ステイホームがもはや常識となった昨今では、ワインを一人、自宅で楽しむようになった方が急増しました。そこで問題になるのが飲み残したワインの保存ではないでしょうか。ワインキーパーで空気を抜いたとしても、ある程度の期間が経つと酸化してしまうのが事実です。
「いつでも、ワインを好きな時に好きな量、いつまでも美味しい状態で飲むことができる」
ワイン愛好家にとって、そんな夢のようなことを実現してくれるワインオープナーがCORAVIN (コラヴァン)なのです。
今回は、そんなコラヴァンの最新モデル 『コラヴァン モデル11』の特徴と使い方を解説します。
コラヴァンとは?
コラヴァンは、ワインのコルクを抜かずに中身だけを注げる革新的なオープナーです。
2013年にアメリカで商品として最初のモデル、コラヴァンモデル1が発売されました。その後2014年にはヨーロッパへと進出を果たし、日本では2017年より発売が開始されました。現在では世界70カ国以上で発売、数々の有名レストランやワイナリー、ワイン愛好家に採用されています。
コラヴァンは特殊なニードル(針)を、コルクの奥まで突き刺して純度99.9%のアルゴンガスをボトルに注入し、抜栓することなくワインを抽出できる仕組みになっています。使用するニードルは医療用の繊細な針で、抜けばコルクの穴は自然に塞がります。そのため、ワインを空気にさらすことなく、未開封の状態でキープすることができるのです。もちろん、コラヴァンで開けた後のワインボトルを逆さにしてもワインが出てくることはありません。
コラヴァンで抽出した後のボトルは、数週間から数ヶ月酸化させずに保存することができます。2018年に日本で行われたプレゼンテーションでは、2ヶ月前にコラヴァンで開けたワインと当日に開けたワインを比較するブラインドテイスティングが行われました。結果は、両者の差は感じられない、というものでした。
コラヴァンは、スクリューキャップのワインにも使用できます。シリコン製専用キャップを装着することによって、スクリューキャップのボトルでもコラヴァンで開けられ、長期保存が可能になるのです。
これまでにもワインバーやレストランでコラヴァンに似たシステムを使っているところもありました。しかし、そのようなシステムはワイン4本分で100万円以上もする高額商品で、しかもかなり大型です。一方、コラヴァンは490g程と軽量で、持ち運びも可能。個人のワイン愛好家にとっても実に画期的なシステムとなりました。
コラヴァン誕生のきっかけ
コラヴァンはアメリカ・マサチューセッツ州バーリントンに拠点があり、開発・創業者はGreg Lambrecht(グレッグ・ランブレヒト)氏です。ランブレヒト氏はマサチューセッツ工科大学を卒業後、医療器具の開発に携わっていました。
コラヴァン開発のきっかけはランブレヒト氏と同様にワイン愛好家であった奥さんが妊娠したことだった、といいます。一人でワインのボトルを開けきれなくなったランブレヒト氏の、ワインを無駄にすることなくいつまでも美味しい状態で飲みたい、という切実かつ、熱い思いがコラヴァンの開発の原動力となっているのです。
ランブレヒト氏はがん治療で使用する特殊な針を使えばコルクを抜かずにワインを抽出できるのでは、と思いつきます。その後、長年の開発期間を経て商品化に至りました。コラヴァンは、「必要は発明の母」の言葉を地でいく発明品なのです。
https://www.youtube.com/watch?v=q8KvOg-H0gw
コラヴァン モデル11の新機能
2013年の登場以降、材質やカラーバリエーションの追加など、常に進化を続けてきたコラヴァンは2018年に最新モデル『コラヴァン モデル11』を発表、日本では2020年から発売を開始しました。
コラヴァン モデル11はシリーズ初のiOS対応モデルです。iPhoneのアプリ『Coravin Moments』をBluetoothで本体と接続することにより、抽出レベルを調整したり、ニードルのクリーニング情報やガスの残量などを確認したりすることができます。
Coravin Momentsの機能はそれだけではありません。気に入ったワインに合う料理、映画、音楽までもおすすめしてくれるのです。また、ワインのボトルを撮影することにより、気になるボトルのリストや仮想ワインセラーとして記録できる機能も付いています。
コラヴァン モデル11の使い方
コラヴァン モデル11の使用法はこれまでのシリーズ同様、とても簡単です。
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コラヴァン本体を備え付けのUSBコードで充電しておきます。充電中は本体上部のバッテリーアイコンが点滅します。充電が完了するとアイコンは点灯状態になります。使用前にUSBコードは外しておきます。
