温暖化や異常気象が進む近年、地球に優しい働きであるサティスナブル(持続可能性)な社会の実現に注目が集まり、個人でもできることからヴィーガン、ベジタリアンといった菜食主義へと移行する人も増えてきています。
そこで今回は、ぶどう栽培からワイン醸造までサティスナブルにこだわり、ヴィーガンワインを造っているスペインのワイナリー「Bodegas Esteban Martín(ボデガス・エステバン・マルティン)」についてご紹介します。ぜひ最後までご覧くださいね。
そもそもヴィーガンって何?
まずは最近になってよく耳にするヴィーガンとベジタリアン。その違いをご存じでしょうか?
英国のヴィーガン協会によると「人間は、自身の目的のために動物を利用する権利はない。動物からの搾取なしで生きるべき」であるというヴィーガニズム(英:veganism)主義に基づいて、食生活から衣類に至るまであらゆる面で可能な限り、動物性製品を口にしない/使用しない生活に勤めている人のことであること。とあります。
一方、ベジタリアンも肉や魚を食べない菜食主義者であることには変わりませんが、卵や牛乳、ハチミツといった動物による副生成物は日常的に口にします。
つまり、ヴィーガンとは、動物性由来の食品を一切口にしない完全菜食者ですが、食のみならず毛皮やレザー、羽毛といった動物由来の素材を使った衣服を身につけない徹底したライフスタイルを持った人々のことを言い、ベジタリアンとは、ヴィーガンほどの徹底した完全菜食主義ではないですが、野菜を中心とした食生活である人々のことを言います。
Bodegas Esteban Martínーボデガス・エステバン・マルティンー
【ワイナリー情報】
ワイナリー名 |
Bodegas Esteban Martín(ボデガス・エステバン・マルティン) |
設立者 |
Miguel Antonio Esteban(ミゲル・アントニオ・エステバン) Asunción Martin(アスンシオン・マーティン) |
設立 |
2003年 |
地域 |
アラゴン州 D.O.Cariñena(D.O.カリニェーナ) |
生産国 |
スペイン |
ぶどう畑面積 |
約400ヘクタール |
栽培ぶどう品種 |
テンプラニージョ、ガルナチャ、メルロー、シラー、シャルドネ等 |
認証・規格 |
全てのワインがヴィーガン認定 |
Bodegas Esteban Martín(ボデガス・エステバン・マルティン)は、Esteban Martín(エステバン・マルティン) 家によって2003年に設立された家族経営のワイナリーです。
元々は、アラゴン州カリニェーナに150ヘクタールの土地を購入し、1964年にVirgen del Rosario Farm(ビルゲン・デル・ロサリオ・ファーム)である農業を設立したことがBodegas Esteban Martín(ボデガス・エステバン・マルティン)のはじまりです。現在では、約400ヘクタールにも及ぶ広大なぶどう畑にまで範囲を広げ、樹齢40年から80年のガルナチャのほか、テンプラニージョ、メルロー、シラー、シャルドネ等が栽培されています。Esteban Martín(エステバン・マルティン)家の3世代が日常業務に関わっており、最新の設備と技術を取り入れつつ、伝統、ノウハウを大切にしています。生産量の90%に及ぶ(約3,500,00本)を35カ国以上へ輸入する国際的なワイナリーへと成長しました。
カリニェーナは、いくつかの大きな協同組合があり、量産ワインが多い地域であることで知られていますが、本ワイナリーでは、シャトースタイルをコンセプトに個性のある丁寧なワイン造りが行われています。ぶどうの収穫後はすぐに畑の中心にある醸造所に運び込み、鮮度を損なわない工夫をすることにより新鮮で香り豊かなワインを生産しています。
サティスナブルへの取り組み
Bodegas Esteban Martín(ボデガス・エステバン・マルティン)では、「品質、持続可能性、家族」の三つの柱を哲学に成長を続けてきました。ワイナリーにとって自然と環境を尊重し、持続可能性の取り組みを行うことを基本とし、環境への影響を減らしたサティスナブルなぶどう栽培と醸造の取り組みに力を入れています。
ヴィーガンへの取り組み
