スペインで最も有名な芸術といえば「フラメンコ」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
フラメンコはスペイン南部、アンダルシア地方が発祥と言われており2010年にユネスコ無形文化遺産に登録されたことも話題になりましたよね。
フラメンコは、イスラム教徒である非定住型の民族によって継承・発展した伝統芸能と言われています。
アンダルシアは711年から約8世紀もの間イスラム教徒によって支配されていた歴史があり、18世紀頃のアンダルシアも様々な人種・宗教が入り混じった状況でした。
イスラム教徒である非定住型の民族はジプシーと呼ばれ、当時のスペイン政府と対立し、追放されてしまいます。
山岳部などでの厳しい環境での生活を余儀なくされた民族は、「嘆きや悲しみ、貧困による苦しみを」歌で表現し、これが現在のフラメンコの原型となったと言われています。
アンダルシアが誇るワイン、「シェリー(Sherry)」も語源は、アラブ人がシェリーの産地である、後の「ヘレス・デ・ラ・フロンテラ(Jerez de la Frontera)」を「シェリシュ(Sherish)」と呼び、シェリーの主な輸出先であったイギリスでそれが英語化し「シェリー(Sherry)」と呼ぶようになったことが由来です。
今回は、歴史深いアンダルシア地方、サンルーカル・デ・バラメダ(Sanlúcar de Barrameda)にある、マンサニージャ(Manzanilla)の名手、エレデロス・デ・アルグエソ (Herederos de Argüeso,S.A.)が手がけるシェリー、「ラス・メダージャス・マンサニージャ(Las medallas Manzanilla)」をご紹介します。
シェリー(Sherry)とは
シェリー(Sherry)が他のワインと違う点に「酒精強化ワイン」であるという点があります。酒精強化とは、ワインにブランデーや高アルコールの蒸留酒などを添加してアルコール度数を高め、保存性を良くし、味わいにコクや複雑味を持たせるという手法です。
このほかにもシェリーには他のワインには無い製法上の特徴がありますが、その中でも特徴的なのは、ワインの個性が「ブドウの生産地」に加え、「ワインの熟成地」による影響も大きいことでは無いでしょうか。
熟成地によってもたらされるテロワール
シェリーの生産地は、スペインの南部アンダルシア州・カディス県で、使われるブドウは全て白ブドウで、パロミノ(Palomino)、モスカテル(Moscatel)、ペドロ・ヒメネス(Pedro Ximenez)の主に3つの品種から造られます。
パロミノ(Palomino)が全体の95%を占め、造られるシェリーは辛口タイプとなり、モスカテル(Moscatel)、ペドロ・ヒメネス(Pedro Ximenez)から造られるシェリーは非常に少なく、ペドロ・ヒメネス(Pedro Ximenez)から造られるシェリーは甘口タイプとなります。
シェリーの熟成地はサンルーカル・デ・バラメダ(Sanlúcar de Barrameda)、ヘレス・デ・ラ・フロンテラ(Jerez de la Frontera)、エル・プエルト・デ・サンタマリア(El Puerto de Santa María)の3つの地域を中心に認められており、この3つの地域はヘレスの三角地帯、シェリー・トライアングルと呼ばれています。
※現在では3つの地域の他に、ブドウの生産地域も熟成地域として認可されています。
フィノとマンサニージャの違い
細かな違いを挙げると無数にありますが、ほぼ同じ工程で造られるフィノ(Fino)とマンサニージャ(Manzanilla)のふたつの違いは熟成地域です。
熟成期間の長いシェリーは、熟成場所の個性が色こく反映されるワインなのです。
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フィノ(Fino) |
マンサニージャ(Manzanilla) |
ブドウ品種 |
パロミノ(Palomino) |
パロミノ(Palomino) |
熟成地 |
・ヘレス・デ・ラ・フロンテラ(Jerez de la Frontera) |
・サンルーカル・デ・バラメダ(Sanlúcar de Barrameda) |
気候 |
ヘレス・デ・ラ・フロンテラ(Jerez de la Frontera)は非常に乾燥しており、エル・プエルト・デ・サンタマリア(El Puerto de Santa María)はヘレス・デ・ラ・フロンテラ(Jerez de la Frontera)とサンルーカル・デ・バラメダ(Sanlúcar de Barrameda)の湿度と乾燥を併せ持った気候である。 |
