一時的なブームに終わらず人気を保ち続けている「オレンジワイン」。少し前までは、こだわりのあるワインショップにしか並んでいない印象でしたが、最近ではスーパーでも購入できるようになりました。
ブドウが原料の「オレンジワイン」は「白ブドウ」を原料に、果皮や種を果汁に漬け込む「赤ワイン」の製法で醸造したワインのこと…というのは、ワインがお好きな方なら既にご存知ですよね。
今回は、カタルーニャ州・ペネデス(Penedès)で造られる、年間生産量わずか600本という、超希少な自然派のオレンジワイン、ヘヌイ・マカベウ・ビニャ・レス・ぺドレス(Genuí Macabeu Vinya les Pedres)をご紹介します。
自然派のオレンジワイン
世界的に人気のある「オレンジワイン」。その人気の理由はオレンジワインが持つ「ナチュラルなワイン」というイメージではないでしょうか。
オレンジワインを造っている生産者は自然派であることが多いのですが、オレンジワインは数ある醸造方法の中の1種で、必ずしも「オレンジワイン」=「ナチュール(自然派)」というわけではありません。
というのも、ブドウの果皮や種にはタンニンという渋み成分が含まれており、果皮や種を果汁に漬け込む製法で造るオレンジワインには、白ワインよりも多くタンニンが含まれます。タンニンには酸化を抑制する効果があるので、白ワインよりもタンニンを多く含むオレンジワインは、酸化防止剤の使用量を抑えることができます。
少ない酸化防止剤の量、もしくは添加しなくても品質が安定するというのなら、オレンジワインの造り手に自然派の生産者が多いのも納得できますね。
クヴェヴリでの発酵・熟成の効果
オレンジワイン発祥の地、ジョージアでは8000年以上前からワインが造られており、伝統的に「クヴェヴリ」と呼ばれる卵形をした粘土の素焼きの甕で発酵、熟成が行われていました。
しかし、現在 世界中で生産されているオレンジワインの全てが「クヴェヴリ」や「アンフォラ」で造られているわけではなく、ステンレスタンクや木製の樽、プラスチックの発酵槽など、様々な容器が用いられています。その中でも、オレンジワインを造る生産者の中には、こだわりを持って「クヴェヴリ」や「アンフォラ」を用いる生産者が居ます。
「クヴェヴリ」は地中に埋めて使うため、卵のような形状で先端が尖った変わった形状をしており、大きさも様々です。
容量が大きくなればなるほど発酵時の温度が高くなり、この温度変化と形状によってツボの中で対流が生まれ、オリや酵母と液体が混ざり、より複雑で豊かな風味を生み出します。
「クヴェヴリ」に似た形状のものに「アンフォラ」があり、こちらは本来、取手のついた運搬用の容器を指し、(醸造用に使用される「アンフォラ」には取手はありません)現在も多くの醸造家がワイン造りに使用しています。
Genuí Macabeu Vinya les Pedres
【商品情報】
商品名 |
ヘヌイ・マカベウ・ビニャ・レス・ぺドレス(Genuí Macabeu Vinya les Pedres) |
生産者 |
カン・ジェオ・デ・ビラノべタ(Can Lleó de Vilanoveta) |
地域 |
カタルーニャ州 D.O.ペネデス(D.O. Penedès) |
ビンテージ |
2022 |
生産国 |
スペイン |
ブドウ品種 |
マカベオ(Macabeo)100% |
認証・規格 |
ユーロリーフ、EU有機認証有 |
おすすめ料理 |
シーフードマリネ、ラタトゥイユ、からすみ、生春巻き、 |
発酵容器 |
ステンレススティールタンク |
発酵期間 |
30日間 |
発酵温度 |
16℃ |
製法 |
熟成容器/期間 アンフォラ(75%)、ステンレススティールタンク(25%)熟成2ヶ月 |
度数 |
11.5% |
テイスト |
辛口(オレンジ) |
飲み頃の温度 |
6∼10℃ |
容量 |
750ml |
ヘヌイ・マカベウ・ビニャ・レス・ぺドレス(Genuí Macabeu Vinya les Pedres)について
