ぶどう畑で出会うや動物や植物について解説します ぶどう畑で出会うや動物や植物について解説します

ぶどう畑で出会うや動物や植物について解説します

ワインの原料、ぶどう。ぶどうは甘く、良い香りがしてみずみずしく、人間だけではなく、動物にとっても非常に魅力的な果物です。そのため、ぶどうは常に動物たちに狙われてしまう作物でもあるのです。

また、そのいっぽうで動物や植物の力を借り、ぶどう栽培をしている先進的なワイナリーも存在します。

今回はぶどう畑で活躍している動植物とぶどう畑で注意が必要な動植物、そして、動植物がフィーチャーされているスペインワインについて、解説します。
 

ぶどう畑で活躍している動植物

ぶどう畑で活躍している動植物を紹介します。

 

近代になってトラクターが開発されるまで、畑の土を耕すのに活躍していた動物が、馬でした。そして、最近になってまた、馬を使うぶどう農家やワイナリーが出てきているのです。

トラクターではなく、馬を使うことで3つのメリットがあると言われています。

ひとつめは、土壌の微生物が活性化することです。トラクターで畑を耕すと土がトラクターによって踏み固められ、微生物が死んでしまう可能性があります。いっぽう、馬で畑を耕すとトラクターで耕すのに比べ、土が柔らかい状態になり、微生物にとっても良い環境になり、活性化するのです。

ふたつめは、二酸化炭素の排出防止です。二酸化炭素の排出は気候変動に影響を与えると考えられています。そのため、持続可能なぶどう栽培とワイン造りを目指す生産者を中心に、馬での耕運はちょっとしたブームになっているのです。

みっつめは、狭い畑や斜面のきつい畑でも比較的楽に耕すことができることです。狭い畑や斜面のきつい畑では、トラクターの使用が不可能な場合があります。そこで活躍するのが馬、というわけなのです。

 

羊・山羊

羊と山羊はぶどう畑の除草におおいに役立っている動物です。除草剤を使わないぶどう栽培では雑草の処理が非常に大変な作業となります。そこで、羊や山羊をぶどう畑に入れておくと、雑草を食べてくれる、というわけなのです。羊や山羊の空腹を満たしながら除草もできてしまうので、一石二鳥ですね。また、羊の排泄物は土壌の栄養にもなり、一石三鳥と言えるでしょう。

 

海外ではワイナリードッグと呼ばれる犬を飼い、ぶどう畑を走り回らせているワイナリーが少なくありません。ワイナリードッグはぶどうに被害を与える小動物を追い払う役割を果たしています。また、犬の抜け毛は小動物が畑に近寄ることを防ぐ役割も果たすのだとか。

 

フクロウ

猛禽類であるフクロウは小動物を餌にします。そのため、巣箱を敷地に設置し、フクロウに畑の周囲を飛び回ってもらい、ぶどうを食べてしまう小動物による被害を防いでいるワイナリーもあるのです。

 

ガチョウ

ガチョウはぶどうの芽や果実を食べに来るゾウムシを食べてくれることを利用し、ガチョウをぶどう畑に放しているワイナリーがあるそうです。緑のぶどう畑をガチョウが走り回っている様子を想像すると、まるでおとぎ話のワンシーンのようですね。

 

ミツバチ

ミツバチはぶどうの花の受粉を助ける役割を果たします。そのため、巣箱をぶどう畑に設置しているワイナリーもあるのです。

 

バラ

バラの花も、ぶどう栽培を助ける存在として活躍しています。フランスでは古くからボルドー(Bourdeaux)地方を中心に、ぶどう畑にバラを植える習慣がありました。この習慣はウドンコ病にかかりやすい繊細な植物であるバラを、センサーがわりに利用するためにおこなわれていました。バラがウドンコ病になれば、ぶどうにもウドンコ病にかかる可能性がある、と考えて対処する、というわけです。現在ではバラがぶどうの病気のセンサーがわりになる、とは考えられてはいませんが、フランスでは古き習慣を守り、バラを植えているワイナリーは少なくありません。

 

ぶどう畑で注意が必要な動植物

ぶどう畑で注意が必要な動植物を紹介します。

 

ネズミ・リス

ネズミやリスはぶどうの実を食べてしまうため、注意が必要です。フクロウはネズミやリスを捕食するため、ぶどうを守る役割を果たすことがあるのです。

 

