ワインの貯蔵方法は?と聞かれたら木製の樽がズラッと並んでいる姿を思い浮べますよね。
熟成方法が限られていた一昔前の時代ならまだしも、現代ではステンレスタンクなど簡単で安価な貯蔵方法も選択することができるにもかかわらず、高級ワインでは高価で貯蔵管理の大変な木製樽が未だに使用されています。
なぜあえて手間のかかる木樽を使用するのかご存知でしょうか?
そこには、ワインの味わいや香りを決めるとっても大切な理由があるからです。
本記事では、木樽熟成由来の香りと味わいの特徴など奥深い樽熟成の知識をお伝えします。この知識を知っていれば、今後はさらに樽熟成のスペインワインを楽しめるようになります!
また、木樽熟成ワインの特徴を感じられるおすすめの赤ワイン、ラス・エルマーナスシリーズ第5弾「ラス・エルマーナス クリアンサ」の魅力をご紹介します。
ワインの熟成ってなんのため?
ぶどうに酵母を加え、発酵させることでアルコールが発生し、ワインができます。しかし、このままでは普段飲んでいるような美味しいワインは生まれません。
ここからバランスの取れた美味しいワイン造りには、熟成工程が必要となります。
ワインを熟成させることで、タンニンや酸味などを柔らかくし、ワインのバランスを整え、マイルドかつ複雑な香りや味わいを生みだすことができます。
このようにワインを熟成期間は、味わいや香りに直接影響を与えるとっても大切な役割を担っているのです。
主なワインの熟成方法は3つ
ワイン熟成過程で使用される熟成容器は主に以下の3つです。
- 木樽熟成
- ステンレスタンク熟成
- コンクリートタンク熟成
どの容器で熟成するかによってもワインの味わいが大きく異なってきます。
一般的に赤ワインは木樽熟成が多く、白ワインではステンレスやコンクリートによる熟成方法が使われています。
また、発酵過程の容器にステンレスタンクを使用し、熟成過程で木製樽を使用しているワイナリーが多く見られますが、これらに決まりがあるわけではありません。
すべては造り手が「どんなワインに仕上げたいか。」というこだわりで決まるのです。
木樽熟成がワインに与える影響
木樽では木目から酸素が出入りすることができるため、樽熟成中にもワインの中に酸素を取り入れることができます。これによって、じっくりゆっくりとワインの酸やタンニンに変化が起こります。
さらに、木樽に含まれているタンニンや香りがワインへ深みや香りを与えます。
木樽熟成を行うことで、木樽の持つ成分や呼吸可能な性質がワインの複雑味のある香り、さらには個性豊かな味わいへと導いてくれるのです。
ステンレスタンク熟成がワインに与える影響
特徴のある木樽の香りをワインに移したくない場合や温度管理が難しい場所で貯蔵する場合などでは、ステンレスタンクによる熟成が行われます。
ステンレスタンクは木樽と違い、空気を通さないので、ワインの酸化を防ぐことができ、気温に左右されること無く一定の温度を保つことができます。
腐ったり酸化したりすることがないステンレスタンクは、使いまわしできる上、熟成時の取り扱いがしやいため、人件費などのコストを抑えることができます。
ステンレスタンクによる熟成では、ぶどう本来の味わいが感じられるフレッシュなワインに仕上がります。
ステンレスタンク熟成と木樽熟成の違い
ステンレスタンク熟成の特徴と木樽熟成の特徴の違いについてはこちらをご覧ください。
熟成容器 |
ステンレスタンク |
木樽 |
コスト |
安価 |
高価 |
取り扱い・温度管理 |
しやすい |
しにくい |
気密性 |
気密性が高いのでワインの酸化を防ぐ |
木目が酸素を取り入れて味わいを変化させる |
味わい |
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どんなワイン |
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どんなワインにしたいかや栽培しているぶどう品種の特性によって、同じワイナリーでも貯蔵法方法を変えていることが多いです。
それぞれの樽熟成の味わいと香りの特徴
一口に木樽熟成と言っても木樽に使用されている木材によって、ワインに与える味わいや香りも違ってきます。
ここでは、木樽熟成の中でも最も多く使われている「オーク材」の味わいと香りの特徴をお伝えします。
オーク材の種類と香り
オーク材には、フランス産のフレンチオークとアメリカ産のアメリカンオークの2種類があり、どちらを使用するかによってワインに与える味わいや香りの特徴が異なります。
具体的な香りには以下のようなものがあります。
|
フレンチオーク樽
フランス産のオーク材で造られた木樽で、軽いトースト香やバニラ香、スパイスのような香りがフレンチオーク熟成での特徴です。
繊細な味わいや香りを表現することができ、ピノ・ノワールなど華やかでエレガントなワインでも使用されています。
長期熟成に向いており、高級〜最高級ワインに使用される高価なオーク樽です。
