スペインのToro(トロ)地域で造られる主要な赤ワイン「ティンタ・デ・トロ」のワインをご存知ですか?
Toro(トロ)とは、スペイン語で“雄牛や闘牛”を意味します。その名の通り、トロの赤ワインは、とってもパワフルで重厚感のあるフルボディな飲み口が特徴です。
今回は、近年大きな発展を遂げている注目の地域でもあるD.O.トロの赤ワイン「ティンタ・デ・トロ」とは?どんなワインなのかを解説するとともに、D.O.トロおすすめの赤ワインもご紹介します。
ティンタ・デ・トロって?
ティンタ・デ・トロは、スペインの代表ぶどう品種「テンプラニーリョ」と同じぶどう品種です。
テンプラニーリョは、地域によって多くのシノニム(別名)を持つでも有名な黒ぶどう品種です。現在では、実に50種類以上のシノニム(別名)を持っており、中でもD.O.トロで造られるテンプラニーリョのことを「ティンタ・デ・トロ」といいます。
寒暖差の厳しい大陸性気候で育つティンタ・デ・トロは、他の地域で造られるテンプラニーリョよりも皮が厚く、控えめな酸、濃厚な果実味、凝縮されたぶどうの旨みを持ちます。
D.O.トロの特徴
カスティーリャ・イ・レオン州の西部、サモラ県の南東にあるスペイン内陸地がD.O.トロのワイン産地です。現在、8,000haのぶどう畑があり、1,200のぶどう栽培農家が登録されています。
D.O.トロでは、この土地の固有品種である「ティンタ・デ・トロ」を中心としたワイン造りを行なっています。
ティンタ・デ・トロの持つ力強く、濃厚でリッチな味わいは、国際的にも評価されおり、特に1990年以降の約20年間で急成長を遂げていることでも注目の地域です。
D.O.トロの歴史
トロでのワインの歴史は大変古く、紀元前1世紀にまでさかのぼります。古代ギリシャ人が地元ケルト族にワインを伝えたことが始まりです。その後、紀元前1世紀の終わりからトロでワイン造りが行われるようになり、中世紀にはトロのワインは非常に人気がありました。
順調にワイン産業を発展させていったトロでは、ついに1987年に原産地呼称(D.O.トロ)を獲得します。
その後の19世紀には世界的なフィロキセラ被害に見舞われますが、奇跡的にもこの地域のぶどうの木には影響を与えることはありませんでした。そのため、フィロキセラ被害のあったスペインの地域では、次々に被害のないトロぶどうの木へと置き換えられ、ぶどう畑の再構築に成功します。
つまり、スペインではトロのぶどうの木がなければ、ここまでワイン産業が発展していなかったのかもしれないのかもしれませんね。
ティンタ・デ・トロの種類
D.O.トロで造られる赤ワインには100%ティンタ・デ・トロを使用されていますが、熟成条件によって以下の4種類に分けられています。
3〜6ヶ月ほどの若い赤ワイン
2年以上熟成された赤ワイン。そのうち6ヶ月以上オーク樽で熟成されたのもの
3年以上熟成された赤ワイン。そのうち1年以上をオーク樽で熟成されたもの
5年以上熟成された赤ワイン。そのうち2年以上をオーク樽で熟成されたもの
スペインでは、「オーク樽を使用すること=高級で上質なワイン」とされているため、オーク樽で熟成したものに限り格付けを獲得できます。熟成期間が長いほど、値段も高くなっていきますが、D.O.トロは長期熟成の能力が大変高く、洗練されたリッチで複雑みのある深い味わいを楽しむことができます。
デイリーワインとして飲むならホベンを、お祝いの日やデートなどにはクリアンサを。普段よりもリッチで贅沢な気分を味わいたいなら、レゼルバやグランレゼルバを選ぶのがおすすめです。これらの種類は、今後スペインワインを選ぶ際の基準にもなりますので、ぜひ覚えておいてくださいね。
ティンタ・デ・トロのおすすめ赤ワイン
【商品情報】
商品名 |
モンテ・トロ・クリアンサ(Monte Toro Crianza) |
生産者 |
ボデガ・ラモン・ラモス(Bodega Ramón Ramos) |
おすすめ料理 |