アライグマ・ハクビシン

アライグマやハクビシンもぶどうの実が大好物です。アライグマは食肉目アライグマ科の動物で、かわいらしい顔をしているのでキャラクターやアニメなどで親しまれています。しかし、手先が器用で食欲旺盛、おまけに、凶暴でもあるので実は危険な動物でもあるのです。ハクビシンはネコ目ジャコウネコ科の動物で、尻尾が40cmほどと長く、額から鼻にかけて白い筋が入っているのが特徴です。

 

鳥は空から飛んできてぶどうの実をつついてしまいます。フクロウはそのような鳥を追い払ったり、捕まえたりしてぶどうを守る役割を果たすことがあるのです。

 

シカ

シカはぶどうの芽や葉を食べてしまいます。ぶどうが幼木のうちに芽や葉を食べられてしまうと、木が枯れてしまうこともあります。

 

ヒルガオ

オーガニック栽培など、自然派のぶどう栽培では除草せず、雑草を生えたままにしておく草生栽培を実践する傾向があります。ただ、ヒルガオが良く繁るフランス、ボージョレ(Beaujolais)地区では、ヒルガオだけはぶどうの房の成長を妨げるため、抜いてしまうのだとか。ヒルガオとは蔓性植物の一種で、アサガオに似たピンク色の花を咲かせます。そして、その花が昼になってもしぼむことがないことから名づけられました。

 

動植物がフィーチャーされているスペインワインの紹介

ここからは、スペインワインのなかから動植物がフィーチャーされている商品を紹介します。

 

カラバルセカ・ブランコ(Carravalseca Blanco)

リオハ・アラベサ(Rioja Alavesa)で最重要ワイン生産地のひとつである、ラグアルディア(Laguardia)村の老舗ワイナリー、ボデガス・カサ・プリミシア(Bodegas Casa Primicia)によるオーガニックワインです。希少なテンプラニージョ・ブランコを中心に、5品種のぶどうをブレンドして仕込まれた、バランスの取れた味わい。有機栽培で栽培されたぶどうは手摘みで収穫され、ステンレスタンクで12日間発酵させています。

エチケットにはさまざまな動植物が描かれています。エチケットにはのぞき穴が作られていて、のぞくと中にぶどう畑に頻繁に訪れる、アベハルコ(Abejaruco)という、ハチクイ科の鳥が見える仕掛けになっています。

 

マリセル(Maricel)

カタルーニャ地方の土着品種、マルヴァジア・デ・シッチェス(Malvasia de Sitges)100%のフレッシュさと余韻の長さを兼ね備えた白ワイン。熱帯のフルーツや桃、フェンネルやローズマリーなどのハーブのニュアンスがあります。口当たりはボリュームたっぷりで、酸味のバランスが余韻をもたらします。

醸造者は15世紀からの歴史があるボデガス・トレ・デル・ベゲール(Torre del Veguer)です。畑のある土地はかつて海だった場所で、畑の土からは貝殻の化石が出てくるなどすることから、エチケットには貝殻のモチーフが描かれています。4

 

ムア・ムア ブランコ/ティント(Mua Mua Blanco/Tinto)

スペイン語でキスをする時の「チュッチュッ」という擬音が名付けられたこのワインはラベルにかわいらしいウサギが描かれています。これは、ぶどう畑に野ウサギの姿が頻繁に見られたから、なのだそうです。また、ウサギのジャンプ力の強さは飛躍や向上の意味があり、繁殖力の強さは子孫繁栄の意味があり、キリスト教国ではイースターの象徴としても親しまれています。

醸造者はバスク州(País Vasco)アラバ(Arabako Probintzia)のワイナリー、コセチェロス・イ・クリアドーレス(Cosecheros y Criadores)。1951年創立で、伝統と革新を融合させたモダンなスペインワインを生み出しているワイナリーです。

 

まとめ

ぶどう畑で活躍している動物とぶどう畑で注意が必要な動植物、そして、動植物がフィーチャーされているスペインワインについて、解説しました。もしかしたらいつものお気に入りのワインも、動物たちと深い関わりを持ったぶどうからできているのかもしれない、と想像してみると、面白いですね。また、動植物がエチケットに描かれたワインは贈り物にもぴったりです。動物や植物が好きな大切な方に、プレゼントしてみてはいかがでしょうか?

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