アメリカンオーク樽
アメリカ産のオーク材を使用したアメリカンオーク熟成では、バニラ香やココナッツなどの甘い香りが感じられます。
フレンチオークよりも安く、強い香りを持ち、しっかりとした樽香が付きやすい特徴があります。
一般的なワイン〜高級ワインに用いられることが多く、特にオーストラリアやアメリカのワインで使用されています。
樽の条件によって生まれる違い
木樽熟成では、木材の種類の他にもさまざまな条件によってワインの味わいが変わります。
例)
- 樽の年数→新樽の方がしっかりと風味がつく、酸素の供給がよりスムーズ
- 樽の大きさ→小樽の方が樽板と触れ合う面積が多いため樽の風味を移しやすい
さらには、樽の内部をどのくらい火で炙ってローストするかによっても与える香りに違いを生みます。
樽のロースト加減 |
香り・味わい |
ライト・ロースト |
軽いヴァニラ香 |
ミディアム・ロースト |
スパイス、ヴァニラ、ココア、チョコレート |
ヘヴィ・ロースト |
煙、コーヒー、カラメル |
樽内部をしっかりとローストすることで、カラメルやトースト香のような香ばしさをもった味わいを感じるようになります。
木樽は同じ産地、同じ木材でも、年数や大きさ、ローストの加減によって異なります。さらにこれら異なる木樽をうまくミックスさせることで複雑かつ個性のあるワインを造り出すことも可能になります。
このようにあらゆる条件で味わいが変わる点もまた木樽熟成の奥深さが感じられますね。
樽熟成の特徴を感じられるおすすめスペインワイン
【商品情報】
商品名 |
ラス・エルマーナス クリアンサ |
生産者 |
ボデガス・ルソン |
おすすめ料理 |
ミートボールや豆を使ったシチュー、ラムチョップのグリル、ウサギやうずらなどのミートパイ、シナモン風味のチェリーコンポートなど |
生産国 |
スペイン |
地域 |
ムルシア州 D.O.フミーリャ(フミージャ) |
ぶどう品種 |
モナストレル:60%、カベルネ・ソーヴィニヨン:40% |
樹齢 |
モナストレル:25〜45年、カベルネ・ソーヴィニヨン:15〜35年 |
度数 |
14.5% |
ボディ |
ミディアム |
飲み頃の温度 |
14〜16℃ |
容量 |
750ml |
今回ご紹介する赤ワインは、ラス・エルマーナスシリーズの「ラス・エルマーナス クリアンサ」です。
ビビットカラーの黄色いラベルに描かれている女性は、ワイナリーを引き継いだ4姉妹次女のマリア。彼女は長女アナ・ホセファが管理するレストラン「Honor del Cristo de la Salud」のウェイトレスとして働き、生涯を通じてフミージャで過ごしました。
また、マリアはフミージャ市内に現在も残っている「サンタ・アナ姉妹学校」を創立した1人です。
「ラス・エルマーナス クリアンサ」の味わい
ワインの色合いは濃いルビー色をしており、プレーンやダークチェリーのような濃厚な赤系果実香の豊かな果実味と樽熟成から感じられるシナモンやローズマリー、スパイシーなニュアンスがあります。
2種類の樽熟成後にステンレス・スティールタンク熟成を行っており、ほどよいタンニンと穏やかな酸味が調和したバランスが取れつつも複雑味をもった味わいです。
アメリカンオーク由来のほのかなバニラ香やフレンチオーク由来の繊細な風味、両方の木樽の特徴を感じることができる赤ワインです。
フレンチオークとアメリカンオークの小樽で熟成
生産者であるボデガス・ルソンのワイナリー地下には2100個のフレンチオーク及びアメリカンオークの小樽が貯蔵されています。
「ラス・エルマーナス クリアンサ」では、これらのフレンチオークとアメリカオークの小樽を併用して計12ヶ月熟成することで複雑味のあるワインを造りあげています。
さらに、12ヶ月間の樽熟成後から瓶詰めまでの12ヶ月以上の期間はステンレス・スティールタンクによる熟成を行い、徹底した温度管理でバランスの良いワインの熟成を高めます。
ボデガス・ルソンのワインは最新の品質管理システムを取り入れることで、ぶどう畑の管理から発酵、熟成、瓶詰め後の瓶熟成にまですべての過程においてこだわって造られています。
まとめ
ワインの味わいを決定する樽熟成は、知れば知るほどとても奥深く、樽熟成の使い方でワイナリーの個性やこだわりが顕著に現れる部分でもあります。
最近では、樽香をしっかりと感じるワインよりもブドウ本来の味わいが感じられるワインが好まれており、アメリカンオークのみを使用したワインは減少する傾向にあります。
しかし、今回ご紹介した樽熟成おすすめのスペインワイン「ラス・エルマーナス クリアンサ」では、ステンレスタンクと2種類の木樽(フレンチオークとアメリカンオーク)それぞれの良いところを上手く併用しており、ワイナリーのこだわりがよく感じられる味わいに仕上がっています。
ぜひ、今後ワインを決める際にはワインのぜひ熟成方法にも目を向けてみてくださいね。