シェリー酒って一体どんなお酒?「名前は聞いたことあるけどいまいちシェリーが分からない」という方も多いのではないでしょうか。本記事では、スペイン南部アンダルシア地方発祥のお酒シェリー酒について分かりやすく解説していきます。
紹興酒のような独特な香りと高いアルコール度数を持つシェリー酒は、初心者に敬遠されがちですが、実は一口にシェリー酒といっても甘口から辛口までさまざまな種類があります。
初めて飲むなら質の高いシェリー酒を飲むことをおすすめします。すると、シェリーの美味しさにハマってしまうかも。
シェリー酒とは?
シェリー酒は、実はスペイン産の白ワインです。主にスペイン南部アンダルシア地方のヘレスとその周辺地域で生産されており、酒精強化ワイン※と呼ばれています。
シェリーには呼称統制があるため、ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ、プエルト・デ・サンタ・マリア、サンルーカル・デ・バラメダの3つの街で栽培され、それら地域で製造されたワインのみが「シェリー」の名を名乗ることができます。
※酒精強化ワインとは製造途中でアルコールを加えることで、通常のお酒よりもアルコール度数が高く、長期保存が可能なワインのことをいいます。ワインが通常10〜14℃であるのに対し、酒精強化ワインは15~19%となっており、スティルワインと比べて高めのアルコール度数を持っていることが特徴です。
シェリーは世界三大酒精強化ワインのうちのひとつ
基本的に、ワインは涼しい地域で製造されます。気温が高いイベリア半島などのぶどう栽培に適していない地域でも、腐敗や酸化を防止し、保存性を高めるために造られたのが酒精強化ワインです。
酒精強化ワインの代表とされるのが「世界三大酒精強化ワイン」であり、ポルトガルのマデイラワイン、ポートワインとスペインのシェリー酒の3つを指します。
シェリー酒の特徴
シェリー酒は、オロロソなどの辛口の酸化熟成タイプのものですと、紹興酒のような香ばしい香りや味わいを感じられます。
また、シェリー酒には甘口から辛口までさまざまな種類があり、それぞれの特徴によって異なる味わいを楽しめることがシェリー酒の特徴です。
例えば、日本では食前酒として辛口のシェリーが好まれていますが、寒冷な北ヨーロッパの地域では甘口のシェリーが人気といったように、各地域の特性や食文化の違いでシェリーの味わいを選べるのもシェリー酒の魅力です。
シェリーのぶどう品種
シェリー用としては白ぶどうのみ以下の3種類のぶどう品種が認定されています。
- パロミノ種
- ペドロ・ヒメネス種
- モスカテル種
シェリー酒は主にパロミノ種から造られることが多く、シェリー酒全体の栽培面積約9割をパロミノ種が占めています。次いでペドロ・ヒメネス酒が9%、モスカテル種が1%となっています。
辛口のシェリーにはパロミノ種が適しており、モスカテル種は甘口シェリー、ペドロ・ヒメネス種は甘口や極甘口シェリーを造るのに使用されます。
シェリーの飲み方は?
基本的にシェリー酒は、ワイングラスに注いでストレートで飲むのが一般的です。
しかし、比較的アルコール度数が高いため、初心者の方はそのまま飲むのは苦手と感じるかもしれません。
そんな場合は、しっかりと冷やす、氷を入れてロックで、スプライトやジンジャエールなどの甘い炭酸で割ってカクテルとして飲む、さらにレモンを絞るなど、飲みやすくすることで初心者でもすっきりと美味しく飲めるようになります。
甘いお酒が好きな方には、甘口シェリーをデザートワインとして飲むのもおすすめです。
辛口シェリー酒の種類
日本で人気の辛口タイプのシェリー酒ですが、辛口のなかでも大きく分けて以下の5種類の辛口タイプに分類されます。
- フィノ
- マンサニージャ(マンサニーリャ)
- アモンティリャード
- オロロソ
- パロ・コルタド
これらの違いについて詳しく見てみましょう
フィノ
フィノはライトな辛口でデリケートな味わいが特徴です。特に「ティオ・ペぺ」は辛口シェリー酒の代名詞とも言える存在です。
フィノの軽い口当たりは、食前酒にぴったりです。
製造方法製造方法 |
酵母による熟成酵母による熟成 |
アルコール度数 |
15〜18% |
熟成期間 |
3〜4年 |
味わい味わい |
繊細で軽い口当たり |
マンサニージャ
シェリー酒の中でも最もライトでドライとされているのがマンサニージャ。
マンサニージャは、シャープでほんのりと感じる潮の香りが特徴です。フィノにも似た味わいですが、フィノよりも全体的にフレッシュで、軽やかな印象を持つ辛口シェリーです。
アルコール度数 |
15〜19% |
熟成期間 |
3〜10年 |
味わい |
すっきりとした辛口 |
アモンティリャード