ヘヌイ・マカベウ・ビニャ・レス・ぺドレス(Genuí Macabeu Vinya les Pedres)は、ペネデス(Pedres)の標高200mの位置にある単一畑から収穫された白ブドウ、マカベオ(Macabeo)種から造られます。
全て手作業で収穫されたブドウから造られ、ブドウは除梗後に破砕され丸ごと1ヶ月間漬け込み、15~16℃の温度管理の下自然発生的にアルコール発酵が行われます。
ボトルの75%は粘土製のアンフォラで2ヶ月熟成され、残りの25%はステンレスタンクで熟成されます。
ブドウが収穫される石灰質土壌の単一畑は、ブドウに豊かな酸味とミネラルを与え、Genuí=本物・純正を意味する言葉が由来の名前を持つ通り、一貫してナチュラルな製法、熟成にこだわりのあるワインです。
味わいの特徴
外観は明るい琥珀色で、グラスに鼻を近づけるとグレープフルーツなどの柑橘系の果物の香りに加え、リンゴやカリンのようなアロマを感じ取ることができます。
口に含むと、いきいきとした酸味と豊かな果実味で、透明感のあるすっきりとした味わいを楽しむことができます。
後味にはほのかなスパイシーさと、アニスやフェンネルを思わせるハーブの余韻を感じることができ、温度が上がるとハチミツのような甘やかなニュアンスも現れます。
すっきりと軽い飲み口で、後味のほのかな渋みが心地良く、どんなお料理にもマッチするオールマイティなオレンジワインです。
おすすめのペアリング
ヘヌイ・マカベウ・ビニャ・レス・ぺドレス(Genuí Macabeu Vinya les Pedres)は、爽やかな酸味と果実味、透明感のあるクセのない味わいなので、魚介や生野菜、和食やエスニック系のお料理に合わせていただくのがおすすめです。
柑橘系のドレッシングで味付けしたシーフードのマリネや、野菜のサラダ、ラタトゥイユなどは前菜にぴったりですし、イカとセロリの塩炒めなども、セロリの香りがワインとよく合うのでおすすめです。
白ワインにはない渋みを感じられるオレンジワインは、エスニック系のお料理とも相性が良く、香草が入った生春巻きやナンプラーを効かせた魚介のチャーハンなどもマッチするのでぜひお試しください。
白ワインの爽やかさと赤ワインの渋み、両方の要素を感じ取れるオレンジワインは、意外なほど色々なお料理と合うので、お好きなお料理と合わせて楽しんでみてくださいね。
カン・ジェオ・デ・ビラノべタ(Can Lleó de Vilanoveta)について
ペネデスの山脈の真ん中にある歴史あるワイナリー、カン・ジェオ・デ・ビラノべタ(Can Lleó de Vilanoveta)は、1751年に設立されたものの一度は閉鎖されることに。
ところが 2022年、オーナーであるアルベルト・ジェオ夫妻が有能なジョアン・アセンス (技術ディレクター) と出会ったことにより、ワイナリーを回復しオーガニックワインの生産を開始することを決心。
そして更に、彼らは才能ある女性醸造家アイナ・マリンと出会い、環境に最大限配慮したワイン造りに力を入れるようになりました。
カン・ジェオ・デ・ビラノべタ(Can Lleó de Vilanoveta)のワインは全て自社畑のブドウから造られ、醸造後はその場で瓶詰めされます。
この土地が持つワインの真髄を取り戻したいという願いと共に、古いカン・ジェオ(Can Lleó )のワイナリーで使われていた伝統的な手法と近代的な技術を融合させ丁寧に造られています。
まとめ
今回は、カン・ジェオ・デ・ビラノべタ(Can Lleó de Vilanovetaが手がける、年間生産本数わずか600本という、奇跡のオレンジワイン、ヘヌイ・マカベウ・ビニャ・レス・ぺドレス(Genuí Macabeu Vinya les Pedres)をご紹介しました。
ユネスコの無形文化遺産にも登録されている「クヴェヴリ製法」で造られている、超希少なナチュラル・オレンジワインをぜひ一度味わってみてください。
オレンジワインについて詳しく知りたい方はこちらの記事もぜひお読みください。
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