ポークリエット、鴨のロースト、牛タンシチューなど |
生産国 |
スペイン |
地域 |
D.O.トロ |
ぶどう品種 |
ティンタ・デ・トロ100% |
度数 |
14.5% |
ボディ |
フルボディ |
飲み頃の温度 |
15℃ |
容量 |
750ml |
今回ご紹介するおすすめ赤ワインは、スペインD.O.トロの「モンテ・トロ・クリアンサ(Monte Toro Crianza)」です。
Monte(モンテ) はスペイン語で“山”を、Toro(トロ)は “高いところ”を、つまりMonte Toro (モンテ・トロ)は“高い山”を意味します。
さらにMonte Toro (モンテ・トロ)は、彼らの畑の名前でもあり、その名の通り標高600〜700mの山々に囲まれた高い場所にぶどう畑があることからこの名前が付けられました。
味わいの特徴
青紫色のトーンに濃い漆黒色。口に含むと、ブラックチェリーやザクロ、カシスなどの赤系果実のアロマが広がります。さらにスパイスの香ばしさや焙煎香に加え、オーク樽由来のバニラの甘い香りが飲む人を魅了します。
凝縮したタンニンがワインの渋み際立たせ、濃縮な果実味とスペインワインらしい力強さがあるフルボディ。ストラクチャーがしっかりとしており、なおかつシルキーでパワフルな味わいの赤ワインです。
煮込み料理やジビエを含む肉料理全般との相性は抜群です!ノンフィルターのため多少の澱がありますが、その分ぶどうの旨みをより感じることができます。
生産者について
ボデガ・ラモン・ラモス(Bodega Ramón Ramos)は、1963年にラモン・ラモス氏によって創業された家族経営のワイナリーです。
彼らのぶどう畑はスペイン北西部のベニアルボという街にあります。祖父母から受け継いだゴブレ仕立てのティンタ・デ・トロの畑は1haあたりの生産量が非常に少なく、貧弱な土壌のため、ぶどう栽培には困難を極めます。しかし、非常に希少なフィロキセラ渦前の畑も所有しており、古いぶどう樹では100年を超えるものもあります。
現在は2代目のラモン・ラモス・ジュニア氏が兄弟で運営を行なっており、当時の地元の市場に焦点を当てた会社経営から国際市場へと徐々に広げています。
品質第一に考えられた伝統と情熱のワイン造り
彼らは、ワイン造りに情熱を注ぎ『品質第一』をモットーに、伝統を重んじて丹精込めてワインを造っています。
ぶどう畑の自然な成長サイクルを尊重し、ぶどうの自然な美味しさを最大限に引き出します。また、最高のワイン醸造技術を適用し、オーク樽で熟成を重ねます。
ぶどうの旨みにこだわりたいという彼らの情熱から、熟成タイプの赤ワインではフィルターを使いません。フィルターを通さないことで、ぶどう本来の旨味や香りをそのままに瓶詰めすることができ、より深いコクや複雑味を感じることができます。それはどこか懐かしい故郷を思わせる味わいとなります。
このような品質を第一に考えたボデガ・ラモン・ラモスのワインへの取り組みは、世界中で評価されており、多くの賞を受賞している実力派ワイナリーです。
まとめ
D.O.トロを代表するティンタ・デ・トロは、スペインの中でも特に大変古い歴史を持つスペイン固有ぶどう品種。長期熟成にも向いており、ぶどうの持つパワフルさ、フレッシュさ、豊かな果実味、酸味を合わせ持っているポテンシャルの高いぶどう品種です。
なかでも、今回ご紹介したおすすめの赤ワインボデガ・ラモン・ラモスのモンテ・トロ・クリアンサ(Monte Toro Crianza)は、まさにそんなティンタ・デ・トロの良いところを凝縮させた素晴らしい品質の赤ワインに仕上がっています。とても濃厚でリッチな味わいながら、コスパも抜群。
「濃厚な果実味を感じられるしっかりとした赤ワインを飲みたい」「ステーキなどの肉料理と合わせてゆっくりと贅沢な時間を楽しみたい」などおうち時間をリッチにしてくれるおすすめワインです!ぜひ、モンテ・トロ・クリアンサとともに素敵な時間をお過ごしください。