれば冷蔵室の奥の方に入れておいたほうがいいかもしれません。野菜室にワインを保存する際には遮光と保湿のため、ワインボトルを新聞紙とプチプチで巻くと良いでしょう。
- 冬期は暖房の効いていない寒過ぎない場所で保存する
冬期は暖房の効いていない寒過ぎない場所で、ワインを箱に入れて保存するようにしましょう。ただし、寒冷地であれば冷蔵庫の方が冷え過ぎないこともあるので、冷蔵庫内で保存するようにします。
開封後のワインの保存方法
- 冷蔵庫で保存する
開封後のワインは抜栓したコルクをラップで巻いたものやワインストッパーで栓をし、冷蔵庫で保存するようにしましょう。また、飲んで量の減ったワインは横にするとワインが空気に触れる面積が広くなってしまうので、必ず立てて保存するようにします。
- 小さな容器に移す
飲んで量の減ったワインは小さな容器に移すことでワインが空気に接触する面積を小さくすることができます。小さな清潔な容器に移したワインは冷蔵庫の中で保存するようにしましょう。
- ガス注入で酸化を防ぐ
高級なワインを開栓後に少しでも長く保存するためにおすすめなのがガスを注入してワインの酸化を防ぐ方法です。飲み残したワインのボトルの中に、窒素など、酸素よりも比重の重い不活性ガスを注入し、ワインに酸素が接触しないようにさせることができる、という方法で、通常の倍以上の期間ワインを長持ちさせることができます。ただし、アルコール度数が高いワインやタンニンが多いワイン、極甘口のワインなどは酸素に触れさせることでより美味しくなるものもあるので、この方法は使わないようにしましょう。
まとめ
自宅用のワインセラーの選び方の参考になる、自宅にワインセラーを置くメリットやワインセラーの冷却方式などの情報を紹介しました。スペインワインのコレクションを増やしたい、ワインを熟成させて楽しみたい、という方はワインセラーの購入を検討してみてはいかがでしょうか。この記事が少しでも、皆さんのワインセラー選びやワインの保存の参考になれば幸いです。