味わい深いオレンジワインとは? 味わい深いオレンジワインとは?

味わい深いオレンジワインとは?

近年、人気急上昇中のオレンジワインは、白ワイン、赤ワインの要素を兼ね備えつつ、そのどちらにもない魅力を持ったワインです。

今回は味わい深いオレンジワインについて、人気の理由や使われるぶどう品種などについて解説し、スペインワインのなかからおすすめのオレンジワインも紹介します。

 

オレンジワインとは?

オレンジワイン(Orange Wine)は白ワイン用ぶどうを使い、赤ワインの製法で醸造したワインです。オレンジワインというとオレンジを使っている、と思われる方もいるようですが、れっきとしたぶどうのワインで、色が薄いオレンジ色のような琥珀色であることからオレンジワイン、またはアンバーワイン(Amber Wine)と呼ばれます。

オレンジワインの存在はここ20年ほどの間に徐々に知られるようになり、近年では世界中で大流行しています。しかし、オレンジワインは8000年前のジョージア(Georgia)にまでその起源をさかのぼることができる、と言われています。ジョージア、といえばご存知の方は多いかと思いますがぶどうの故郷であり、ワイン発祥の地として知られています。そして、8000年前というのはそのまま、ワインの起源とされる時代でもあり、オレンジワインの歴史はワイン創世の頃から続いていると考えられるのです。

 

なぜオレンジワインは人気?

近年のオレンジワインの人気には、自然派ワインに注目が集まるようになったことと、フードペアリングのしやすさ、そして、意外なことに、ある外交問題が関係していると考えられます。

 

自然派ワインとしてのオレンジワイン

一般的に、多くの白ワインは赤ワインに比べ、酸化防止剤として亜硝酸塩を多く必要とします。これは、白ワインが酸化防止成分であるタンニンをあまり含まないことが原因となっています。

自然派ワインのファンは、亜硝酸塩が含まれない、または控えめなワインを好みます。そのため、自然派ワインを造る多くのワイナリーがオレンジワインに注目し、生産量を増やしていったのです。

 

フードペアリングがしやすいオレンジワイン

オレンジワインは幅広い料理にペアリングしやすいことでも人気です。オレンジワインの味わいは通常であればワインとは合わせにくいとされる料理ともペアリングしやすい、とされています。例えば、インド料理や中国、韓国料理など、スパイスを多用する料理は繊細な味ワインの白ワインと渋みのある赤ワインは合わせにくいとされてきました。しかし、オレンジワインはスパイスの辛みなどともなじみやすいのです。

また、オレンジワインは和食とも相性が良いことでも知られています。オレンジワインの奥行きある味わいが醤油やみりん、味噌などの調味料や出汁などと、非常に相性が良いのです。

 

クレムリン宮殿の供宴で欠かせなかったオレンジワイン

本場ジョージアのオレンジワインはかつて、ロシアのクレムリン宮殿で来賓客へのもてなしでは欠かせない存在でした。しかし、2006年にジョージアとロシアの間で外交問題が起き、関係が悪化しました。すると、ジョージアのオレンジワインは最大の輸出先を失ってしまいます。しかし、そのことをきっかけにジョージアのオレンジワインがロシア以外に輸出されるようになり、オレンジワインの存在が世界に広く知られ、ブームが生まれた、という側面があるのです。

 

オレンジワインに使われるぶどう品種

オレンジワインに使われる白ぶどう品種はアロマティックな、香り成分の強いものが中心です。また、酸味の強い品種を使う場合もあります。なぜかというと、オレンジワインはカリウムを多く含むぶどうの茎が果汁に含まれたまま醸造するため、酸味が落ちやすいのです。そこで、もともと強い酸味を持つぶどうを使うことにより、出来上がるワインに酸味を保たせる、というわけなのです。

 

オレンジワインに使われる白ぶどう品種には以下のようなものがあります。

 

リースリング(Riesling)

ヴィオニエ(Viognier)

ゲヴェルツトラミネール(Gewürztraminer)

