世界的にもコロナウイルスの影響を受けた著名人は、数知れず。日本でいうと「志村けんさん」は最も有名な芸能人の一人と言えるでしょう。
スペインでも多くのメディアに取り上げられ、スペイン国中から大変惜しまれた著名人の中に、今は亡きスペインワイン界のパイオニア「カルロス・ファルコ伯爵」がいました。
今回は、そんな彼が手掛ける最後のプロジェクトとなったCava「Marqués de Griñón La Vie en Rose Cava Organic Brut Rosé(マルケス・デ・グリニョン ラ・ヴィ・アン・ローズ カバ オーガニック ブルット・ロゼ)」をご紹介します。
日本語で「バラ色の人生」という意味を持つバラ色ロゼスパークリングの魅力を、まさに豪華絢爛な「バラ色の人生」だった彼の人生とともに見ていきましょう。
Carlos Falcó(カルロス・ファルコ)1937-2020について
カルロス・ファルコ氏は、スペインワインの最新技術や国際品種の先駆者として知られており、スペインワイン界を牽引し、オリーブオイルの品質向上に大きく貢献した人物です。
カルロス・ファルコ氏は、若かりし頃から世界最高峰のワインとオリーブオイルを造ることに情熱を注ぎ、自らの人生についても「ワインは生き方であり、情熱とルーツ」であると語っています。
常に進化を求め、止めることのない探究心を持っていたカルロス氏は、ルエダ、ドミニオ・デ・ヴァルデプーサ、リオハでワインを造り、次はバルセロナで「カヴァ」をと、80歳を過ぎて新たなプロジェクトを立ち上げた矢先にコロナウイルスを患い、2020年3月20日スペインマドリードの病院にて、この世を去ることになってしまいました。
スペインワイン界のパイオニア
1937年スペインのセビリア、パラシオ・デ・ラス・ドゥエーニャスで生まれたカルロス・ファルコ氏は、ベルギーのルーヴァン大学で農業工学の学位を取得した後、1963年から64年にカリフォルニアのデービス大学を卒業します。
カリフォルニアで学んだカルロス・ファルコ氏は、スペインにはまだなかった地中海スタイルの新しいぶどう栽培方法や最新ワイン製造技術を持ち帰ります。約10年に及ぶ研究ののち、家族の持つトレドにあるぶどう畑(ドミニオデヴァルデプサ)へスペイン最初となる「カベルネソーヴィニヨン」の樹を植えます。
この当時、
- 外国ぶどう品種を栽培すること
- 人工的にぶどう畑に放水するシステムである「点滴灌漑」
- ぶどうを仕立てる「トレリスシステム」
これらの方法は、古くからのワイン伝統を大切にするスペインにおいて、非正統な方法であるとされ、スペインのワイン法によって禁止されていたことでした。しかし、枠に囚われることのないカルロス・ファルコ氏は、ドリップ・イリゲーションやスマート・ダイソン・システムを利用したキャノピー・マネージメントなどの最新技術をいち早く導入していきました。
その結果、これまで以上に高品質なワインを造ることに成功。世界中の有名評論家が彼の造るワインに注目しました。また、1990年に入ると、スペイン初のシラーとプティヴェルドの栽培を始めます。10年後の2000年代には、これらのぶどうからできたワインは国際的なワイン大会の常連となり、スペインワイン業界においてカルロス・ファルコ氏の革新的なワインは、ますます話題となっていきます。
これらの功績が認められたカルロス氏はのちに、スペインワイン界のパイオニアとして世に名を馳せることとなります。
1999年には初版本「Entender de Vino(ed.MartínezRoca)」を出版。2012年には2冊目となる「Olevm –エクストラバージンオリーブオイルの文化に関する包括的な作品–」を出版し、フランクフルト国際ブックフェアで発表されるなど、文化的にも著名で影響力のある人物でした。
スペイン最高ランク「 Vino de Pago」 の初設立
カルロス・ファルコ氏は、スペイン全土の単一限定ぶどう園においても偉大な提案者であり、2017年からは名誉会長を勤めていました。
さらに、スペインワイン界のビジネスにおいてだけでなく、政治とも優れたつながりがあったカルロス・ファルコ氏は、ついにスペインワインの法律までをも動かしてしまいます。
カルロス・ファルコ氏は、スペインワインの最上位に値する単一限定ワインの格付けで、原産地呼称の一種である「 Vino de Pago(ヴィノ デ パゴ)」の新設に関わり、彼の持つワイナリー「Marques de Griñon(マルケス・デ・グリニョン)」は、スペイン初のVino de Pagoの称号を受賞します。
人生をポジティブに楽しむために造られたカヴァ「La Vie en Rose ラ・ヴィ・アン・ローズ」
【商品情報】
商品名 |
マルケス・デ・グリニョン ラ・ヴィ・アン・ローズ カバ オーガニック ブルット・ロゼ (Marqués de Griñón La Vie en Rose Cava Organic Brut Rosé) |
生産者 |
マルケス・デ・ラ・コンコルディア(マルケス・デ・グリニョン) Marques de la concordia (Marques de Griñon) |
設立 |
1882年 |
おすすめ料理 |
