ワインセラーがなくてもOK!家庭でできるワインの保存方法 ワインセラーがなくてもOK!家庭でできるワインの保存方法

ワインセラーがなくてもOK!家庭でできるワインの保存方法

ワインを家庭で楽しむ場合、保存方法に悩まれる方は多いのではないでしょうか。ワインセラーがないとワインは保存できないと思われがちですが、いくつかのポイントをおさえればワインの品質を保ちながら保存することは可能なのです。今回はワインを家庭で保存する方法について解説していきます。

ワインの保存のための5つの条件

ワイナリーなどのカーヴ(ワイン熟成庫)は薄暗く、湿度が高くひんやりとしています。繊細な飲み物であるワインを味わいや香りを保ったまま保存するためには、カーヴのような環境が最適なのです。

家庭でカーヴと同じような条件を作ることはかなり難しいのですが、ワインの品質を保ちながら保存するためには、少なくとも以下の5つの条件をおさえる必要があります。

温度

温度は、ワインを保存する上で最も重要で、保存に適した温度は13〜15℃とされています。

また、急激な温度変化はワインの大敵です。物質は温めると膨張し、冷やすと収縮するという性質があります。そのため、温度が急激に変化すると、ボトル内のワインと空気は膨張と収縮を繰り返すことになり、ワインの劣化が進んでしまうのです。

温度変化は、低温への変化より、高温への変化の方がより大きなダメージをワインに与えると考えられています。ワインは30℃以上の高温に一定時間置かれると化学変化を起こし、熱劣化と呼ばれる変化を見せてしまうのです。

熱劣化したワインは、味や香りに大きな影響を受けます。特に、タンニンの少ない赤ワインや白ワインは熱劣化を受けやすいとされているのです。

ピノ・ノワールなどの繊細なワインの場合、熱劣化するとフルーツ系だった酸味が酢のようなするどい酸味に変わってしまうなどの変化が見られます。天然酵母で発酵させるなどした自然派ワインなどは、熱劣化によって腐敗臭がすることもあるようです。

湿度

ワインを保存する際に適した湿度は70%前後とされています。これは、コルクの状態を適切に維持するために必要な湿度です。

コルクは空気を微量に通すことでワインを少しずつ空気に触れさせ、熟成を進ませる働きを果たします。コルクは乾燥すると収縮し、できた隙間から空気が入り過ぎてしまうため、ワインが極度に酸化してしまいます。そのため、湿度管理はコルクで栓をされたワインを適切に保存するためには欠かせないのです。

ワインは直射日光に当てないよう、暗い場所で保存する必要があります。

日光に含まれる紫外線は力が強く、人間の皮膚を日焼けさせたり、長時間日光にさらされた物質を劣化させたりすることは広く知られています。ワインも、紫外線にさらされると色や味わいが変化したり、硫黄のような異臭や、焼けたような臭いが生じたりすることがあるのです。

そのため、ワインは直射日光だけでなく、紫外線が含まれた蛍光灯空の光からも守られる必要があります。

匂い

ワインを保存する際には匂いのするものの近くに置くことは絶対に避けましょう。コルク栓のワインはコルクから外気と一緒に匂いも吸収してしまいます。キムチのような強い匂いのものはもちろんのこと、野菜やオイル、塗料などの香りにも気をつる必要があります。

振動

ワインの品質は振動によっても影響を受けます。振動はワインの粒子の安定性を無くしてしまい、化学変化を起こさせます。振動を受けたワインは甘味や舌触りの滑らかさがなくなったり、まとまりのない味になったりすることがあるのです。ワインを保存する時には衝撃が加わったり、モーターの振動にさらされたりすることがないように気をつけましょう。

家庭でできるワインの保存方法

スコルニワイン  ワイン 保存方法

ここまでで紹介した保存の条件をすべておさえ、ワインの保存にとって最適な環境が揃っているのがワインセラーです。ワインセラーはワインを冷やすだけでなく、ヒーターで温度調節する機能がついているため、冬季の温度変化にも対応することができるのです。

ワインセラーは高価なイメージがあるかと思われますが、小型のものであれば1万円前後でも購入可能です。多少コストやスペースに負担がかかっても、常にワインを最善の方法で保管したい、という方は家庭用ワインセラーの購入を検討してみると良いでしょう。

