インターナショナルシェリーウィークに向けて、世界三大酒精強化ワインの1つシェリー酒の種類と熟成法の違いについて徹底解説! インターナショナルシェリーウィークに向けて、世界三大酒精強化ワインの1つシェリー酒の種類と熟成法の違いについて徹底解説!

インターナショナルシェリーウィークに向けて、世界三大酒精強化ワインの1つシェリー酒の種類と熟成法の違いについて徹底解説!

もうすぐ、インターナショナルシェリーウィークがやってきます。シェリー酒はスペイン産の白ワインで、世界三大酒精強化ワインのひとつ。ただ、スペインワイン好きでも、シェリー酒はあまり飲んだことがない、という方も多いようです。しかし、シェリー酒は楽しみ方の幅が広く、非常に親しみやすいワインです。ぜひ、インターナショナルシェリーウィークをきっかけに、たくさんの方に飲んでいただきたいのです。

今回はシェリー酒についてその発祥や種類と味わいと熟成方法や期間の違いについて解説するとともにおすすめのシェリー酒を紹介します。

 

シェリー酒の発祥

スペイン産の酒精強化ワイン、シェリー酒(Sherry)はアンダルシア(Andalucía)州カディス(Cádiz)県の、へレス・デ・ラ・フロンテーラ(Jerezde la Frontera、以下へレス)近隣で造られます。なかでも、ヘレスとサンルーカル・デ・バラメーダ(Sanlúcar de Barrameda)、エル・プエルト・デ・サンタ・マリア(El Puerto de Santa María)の一帯で熟成されたものだけがシェリーと名乗ることができます。

へレスのぶどう栽培とワイン醸造は紀元前1100年過ぎごろにはすでに始まっていた、と考えられています。古代ローマ時代にはヘレス産ワインが防腐処理を施され、はるかかなたのローマにまで輸送されていたようです。

へレスはイスラム教徒によって支配されていた時代、イスラム教徒には「シェリシュ(Sherish)」と呼ばれていました。そして、ヘレス産のワインがイギリスに渡った際、シェリシュは「Sherry(シェリー)」と発音されるようになり、そのまま、シェリー=ヘレス産ワインの名称、として定着したのです。

大航海時代、マゼラン(Ferdinand Magellan)は、保存性の高いワインとして航海の前にシェリー酒を買い込んで船に乗りました。そのため、シェリー酒は世界で初めて地球を一周したワインとして有名なのです。

新大陸が発見された16世紀以降、シェリー酒はイギリス宮廷で大流行となります。そのきっかけは皮肉にも、海賊による略奪でした。スペイン領に向かう船の積荷などが掠奪され、ロンドンで売られたのです。ウェールズ人(Welsh people)航海者フランシス・ドレイク卿(Sir Francis Drake)の船隊は1587年にカディスを襲い、シェリー酒を含むワインを3000樽奪っていったとされます。

シェリー酒の世界での需要は19世紀にも増加し続けます。そして、1933年、原産地呼称統制委員会が誕生して以降、現在のシェリー酒は高品質なワインとして保たれているのです。

 

シェリー酒の種類と味わいと熟成方法や期間の違い

シェリー酒は使用するぶどう品種、味わい、醸造方法などによって分類されます。

大まかなタイプは以下の3つがあります。

 

ビノ・ヘネロソ(Vinos Generosos)

パノミロ種(Paromino)を使い、完全な辛口になるまで発酵させたシェリー酒。

 

ビノ・ドゥルセ・ナトゥラル(Vinos Dulces Naturales)

モスカテル種(Moscatel)とペドロ・ヒメネス種(Pedro Ximénez)を使い、発酵を途中で止めることにより極甘口にしたシェリー酒。

 

ビノ・ヘネロソ・デ・リコール(Vinos Generosos de Licor)

ビノ・ヘネロソとビノ・ドゥルセ・ナトゥラルをブレンドして造るさまざまな段階の甘さのシェリー酒。

 

 

ビノ・ヘネロソ(辛口シェリー酒)の種類

ビノ・ヘネロソは以下の5種類の辛口タイプに分類されます。

 

l  フィノ(Fino)

l  マンサニージャ(Manzanilla)

l  アモンティリャード(Amontillado)

l  オロロソ(Oloroso)

l  パロ・コルタド(Palo Cortado)

 

5種類それぞれについて詳しく説明していきましょう。

 

フィノ

繊細で軽い口当たりの辛口。食前酒に最適です。アルコール度数は15〜18%、熟成期間は3〜4年から5〜6年。

 

