ワインの新しい魅力を引き出す・ワインを使ったカクテル特集 ワインの新しい魅力を引き出す・ワインを使ったカクテル特集

ワインの新しい魅力を引き出す・ワインを使ったカクテル特集

人々は昔からワインをいろいろな飲み物などと組み合わされ、さまざまな工夫をしながら楽しんできました。今回はワインを使ったカクテルを、家庭でも簡単に作れるものから厳選して紹介していきます。

赤ワインベースのカクテル

サングリア

スコルニワイン カクテル

サングリア(sangria)はスペインやポルトガルで飲まれ、赤ワインにフルーツを入れて作るカクテルで、語源は血、を意味するサングレ(sangre)です。

ワインは古代ローマの時代から何世紀にもわたって他の飲み物やスパイスなどと混ぜられてきたと言われ、サングリアの起源についてはさまざまな説があります。

1つの説では、1800年代にスペインとポルトガルの農民が桃やりんご、柑橘類とワインを混ぜて作ったのが始まり、と言われています。

また、別の説は1700年代にまで遡り、禁酒法のあった西インド諸島のアンティル(Antillas)にイギリスの船員がラムを蜂蜜やスパイス、果物やワインを混ぜてごまかして持ち込んだのがサングリアの始まりだとしています。

一般的には赤ワインで作られるサングリアですが、白ワインで作ることもあり、その場合はサングリア・ブランカ(Sangría blanca)と呼ばれます。サングリア・ブランカはソ―ヴィニヨン・ブラン(Sauvignon blanc)で作るのが一般的です。また、カタルーニャ地方にはワインの代わりにカヴァで作るサングリア・デ・カヴァ(Sangria de Cava)というバリエーションがあります。

【材料】

  • 赤ワイン・・・750ml
  • ファンタオレンジやファンタレモン、または生オレンジジュース・・・500ml
  • コアントローもしくはトリプル・セコ・・・少々
  • 砂糖・・・大さじ4くらい
  • シナモンスティック・・・1本
  • 氷・・・適量
  • 果物(桃、りんご、オレンジ、バナナなどお好みで)

【作り方】

  1. オレンジやレモン(無農薬が望ましい)は良く洗い、皮付きで8等分のくし切り。桃やりんご、バナナなどはサイコロ状に切ります。
  1. 大きなタライなどに赤ワインと果物を入れます。
  1. 砂糖を少量のお湯(分量外)で溶かして2に加えます。
  1. 3をかき混ぜ、ブランデーやリキュールを加え、シナモンスティックも入れます。
  1. ファンタまたはジュースを4に加えます。
  1. 2時間ほど寝かして出来上がり。氷を入れて飲みます。

カリモーチョ

スコルニワイン カクテル

スペインではバスク地方を中心に飲まれているカクテルで、サングリアと肩を並べる人気です。赤ワインをコーラで大胆に割るカクテルで、冷たく冷やすと暑い夏にはぴったりです。

発祥地にはメキシコ、バスク地方など諸説あります。メキシコが発祥地だとする説では、スペインの植民地だった19世紀ごろにはスペインワインが流入し、隣国アメリカからはコーラもすでに入ってきていたので、その時代にカリモーチョが誕生した、と言われています。

名前の由来については、スペインで飲まれるようになったこのカクテルの原型を考案したバスク地方の「Kalimero」と「Motxo」という2人のウェイターの名前を組み合わせ、「Kalimotxo」と呼ばれるようになったという説があります。

カリモーチョには「貧乏人のキューバ・リブレ」という不名誉な別名があります。そして、コーラとラムで作られるキューバ・リブレがカクテルとして公式に認められているのに対し、カリモーチョは認められていないのです。しかし、カリモーチョは安価なワインを爽やかに簡単に美味しく変えてくれる、非常に便利な飲み方なのです。