アモンティリャードは、しっかりと熟成をさせたシェリー酒です。アルコール度数が高く、香ばしいヘーゼルナッツのような奥深い味わいが特徴です。
琥珀色をしており、フィノとオロロソの中間とされています。
アルコール度数 |
16〜22% |
熟成期間 |
7年以上 |
味わい |
シャープで香ばしい辛口 |
オロロソ
熟成期間の長いオロロソは最も色合いが濃く、ブランデーやコーヒーのような深い赤茶色をしています。
大変香り豊かなシェリー酒で、ナッツのような香ばしく華やかなアロマを感じます。まろやかさでしっかりとしたコクを感じられるシェリー酒です。
アルコール度数 |
17〜22% |
熟成期間 |
3〜10年 |
味わい |
まろやかでコクのある辛口 |
パロ・コルタド
アモンティリャードのシャープさとオロロソのコクのある味わいを持つバランスの良いシェリー酒です。
ビターオレンジのような柑橘系のような繊細な香りと発酵バターのようなコクを感じます。
オロロソよりもライトで、コクを感じたいという方におすすめ。
アルコール度数 |
17〜22% |
熟成期間 |
3〜10年 |
味わい |
シャープでコクのある辛口 |
おすすめのシェリー酒
【商品情報】
商品名 |
ラス メダージャス マンサニージャ(Las Medallas Manzanilla) |
生産者 |
エレデロス・デ・アルグエソ(Herederos de Arugueso.S.A.) |
おすすめ料理 |
生ハム、チーズ、魚介類、トマトのサラダ、ガスパチョ |
生産国 |
スペイン |
地域 |
D.O.ヘレス・ケレス・シェリーおよび マンサニージャ・サンルーカル・デ・バラメダ |
ぶどう品種 |
パロミノ・フィノ100% |
度数 |
15% |
ボディ |
ドライ |
飲み頃の温度 |
5℃ |
容量 |
750ml |
今回ご紹介するおすすめのシェリーは、大変長い歴史を持つエレデロス・デ・アルグエソ(Herederos de Arugueso.S.A.)が造るラス メダージャス マンサニージャ(Las Medallas Manzanilla)。
100年以上前から多くの賞を受賞しているこのシェリーには、スペイン語でメダルの意味を持つ“Las Medallas(ラス メダージャス )”という名前が付けられており、ラベルには冠が描かれています。
ラス メダージャスは品質に定評がある信頼度の高いシェリー酒です。
味わいの特徴
マンサニージャタイプのシェリーであるラス メダージャス マンサニージャ(Las Medallas Manzanilla)は、あっさりとした辛口タイプのシェリー酒です。
輝きのある淡い黄色、フローラルのような繊細な香りにほのかな塩味を感じます。口に含んだ時の爽やかさと清涼感が心地よく、ほんのりとした苦味、余韻として花のアロマが広がります。磯を思わせる香りがあるので、車海老や魚のフライなど魚介類との相性も抜群。
飲む人を選ばない口当たり軽やかなシェリーに仕上がっています。
生産者について
1822年フアン・レオン・デ・アルグエソによって設立された「エレデロス・デ・アルグエソ(Herederos de Arugueso.S.A.)」は元々は、約200年の間、シェリー酒を作り続けている伝統的な家族経営のボデガ(製造所)で、現在はBodegas Yuste(ボデガス・ジュステ)のグループに属しています。
設立当初に買い集めたシェリー樽を今日までワイナリー内で修復を繰り返し、同樽で熟成させおり、現在のソレラ(出荷用の樽)は198年以上も前から続いているものです。
現在は、3つのボデガを所有しており、スペインワイン雑誌「VINOS DE ESPANA」において、アルグエソ社の全てのマンソニージャシェリーが賞を獲得。
さらに2017年にロンドンで開催されたインターナショナルワインチャレンジで最高の賞を受賞、2020年にもスペインとポルトガルで開催された大会で最高の酒精強化ワインとして認められ、ヴィンドウロ賞を受賞しています。
まとめ
今回ご紹介したラス メダージャス マンサニージャは、200年というボデガの長い歴史を反映し、スペイン国内にとどまらず、世界各国において高い評価を受け続けている高品質なシェリー酒です。
まだシェリー酒は飲んだことはない方や、どこか苦手に感じている方に、ぜひ飲んでいただきたい逸品です。ワイン好きな方は、きっとシェリー酒の美味しさのに虜なるでしょう!
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1986年創立のシェリー酒専門店「しぇりークラブ」が、スペイン南部アンダルシア地方に所在する生産地へレスでの3年半にわたる63か所のボデガへの取材を経て、シェリーのミステリアスな生まれと育ちを解明した、3部構成のガイドブックです。