マンサニージャ(マンサニーリャ)

シェリー酒の中でも最も口当たりが軽くドライ。シャープでほんのりと感じる潮の香りが特徴。

アルコール度数は15〜19%、熟成期間は3〜10年。

 

アモンティリャード

ヘーゼルナッツのような奥深い味わいが特徴。シャープで香ばしい辛口。色合いは琥珀色でフィノとオロロソの中間とされます。アルコール度数は16〜22%、熟成期間は7年以上。

 

オロロソ

香り豊かで、ナッツのような香ばしく華やかなアロマがあります。まろやかさでしっかりとしたコクの辛口。色合いが濃く、ブランデーやコーヒーのような深い赤茶色です。アルコール度数は17〜22%、熟成期間は3〜10年。

 

パロ・コルタド

アモンティリャードのシャープさとオロロソのコクのある味わいを持つバランスの良いシェリー酒。柑橘のような繊細な香りと乳製品のようなコクを感じるシャープな辛口。アルコール度数は17〜22%、熟成期間は3〜10年。

 

 

ビノ・ドゥルセ・ナトゥラル(極甘口シェリー酒)の種類

ビノ・ドゥルセ・ナトゥラルは以下の2種類に分類されます。

 

ペドロ・ヒメネス

ペドロ・ヒメネス種を天日干しにして干しぶどうにして造る凝縮感のある甘口シェリー。ビロードのような口当たり。色合いはエスプレッソのようなマホガニー色。アルコール度数は15〜22%。

 

モスカテル

モスカテル種を天日干しにして干しぶどうにして造る甘口シェリーでフレッシュさと軽さもあります。ペドロ・ヒメネスよりも色合いが淡いマホガニー色。アルコール度数は15〜22%。

 

ビノ・ヘネロソ・デ・リコール(甘口シェリー)の種類

ビノ・ヘネロソ・デ・リコールはブレンドの割合によりおよそ以下の5種類に分類されます。

 

ドライ(Dry)

残糖量5〜45g /L。アルコール度数は15〜22%。

 

ペール・クリーム(Pale cream)

残糖量45〜115g /L。アルコール度数は15.5〜22%。

 

ミディアム(Medium)

残糖量5〜115g /L。アルコール度数は15〜22%。

 

クリーム(Cream)

残糖量115〜140g /L。アルコール度数は15.5〜22%。

 

ドゥルセ(Dulce)

残糖量160g以上 /L。アルコール度数は15〜22%。

 

他の酒精強化ワインと比べて香りや味わいはどう違うの?

シェリー酒は醸造途中でアルコールを加えることにより、通常のワインよりアルコール度数が高く、長期保存が可能な酒精強化ワインです。酒精強化ワインはシェリー酒の他にもポルトガルのマデイラワイン(Vinho da Madeira)、ポートワイン(Port Wine)などがあります。

シェリー酒の他の酒精強化ワインとの大きな違いにソレラ・システム(Sistema de Criadera y Solera)による熟成が挙げられます。ソレラ・システムでは下から上へ古い樽から新しい樽になるように順に積み上げ、出荷するたびに新しい樽から古い樽へと中身を注ぎ足し、味わいを継承し、均一に保ちます。また、長い熟成期間による複雑でコクのある味わいが特徴で、食前酒だけでなく、食後酒、そして食中酒としてさまざまな食材や料理と合わせて楽しむことができるのです。

 

おすすめのシェリー酒

おすすめのシェリー酒を厳選して2種類紹介します。

 

1822 アモンティリャード(1822 Amontillado)

アーモンドやヘーゼルナッツのようなアロマが楽しめるシャープで香ばしい辛口のシェリー酒です。ほんのりとしたトリュフ香も感じられます。口当たりはなめらか。色合いはトパーズのような色調。合わせる料理はジビエのローストやフォアグラ、牛肉のグリルなどがおすすめです。

 

モスカテル アルグエソ(Moscatel Argüeso)

モスカテル種の特徴である芳醇で高貴なアロマが楽しめる極甘口のシェリー酒です。 干したアプリコットやレーズンのような凝縮感のある甘い香りに、ハーブのようにフレッシュなニュアンスもあります。色合いはキラキラした琥珀色。合わせる料理はドライフルーツや洋梨のタルト、ライチシャーベット、セミハードタイプのチーズなどがおすすめです。

 

まとめ

スペインワインは好きだけれどまだシェリー酒はあまり飲んだことはない、という方はぜひこの機会にトライしてみてください。きっとその魅力の虜になることでしょう。

 

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