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本体をCoravin Momentsアプリに接続し、システムステータスをモニタリングしてシステム操作にアクセスします。(アプリ内の説明に沿ってシステムに接続してください)
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本体クランプをボトルのネック部分に取り付け、上から軽く手で押し下げます。ランブレヒト氏が動画で説明していた時の表現を借りると、「バターにナイフを刺すみたいに」スムーズにニードルが差し込まれます。
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本体上部にあるボタンで、ワインの量(少なめ/多め)の切り替えが可能です。ボトルを傾け、グラスにワインを注ぎます。十分な量を注いだらボトルを真っ直ぐに戻します。注ぎ終えたらボトルを持ったままハンドルを握り、本体がボトルから外れるまでハンドルを上方に強めに引き上げます。
- コラヴァンを外した後のボトルのコルクにはワインが数滴にじんでくる場合がありますが問題はありません。しばらく放置した後に乾いた布で軽く拭き取ってください。
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本体上部の赤い光はコラヴァンカプセル(専用のアルゴンガス入りのカプセル)が空であることを示しているので交換が必要です。コラヴァンカプセル1本でワインボトル約2〜3本抽出可能です。本体上部にあるボタンを長押しするとトラベルモード(運搬中の誤作動防止)が設定できます。
- コラヴァンカプセルを交換または取り付ける時はクランプレバーを上げて押さえ、クランプを上方いっぱいにまでスライドさせ、カプセルカップを回して外します。カプセルの丸い方を先にしてカプセルカップに入れ、素早く本体に取り付けます。クランプを元の位置で固定されるまで下にスライドします。
コラヴァン モデル11のお手入れ方法
コラヴァン モデル11はパーツごとに分解し、水洗いが可能です。使用後すぐに洗っておくことで次回の使用に備えることができます。
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まずはパーツを外さない状態で注ぎ口からぬるま湯を数秒流し入れます。本体を水没させたり、食洗機の中に入れたりしないでください。
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乾いた柔らかい布で本体を拭きます。上部のハンドルを持ち上げ、反時計回りに回します。回しきったらハンドルを持ち上げて注ぎ口を取り外します。注ぎ口はぬるま湯を流し入れて洗います。
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つまみの部分を持ってニードルをまっすぐ上に引き出し、本体から取り外します。ニードルもぬるま湯で洗い流します。
- 部品を取り外した後の本体もぬるま湯で洗い流します。この時にクランプがスムーズに上下することを確認します。※ニードルとクランプの取り扱いには十分に気を付けます。
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乾いた柔らかい布で本体を拭きます。クランプを上までスライドさせてから、ニードルを付け直します。ニードルのつまみ上部にハンドルを時計回しに回して取り付け、ハンドルを元に戻します。クランプをロックされるところまで下げます。
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もしガスを入れているのにワインが出てこない場合はニードルのクリーニングが必要です。ニードルを取り外し、ニードルの上部から専用のブラシを差し込み、ブラシをくるくる回して掃除します。専用のシリンジにぬるま湯を入れ、シリンジの穴の上部からニードルをしっかり差し込みます。シリンジをすばやく押し込んでぬるま湯をニードルに流し入れ、洗浄します。
まとめ
コラヴァンの最新モデル 『コラヴァン モデル11』の特徴と使い方について解説しました。
コラヴァンがあれば、
「赤も白も、両方飲みたい」
「ワインの飲み頃を気軽に確かめたい」
「一皿ごとにワインを変えたい」
そんなワインの楽しみ方が気軽に実現できてしまいます。
コラヴァン モデル11は13万円前後と、ワインオープナーとしては確かに高額です。しかし、貴重なワインを無駄にすることなく、最後まで美味しく飲みきりたい!というような場合には、コラヴァンの導入は結果的にリーズナブルだと言えるでしょう。
家飲みが主流の時期が終わり、大勢でいろいろな種類のワインを楽しむようなシチュエーションでも、コラヴァンは大活躍間違いなし!です。気になった方は、ぜひチェックしてみてください。