ヘレスの中心からやや西側にあるサンルーカル・デ・バラメダ(Sanlúcar de Barrameda)は湿度が高く、気温が低い。 |
味わいの特徴 |
無色に近い透明〜麦わら色の淡い色調で、酵母由来のパンのような香りを楽しめる。 |
淡い色調でアーモンドやカモミールのような香りがあり、フレッシュで軽やかな口当たり。後味に塩味を感じさせるものもある。 |
シェリーについて、ぜひこちらの記事もご覧ください。
◆合わせて読みたい記事
・スペイン発祥のシェリーとは?初心者も美味しいおすすめのシェリー酒をご紹介
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ラス・メダージャス・マンサニージャ
Las medallas Manzanilla
【商品情報】
商品名 |
ラス・メダージャス・マンサニージャ(Las medallas Manzanilla) |
生産者 |
エレデロス・デ・アルグエソ (Herederos de Argüeso,S.A.) |
認証 |
D.O.マンサニージャ・サンルーカル・デバラメダ(D.O.Manzanilla Sanlúcar de Barrameda) |
地域 |
アンダルシア州 |
ビンテージ |
NV |
生産国 |
スペイン |
ブドウ品種 |
パロミノ・フィノ(Palomino Fino) 100% |
おすすめ料理 |
海老のプランチャ、白魚のフリット、ベジタブルチップス など |
発酵容器 |
ステンレス・スティールタンク |
発酵期間 |
10日間 |
発酵温度 |
20℃〜22℃ |
度数 |
15% |
テイスト |
ドライ |
飲み頃の温度 |
5℃程度 |
容量 |
750ml |
味わいの特徴
グラスに注ぐと、透明感のある淡いイエローゴールドの色調。
熟したりんごや、ドライフルーツのような蜜の香りと、黒糖を思わせる香りが広がります。
口に含むと、爽やかな酸味の後にほのかな塩味、余韻に心地よい苦味と花のニュアンスを感じられる軽やかな味わいでナッティーな熟成香が後からやってきます。
クラシックで繊細なマンサニージャ(Manzanilla)は、すっきりとドライな味わいの中にほんのりと苦味が感じられるので、よく冷やして食前酒、食中酒としておすすめです。
おすすめのペアリング
ラス・メダージャス・マンサニージャ(Las medallas Manzanilla)は、軽やかで繊細な飲み口のシェリーなので、食前酒、食中酒におすすめです。
アンダルシアは大西洋と地中海に挟まれ、ふたつの水域が交わることから海産物の宝庫と言われており、シェリーと海の幸の相性は抜群です。
特に海老のプランチャ(Gambas a la plancha)とは好相性ですので、ぜひ合わせて召し上がってみてください。
ワインよりも少し高めのアルコール度数なので、シェリーをソーダで割って造るカクテル「レブヒート(Rebjito)」にしても、ビール感覚で飲むことができて、よりお食事を引き立ててくれますよ。
ボデガ・エレデロス・デ・アルグエソ(Herederos de Argüeso,S.A.)について
数々のコンクールで受賞歴のあるシェリー、ラス・メダージャス・マンサニージャ(Las medallas Manzanilla)を手がける、ボデガ・エレデロス・デ・アルグエソ(Herederos de Argüeso,S.A.)は、1822年にレオン・デ・アルグエソ・イ・アルグエソ(León de Argüeso y Argüeso)によって設立された歴史あるワイナリーです。
ワイナリーの自慢は何といっても創業以来約200年もの間、修理・修復を重ね使い続けている樽での熟成。
ワイナリー内にある樽工場にて専属の職人が、創業当時からの樽を管理し、1,890もの樽を現在も使い続けています。
「創立当初から維持してきた品質と伝統を守ること」を哲学に、新しい醸造技術やボトリング設備を導入しつつも、主原料であるブドウ、果汁の選別を行い、ソレラ・イ・クリアデーラシステムにてフロール (産膜酵母)の下で熟成をさせる手法は250年前と変わりません。
現在は、有名ワイナリーであるボデガス・ジュステ社のグループに入り、プロモーションし易い環境となったことで、更に世界中の方から愛されるシェリーブランドとなることが期待されています。
まとめ
今回は、サンルーカル・デ・バラメダ(Sanlúcar de Barrameda)にある歴史あるワイナリー、エレデロス・デ・アルグエソ (Herederos de Argüeso,S.A.)が手がけるシェリー、「ラス・メダージャス・マンサニージャ(Las medallas Manzanilla)」をご紹介しました。
マンサニージャの名手と言われる、歴史ある老舗ワイナリーの「マンサニージャ」をぜひ一度味わってみてください。