Bodegas Esteban Martín(ボデガス・エステバン・マルティン)のぶどう畑の30%は有機栽培に専念しており、彼らのワインは全てヴィーガン認定を受けています。
2001年からは防虫対策としてフェロモンの使用を先駆け、現在はオゾンスプレーを使用するなどといった環境への影響を軽減することに成功しています。さらに、通常ワインの醸造過程では、ワインを清澄化するために動物由来の製品が使用されますが、彼らのワイナリーではミネラルや植物性の清澄剤を使用しています。
Bodegas Esteban Martín(ボデガス・エステバン・マルティン)こだわりのヴィーガンワインをご紹介
Bodegas Esteban Martín(ボデガス・エステバン・マルティン)のぶどう畑は、カリニェーナ保護原産地呼称 (PDO) 地域の一部であり、サラゴサ県のイベリア山脈のふもとに位置します。降水量の少ない乾燥地帯であり、冬は寒く夏は非常に暑い寒暖差の激しい地域です。さらに冬には、ピレネー方面からアラゴンに向けて吹く「シエルソ」と呼ばれる冷たく乾燥した北風の影響によってぶどうの樹を健康に保ちます。
Bodegas Esteban Martín(ボデガス・エステバン・マルティン)では、このような厳しい気候で育つよく熟したぶどうを使用することによって、風味豊かでコストパフォーマンスの高いヴィーガンワインを造ることができます。
Esteban Martín Blanco ―エステバン・マルティン ブランコ―
Esteban Martín Blanco (エステバン・マルティン ブランコ)は、シャルドネ70%、マカベオ30%をブレンドしたフレッシュでアロマティックな白ワインです。
透き通ったレモンイエローの色調で、口に含むと、爽やかな柑橘系の香りが広がります。非常に芳香豊かで、りんごやパイナップル、マンゴーといったトロピカルフルーツといった果実味が見事にワインに溶け込み、フレッシュ&フルーティーで、アロマティック。全体的に非常にバランスが取れたエレガントなワインに仕上がっています。ドライで軽やかなワインですので、シーフード料理との相性が抜群です。
Esteban Martín Rosado ― エステバン・マルティン ロサード ―
見た目も可愛らしいサーモンピンクのEsteban Martín Rosado(エステバン・マルティン ロサード)は、ガルナチャ100%のチャーミングな辛口ロゼワインです。
ストロベリー、ラズベリー、ローズの華やかな香りに、キャンディーのようなほんのりと甘いアロマも感じられます。口当たりは軽やかで、アニスや中国茶葉のようなほろ苦いニュアンスがアクセントになっています。キリッと爽やかな味わいにほどよい酸味、コクがあり、スッキリと飲みやすいワインになっています。
Esteban Martín Joven ― エステバン・マルティン ホーベン ―
Esteban Martín Joven( エステバン・マルティン ホーベン)は、樹齢は20〜40年程度のガルナチャ 85%、シラー 15%をブレンドした力強くも、ホーベンの名に相応しいフルーティで若々しく、飲みやすい赤ワインに仕上がっています。
チェリーレッドの色調に、チェリーやラズベリーといった赤系果実のアロマに、ジャムやキャンディーといった甘みが加わります。さらに、フレッシュでありながらもほんのりスパイシーなニュアンスや程よいタンニンも感じられます。
まとめ
Bodegas Esteban Martín(ボデガス・エステバン・マルティン)のワイナリー設立は、Esteban Martín(エステバン・マルティン)家にとって夢の集大成でした。ワイナリーを設立してからは、素晴らしいチームと共に環境に配慮したサティスナブルなワイン造りへ情熱を注ぎ、ワイナリーにある全てのワインがヴィーガン認定されました。
Bodegas Esteban Martín(ボデガス・エステバン・マルティン)のワインは、その味も他に劣ることなく、数多くの賞を受賞するハイクオリティでコストパフォーマンスの良いワインとなっています。一人一人の影響力は小さいですが、小さな意識がサティスナブルな環境を取り戻す一歩となります。ワイン選びに迷ったらぜひ一度、こうした地球に優しいワインを選んでくださいね。