それでは、ワインセラーを使用しない場合にはどのようにワインを保存すれば良いのでしょうか。

開栓前のワインの保存方法

開栓前のワインを家庭で保存する場合は、ボトル全体を新聞紙で包んで保存しておきましょう。新聞紙で覆うことでコルクを乾燥から守ることができます。

日本の夏は30℃を超えることがあるので、夏場はワインを冷蔵庫で保存することをおすすめします。冷涼な土地であれば床下での保存なども可能ですが、30℃を超える可能性がある場合には冷蔵庫で保管した方が無難でしょう。ただし、冷蔵庫は湿度が低く、モーターによる振動もあるため、ワインにとって最適な環境とは言えません。ワインを冷蔵庫に入れる際にはコルク周りをラップで包んだり、新聞紙で包んだ上から梱包用の「プチプチ」で包んで振動からワインを守るなどの工夫が必要です。また、冷蔵庫の中でも比較的、温度と湿度の高い野菜室に入れておくことをおすすめします。

冬場は、暖房が当たらない床下や押し入れなどでの保存をおすすめします。ただし、気温が下がりすぎてしまう場合は、温度変化のない冷蔵庫で保存しておく方が良いでしょう。

ワインの保存は縦置き?横置き?

「ワインは横に寝かせて保存するべき」という考えが最近までは定説とされてきました。コルクが乾燥してワインが酸化するのを防ぐためには、ワインを横に寝かせておくべきだと考えられていたのです。

しかし、最近ではワインを横置きにしてもコルクを乾燥から守る効果は少なく、むしろワインが劣化する可能性がある、とも言われています。ただし、他にもさまざまな説があり、縦置き、横置きそれぞれのメリットがあるとも言えるので、長期保存ではない限り、保存しやすい向きで置いておくことをおすすめします。なお、スクリューキャップのワインは縦置きで保存してください。また、スペインワインのカヴァなど、スパークリングワインに関しては縦置き、横置きのどちらにも賛否両論があります。

開栓後のワインの保存方法

スコルニワイン  ワイン 保存方法

開栓したワインはできるだけ当日中に飲みきるのがベストです。開栓後のワインはどんどん香りが抜け、酸化も進んで劣化してしまいます。

しかし、1人で飲む場合や、少しだけワインを飲みたい時などは開栓後のワインを飲み切れない、ということは当然出てきます。その場合は1週間くらいは冷蔵庫で保存しておいても良いでしょう。ただし、熟成が進んだワインであれば2、3日で飲み切るようにしてください。

開栓後のワインを冷蔵庫で保存する場合、ワインをできるだけ酸化から守るためには以下のような方法があります。

小さなボトルに移す

ワインをできるだけ酸化させないために、空気と接触する面を小さくする必要があります。そのためには、残ったワインを小さなボトルに移し替えると容器内の空気を少なくする方法があります。その場合、できるだけワインの量にぴったりのボトルに入れると良いのですが、そのようなボトルが必ずしも手に入るとは限りません。もしワインとボトルの間に隙間がある場合は、ビー玉を入れてワインと空気との接触を減らすという方法もあります。

ワインストッパーを使用する

ワインストッパーはワインの酸化を防止しながら保存するために使うキャップです。ワインストッパーにはさまざまな種類があり、カーボンフィルター付きで酸化を食い止めるタイプや、ボトル内の空気を抜いて真空に近い状態にするポンプ付きタイプ、キャップをつけたままレバーを倒すとそのままワインが注げる、ポアラー付きタイプなどがあります。スペインワインのカヴァなどのスパークリングワインには、密着性の高い専用のストッパーを使うと良いでしょう。

なお、コルクにニードルを刺して開栓せずにワインを注ぐことができる「コラヴァン」を使用すると、酸化を防ぎながらワインを保存することができます。ただし、値段は4万円前後からと、少々ハードルは高めです。

コルクにラップを巻いて栓をする

最も簡単で、コストがかからないのが、抜いたコルクを使って再び栓をする方法です。その場合、コルクに開いた穴から空気が入らないよう、ラップでコルクを包んでから栓をしてください。また、栓をしたワインボトルは横置きにせず、縦置きにして保存してください。横置きにするとワインが空気に触れる面積が広くなってしまいます。

まとめ

スコルニワイン  ワイン 保存方法

家庭でワインを保存する方法について解説しました。みなさんのスペインワインを、できるだけ長い期間、気軽に美味しく飲んでいただくためのお役に立てれば幸いです。

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