【材料:1人前】

赤ワイン・・・50ml

コーラ・・・50ml

氷・・・適量

【作り方】

グラスに氷を入れ、赤ワイン、コーラを注いで軽く混ぜて出来上がり。

ティント・デ・ベラーノ

スコルニワイン カクテル

ティント・デ・ベラーノ(Tinto de Verano)は夏の赤ワインという意味です。アンダルシア地方を中心としたスペインで人気のカクテルです。カリモーチョ同様作り方が簡単で、少し手間のかかるサングリアはどちらかと言えば観光客向けで、カリモーチョやティント・デ・ベラーノはローカル向けのカクテルだと言われています。

発祥は1920年ごろ、コルドバ(Córdoba)のアントニオ・ベルガス(Antonio Vargas) の店でソーダでハウスワインを割って夏の熱い午後に売り出したのが始まりだと言われています。このカクテルは人気となり、バルガスの店はアンダルシアの歌と踊り好きで賑わうようになったのだとか。ティント・デ・ベラーノは1960年代にはスペイン全土で大流行となり、ボトル入りの飲料として売り出されるようになりました。

ティント・デ・ベラーノに使うワインはスペインワインのテンプラニーリョ(Tempranillo)、もしくは他のミディアムボディのワインが最も合うとされています。レモンソーダやオレンジソーダで作ったり、赤ワインではなく、ロゼワインで作ったりするバリエーションもあります。

【材料:1人分】

  • 赤ワイン・・・50ml
  • 炭酸水・・・50ml
  • 氷・・・お好みで
  • レモン果汁・・・お好みで
  • レモンスライス・・・1枚

【作り方】

グラスに氷を入れ、赤ワインと炭酸水を入れ、お好みでレモンを絞って軽く混ぜ、レモンスライスを飾ったら出来上がり。

白ワインベースのカクテル

キール

キール(Kir)はフランスのブルゴーニュ地方(Bourgogne)のディジョン市(Dijon)の市長だったフェリックス・キール(Felix Kir)が考案したとされ、名称の由来にもなっています。しかし、19世紀半ばにはすでに起源となるカクテルがあったとも言われています。

フェリックス・キールは地元の産物を宣伝するためにキールを広めました。第二次世界大戦後に売れ行きが伸び悩んでいたブルゴーニュ地方のワインを普及させる目的で、同じくこの地方特産のクレーム・ド・カシス (Crème de Cassis)と組み合わせ、カクテルにして地元の産物を宣伝したのです。フランスの一地方の振興のために広められたキールは、今や世界中で人気のカクテルとなっている、というわけなのです。

キールは氷を使わないので、ワインとクレーム・ド・カシスの両方をよく冷やして作るのがポイントです。

【材料:1人分】

辛口白ワイン(アリゴテ種が好ましい)・・・60ml

クレーム・ド・カシス・・・10ml

【作り方】

冷やした材料をワイングラスに注いで軽く混ぜたら出来上がり。

スプリッツァー

スコルニワイン カクテル

白ワインベースのカクテルの定番、スプリッツァー(Spritzer)はモーツァルト(Mozart)の出身地、オーストリアのザルツブルグ(Salzburg)で誕生しました。毎年8月に開かれる、モーツァルト音楽祭で提供されるカクテルでもあります。

ドイツ語で「弾ける)」を意味する「シュプリッツェン(Spritze)」が語源で、弾ける炭酸が爽やかで飲みやすいカクテルです。レモンやライムを添えたり、浮かべたりして飲むのが一般的。白ワインの代わりに赤ワインで作ると、スプリッツァー・ルージュ(Spritzer Rouge)、炭酸水の代わりにビールで割ると、ビア・スプリッツァー(Beer Spritzer)となります。

【材料】

白ワインと炭酸水・・・1:1(お好みに合わせて比率を変えてもOK)

氷・・・適量

レモンやライムの薄切り・・・お好みで

【作り方】

  1. グラスに氷を入れます。
  2. グラスに白ワインを注ぎ、冷やした炭酸水を入れます
  3. 軽く混ぜ、お好みでレモンやライムを加え、出来上がり。

ロゼワインベースのカクテル

ロゼ・パンプルムース

 