生ハム、タコとフルーツトマトのマリネ、海老のプランチャ、サーモンのレアグリル、鴨のローストフレッシュチーズ、チェリーパイなど |
生産国 |
スペイン |
地域 |
D.O.ドミニオ・デ・バルデプーサ(D.O. Dominio de Valdepusa) |
ぶどう品種 |
モナストレル 50% , ピノ・ノワール 50% |
発酵容器 |
ステンレス・スティールタンク |
熟成容器 |
瓶内二次発酵 20か月 |
発酵期間 |
10日間 |
度数 |
11.5% |
テイスト |
ドライ |
飲み頃の温度 |
6~8℃ |
容量 |
750ml |
今回ご紹介するのは、カルロス・ファルコ氏が経営するワイナリーMarques de Griñon(マルケス・デ・グリニョン)とMarques de la concordia(マルケス・デ・ラ・コンコルディア)の共同プロジェクトから生まれたカヴァ「Marqués de Griñón La Vie en Rose Cava Organic Brut Rosé(マルケス・デ・グリニョン ラ・ヴィ・アン・ローズ カバ オーガニック ブルット・ロゼ)」です。
口に含むと、熟成したモナストレル由来のパイ生地や上質なクリームの香り、細かな泡とともに柑橘系の爽やかな香りが口いっぱいに広がり、ピノノワールが持つ豊かな果実味としっかりとしたボディを感じられる、大変バランスの優れたカヴァに仕上がっています。
Marqués de Griñón La Vie en Rose Cava Organic Brut Rosé(マルケス・デ・グリニョン ラ・ヴィ・アン・ローズ カバ オーガニック ブルット・ロゼ)
ラ・ヴィ・アン・ローズ【La vie en Rose】は日本語で「バラ色の人生」という意味です。「バラ色の人生」それは、生産者であるグリニョン伯爵カルロス ・ファルコ氏のライフスタイルそのものでした。
このCavaでは 「人生をポジティブに、楽しく前向きに捉える」ことを提案。 飲む事により、人生を楽しみ、前向きな気持ちになれる、 彼の人生の在り方とライフスタイルへのオマージュとなっています。
夢半ばでこの世を去った、グリニョン伯爵5世カルロ・ファルコ氏(1937-2020)の為にも、彼が始めた遺産を引き継ぎ、モナストレル種を主体にした「カヴァ」のプロジェクトが続けられ、誕生したのがこの「ラ・ヴィ・アン・ローズ」です。
ラベルには、バルセロナの主要建築物とガウディのモザイクデザインをあしらい、生産地であるスペイン産スパークリングワイン・カヴァの発祥地であるバルセロナへのオマージュを兼ねたものとなっています。
味わいの特徴
輝きのあるローズピンクの色調。
フランボワーズやチェリーのような赤系果実のフレッシュなアロマに、バラの花を想わせるフローラルな香りの中にいちご、グレープフルーツなどほのかに甘いフルーツキャンディのような軽やかでポップなニュアンスが加わります。アフターには、熟したチェリーのアロマが鼻の中いっぱいに広がります。
煌めく泡がスーッと立ち昇り、優しいアタックにドライなテイスト。 華やかな余韻が広がるオーガニック認証のロゼカヴァです。
生産者について
カルロス・ファルコ・イ・フェルナンデス・デ・コルドバが創立したMarques de Grinon社は、70年代から国際的に高品質、独創的な手腕で認められたワインメーカーです。
カルロス・ファルコ氏は、マルケス・デ・グリニョンブランドを国内から世界の最高峰基準に押し上げる事に成功し、地中海式食事とスペイン文化の両方を重要な要素と捉え、「最高ではなく、至高を作り上げる事が私の使命」という理念と共に、彼の作り上げたワインとオリーブオイルは、今も世界のトップにランクインし続けています。
カタルーニャ地域のサン・サドゥルニは、海岸に近く気候に恵まれ、土壌はミネラル感が豊富にあるぶどう栽培に大変適した気候で、今やカヴァ(スパークリングワイン/瓶内二次発酵ワイン)の生産拠点としてワイナリーの数は16を超える最も有名な産地の一つとなっています。
そのような土壌、気候に目を付けたカルロス・ファルコ氏は地元のワイナリーに精通している醸造家アントニオ氏と土壌や気候だけでなく、葡萄本来のポテンシャルやバランスを考え、彼が得意としていた国際品種(ピノ・ノアール)をスペイン国内で更に上質なものに仕上げるために、土着品種であるモナストレルとかけ合わせる事を決めました。
カルロス・ファルコ氏はスペイン国内でも若者のワイン離れが多いことを問題視しており、そんな若い世代が手に取りやすいカヴァ造りを始めました。 彼の想い、彼の味わいは引き継がれ、我々にその味わいを届けてくれます。
まとめ
2020年COVID19によるカルロス・ファルコ氏の突然の死は、大きなニュースとして取り上げられ、スペインワイン業界の大物をはじめとした多くの方に大変惜しまれました。
そんな今は亡きマルケス・デ・グリニョンのオーナー「カルロス・ファルコ伯爵」が最後に目標としていたのが、カタルーニャ地域の土壌、気候、品種の味わいを綺麗に表現したカヴァを造ることでした。
今回ご紹介したカヴァは、カルロス・ファルコが醸造家アントニオ・オリベ氏と共に起ち上げた共同プロジェクトから生まれた最後の作品です。
ワインに全人生を捧げたカルロス・ファルコ氏の最期を飾る「バラ色の人生」。ぜひ、あなたもご賞味ください。