辛口シェリーの中には、Palo Cortado (パロ・コルタド)という珍しい種類があるのを知っていますか?
Palo Cortado (パロ・コルタド)は、意図的に製造することが非常に難しいシェリーとして知られており、希少価値の高いシェリー。アモンティリャードのような繊細さと、オロロソの豊かな風味の2つの特徴を持った非常に魅惑的な味わいです。他にはない繊細で複雑な味わいは、シェリーファンから非常に人気がありますが、生産数が限られているため、手に入れるのが困難な貴重なシェリーです。
今回は、シェリーの名門として名高いスペイン老舗のボデガが造る高品質なPalo Cortado (パロ・コルタド)をご紹介します。
Palo Cortado (パロ・コルタド)とは?
パロ・コルタドは、古くから続く伝統辛口シェリーの一種です。辛口シェリーは、製造方法の違いによってフィノやマンサ二ージャ、オロロソ、アモンティリャードといった異なった種類のシェリーが造られています。ところがパロ・コルタドは、偶然が重なった時にそれも1〜2%の自然発生確率でできる最も珍しいシェリーとして知られていました。
パロ・コルタドも他の辛口シェリーと同様に、パロミノ・フィノ(Palomino Fino)から造られます。最初の段階では、フィノやアモンティリャードを目指して造っているため、フロールを持っています。ところが、その製造過程においてフロールが機能せず、フロールを失ったことで自然的にオロロソとしての酸化をはじめます。シェリーは17度以上へと酒精強化された後、パロ・コルタドのソレラシステムに移されます。
この結果、アモンティリャードのような繊細さと、オロロソの豊かな風味の2つの特徴を持ったなんとも魅惑的な味わいのシェリーが誕生します。とはいえ、パロ・コルタドの製造過程は未だ完全に解明されておらず、現在においても誰もが口を揃えて「偶発的にできるシェリー」と言います。
スペイン語でPalo(パロ)とは”斜線(/)”を、Cortado (コルタド)とは“カット(切られる)”という意味を持ちます。シェリーの製造過程では、フィノやアモンティリャードなどのフロールを持つシェリーと分かるように、その樽に斜線で印を入れますが、この製造過程で、フロールが消えつつあると判断し場合には「カットスティック」を入れ「×」のような形にします。そうして、偶然が重なってできたシェリーは、製造過程の印がそのまま名前となり「Palo Cortado (パロ・コルタド)」と呼ばれるようになりました。
1822 Palo Cortado ― 1822 パロ・コルタド ―
【商品情報】
商品名 |
1822 Palo Cortado (パロ・コルタド) |
生産者 |
Herederos de Argüeso,S.A.(エレデロス・デ・アルグエソ) |
ビンテージ |
NV |
設立 |
1822年 |
おすすめ料理 |
カラスミ/白子のフリット/スモークターキー/熟成チーズなど |
生産国 |
スペイン |
地域 |
D.O.ヘレス・ケレス・シェリー(D.O.Jerez-Xérèz-Sherry)アンダルシア州 |
ぶどう品種 |
パロミノ・フィノ(Palomino Fino)100% |
発酵容器 |
1822年から修理/修復を重ね使い続けている500ℓオーク樽70個(アメリカ産) |
熟成期間 |
最低20年 |
発酵期間 |
5~10日間 |
度数 |
19.0% |
テイスト |
ドライ |
飲み頃の温度 |
12~14°C |
容量 |
750ml |
1822 Palo Cortado (パロ・コルタド) について
Herederos de Argüeso,S.A.(エレデロス・デ・アルグエソ)社からリリースされているこの高級シェリーのシリーズ「1822」の一つ「1822 Palo Cortado (パロ・コルタド)」は、Palomino Fino(パロミノ・フィノ)を100%使用し、20年以上熟成された辛口のシェリーです。
シリーズ名となっている「1822」とは、創業者León de Argüeso y Argüeso(レオン・デ・アルグエソ)によってHerederos de Argüeso,S.A.(エレデロス・デ・アルグエソ)社の原点となる最初のワイナリー「San José(サン・ホセ)」が設立された年です。
さらに、創業当時の1822年から大切に使い続けている200年以上の歴史を持つ樽によって、シェリーの長期熟成を行っていることからこの名前が付けられました。この特別な樽によって20年の熟成を経た1822 Palo Cortado (パロ・コルタド)は、サンルーカル・アモンティリャードの複雑味を帯びた味わいと、最高のオロロソの香りを伴う希少なシェリーに仕上がっています。
1822 Palo Cortado (パロ・コルタド)の味わい
輝きのあるマホガニー色をした1822 Palo Cortado (パロ・コルタド)は、クルミなどのローストしたナッツやトーストといった香ばしいアロマに、焼きりんご、アプリコット、スパイス、さらにはビターオレンジのような柑橘系のニュアンスも感じられます。
力強く厚みのあるボディですが、まろやかで柔らかな口当たりを特徴とし、繊細でエレガントな味わいをお楽しみいただけます。
1822 Palo Cortado (パロ・コルタド)とのペアリング
飲み口はドライで、力強い印象のある1822 Palo Cortado (パロ・コルタド)は、しっかりとした味わいを持つ熟成チーズやカラスミなどにも負けず、双方の深い味わいを引き出します。さらに、白子のフリットやスモークターキーといった濃厚な味付けの魚介類や肉料理との相性も抜群です。その他にもシチュー、ソーセージ、スモークチーズやコンソメスープなど、幅広いペアリングを楽しめる魅力的なシェリーとなっています。
ワイナリーでは、12~14°Cを1822 Palo Cortado (パロ・コルタド)を最も美味しく飲める推奨温度としています。複雑で高貴な味わいを持つシェリーですので、冷蔵庫やワインセラーで少し冷やして飲んでいただくのがおすすめです。
Herederos de Argüeso,S.A.(エレデロス・デ・アルグエソ)について
Herederos de Argüeso,S.A.(エレデロス・デ・アルグエソ)社は、スペイン南部の海岸沿いのアンダルシア地方に位置する歴史ある家族経営のボデガとしてスタートしました。
200年以上続く伝統と樽を守り、何世代にもわたって事業を徐々に拡大してきました。2016年には、ワインの品質と評価を高めることを目的として「ボデガス・ユステ」にの傘下となり、現在では、サンルーカル・デ・バラメーダの中心街近くに3つのボデガを所有しています。
特に、シェリーにおいて高い評判を持っており、スペインのワイン雑誌「VINO DE ESPAÑA(ヴィーノ・デ・エスパーニャ)誌」では、Herederos de Argüeso,S.A.(エレデロス・デ・アルグエソ)社の全てのマンサニージャが賞を獲得している実力派のボデガと紹介されています。
まとめ
今回ご紹介したシェリー「Palo Cortado (パロ・コルタド)」は、複雑な化学反応を起こして偶然できた奇跡のシェリーです。そんな貴重なパロ・コルタドを200年続くオーク樽を使って20年以上熟成された「1822 Palo Cortado (パロ・コルタド)」は、アモンティリャードとオロロソ両方の要素をバランス良くあわせ持った贅沢なシェリーに仕上がっています。
開封後も期限はなく、長期保存をしてゆっくりと時間をかけて飲むことができ、今まで経験したことのない洗練されたシェリーの味わいをお楽しみいただけます。シェリーファンの方は必見の「Palo Cortado (パロ・コルタド)」。ぜひ、この機会にお試しください。