ロゼ・パンプルムース( Rosé Pamplemousse)のパンプルムースはフランス語でグレープフルーツのことです。サングリア同様、ロゼ・パンプルムースは古くから飲まれ、起源に関してははっきりしたことがわかりません。南東フランスでは昔から家庭で飲まれていたようです。フランス西部のマイエンヌ(Mayenne)では「リトル・イエス(le Petit Jésus)」と呼ばれ、親しまれてきました。

グレープフルーツを生搾りした果汁を使うとよりフルーティになります。その場合、グレープフルーツは少し甘めのピンクグレープフルーツを使うとより飲みやすくなるでしょう。また、ロゼワインをロゼスパークリングにするとより高級感のあるカクテルになります。

ロゼワインとグレープフルーツジュースの割合は1対1くらいでも構いません。

【材料】

ロゼワイン・・・750ml

グレープフルーツジュース・・・30ml

グレナデンシロップ・・・5ml

氷・・・適量

グレープフルーツ(飾り)・・・お好みで

【作り方】

氷以外の材料を混ぜ合わせ、お好みで甘味を調節したら出来上がり。氷の入ったグラスに注いでお好みでグレープフルーツを飾ってください。

シェリー酒ベースのカクテル

レブヒート

レブヒート(Rebujito)はアンダルシア地方の方言で、「混ぜたもの」を意味します。シェリー酒(Sherry)で作るカクテルでセビージャ(Sevilla)を中心に飲まれている飲み物です。

19世紀後半にアメリカで流行したシェリー・コブラー(Sherry Cobbler)が起源だとする説がありますが、グラナダ(Granada)の薬剤師が、状態の良くなかったシェリーをセブンアップで割ってみたのが始まりだ、とする説もあります。

スペインではセビージャの春祭り( Feria de abril de Sevilla)や、アンダルシア地方のロシオの巡礼祭(Romería de El Rocío)などでは名物的な飲み物で、祭りの期間中には大量に消費されるそうです。

【材料:1人分】

  • フィノ( Fino)やマンサニージャ(Manzanilla)などの辛口のシェリー酒・・・25ml
  • セブンアップなどの炭酸飲料・・・50ml
  • 氷・・・適量
  • ライムもしくはミント・・・お好みで

【作り方】

  1. グラスに氷を入れます。
  2. シェリー酒と炭酸飲料を注ぎ、軽く混ぜ、お好みでライムやミントを添えて出来上がり。

スパークリングワインベースのカクテル

ミモザ

スコルニワイン カクテル

ミモザ(Mimoza)はそのオレンジ色の色合いが花のミモザのようだとされ名付けられたスパークリングワインベースのカクテルです。

ミモザの起源にも諸説あります。1つは、ロンドンのクラブで考案されたスパークリングワインとオレンジジュースで作られたバックズ・フィズ(Buck’s Fizz)が起源だとする説です。

2つ目は、1925年にパリのリッツ・ホテル(The Ritz)でスパークリングワインとオレンジジュースを同量ずつ使ったカクテルが考案された、とする説です。

3つ目は、映画監督のアルフレッド・ヒッチコック(Alfred Hitchcock)がサンフランシスコでミモザを発明した、とする説です。

オレンジジュースの爽やかな香りが広がり、どこかラグジュアリーな気分にさせてくれるミモザは、食前酒やウェルカムドリンクにぴったりです。

【材料:1人分】

  • スパークリングワイン・・・60ml
  • オレンジジュース・・・60ml
  • オレンジスライス・・・お好みで

【作り方】

  1. グラスの半分までよく冷やしたオレンジジュースを注ぎます。
  2. スパークリングワインを1に注ぎます。
  3. 軽く混ぜ、お好みでオレンジを飾れば出来上がり。

まとめ

ワインを使ったカクテルを厳選して紹介しました。

ご自宅に飲み残しのスペインワインなどがあったら、ぜひこの記事を参考にカクテルにしてみてください。飲み慣れてしまったワインでも、新たな魅力を発見できるかもしれません。

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