ピノ・グリ(Pinot gris)

 

ピノ・グリは黒ぶどう品種であるピノ・ノワール(Pinot noir)の変異種で、灰色っぽい青色やピンク色がかった果実を付けます。そのため、ピノ・グリで造ったオレンジワインはピンク色がかった色合いになる場合があります。

 

オレンジワインの醸造法

オレンジワインは専門用語では「スキンコンタクトワイン」と呼ばれます。つまり、オレンジワインとはスキンコンタクトをしたワインなのです。

通常、白ぶどうを白ワインに仕込む場合は果皮と種を取り除いた状態で圧搾し、果汁を取り出して醸造します。いっぽう、オレンジワインの場合では収穫されたぶどうをそのまま破砕し、果皮や種が入った状態で果汁を発酵させます。この発酵方法をスキンコンタクト、といいます。スキンコンタクトをすることにより、アントシアニンやタンニンなど、果皮や種に含まれる成分を果汁内に抽出させることができるのです。そのため、その名の由来となるオレンジがかった色合いが生まれます。

スキンコンタクトはワインに濃い色を与えるうえで、非常に重要な醸造過程です。多くの白ワインが赤ワイン用の黒ぶどうから造られることがその良い証拠となるでしょう。

シャンパーニュ(Champagne)はその一例として挙げられます。シャンパーニュの原料となるぶどうは、ピノ・ノワール、ムニエ(Pinot Meunierなど、黒ぶどう品種です。それら黒ぶどうの果皮や種から成分を抽出しないように静かに圧搾し、果汁だけを取り出して発酵させて造ることで白のスパークリングワインである、シャンパーニュが出来上がるのです。

 

オレンジワインの味わいや香りの特徴

オレンジワインの味わいの特徴は一般的に、赤ワインのような深みと白ワインのような爽やかさを併せ持っている、と例えられます。香りはオレンジピールや白桃、ヘーゼルナッツやはちみつ、アプリコットなどと表現されます。

 

おすすめのオレンジワイン「ブライ・オレンジ(Blai Orange)」

スペインワインの中から、おすすめのオレンジワイン「ブライ・オレンジ」を紹介します。

ブライ・オレンジはバスク地方の土着品種、オンラダビ・スリ(Hondarrabi Zuri)100%を使用したチャコリです。チャコリ(Txakoli)はバスク地方伝統の微発泡ワインで、このブライ・オレンジはオレンジチャコリ、ということになります。

スペインのバスク地方はピレネー山脈の西側に位置していて、スペインの中でも最も寒い地域です。昼夜の寒暖差も少なく、雨も少なからず降るなどの影響で、育つぶどうの糖度は低め。そのため、バスク地方では早飲み用のワインが主流となっています。しかし、近年では技術の発展により、日本でもブライ・オレンジのようにフレッシュなチャコリが楽しめるようになったのです。

ブライ・オレンジは黄金に輝く色合いを持ち、りんごや花梨などの甘やかなアロマが楽しめるる無添加チャコリです。ニュアンスとしてスモーキーさやクミン、ナツメグなどの要素もあり、深みのある面白い複雑さがあります。そして、ドライさとフルーティさを兼ね備えていて、温度による味の変化にも注目。最適な飲み頃の温度は6〜8℃で、暑い季節にもぴったりです。おすすめのペアリングはピクルスやガーリックシュリンプ、蒸し鶏のオレンジマリネなど。また、カレー風味の料理に合わせても良いでしょう。

造り手はバスク州・ギプスコア県(Gipuzkoa)のワイナリー、ブライ・チャコリーナ(Blai Txakolina)です。低温での醸しやシュール・リー(Sur Lie)などが代表的な手法で、確かな知識と経験で優れたチャコリを生み出しています。

 

まとめ

オレンジワインについて、人気の理由や使われるぶどう品種などについて解説し、スペインワインのなかからおすすめのオレンジワインも紹介しました。

もし、まだオレンジワインを飲んだことがない、という方にとって、この記事がオレンジワインに親しむきっかけになれば幸いです。

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