スペインの奇才サルバドール・ダリは、19世紀の天才画家として多くの人に知られています。超現実世界を描いた不思議な世界観は見る人を魅了します。
そんな、サルバドール・ダリはワイン好きとして知られていました。カタルーニャのワイナリーの家族とダリが友人関係にあったことがきっかけで、ワインラベルにダリの署名が刻まれた貴重なスペイン赤ワインがあります。
今回は、サルバドール・ダリと彼と深い繋がりにあったワイナリー「Torre del Veguer」が造る赤ワイン「Raims Immortalitat Tinto(ライモス・インモルタリタット ティント)」をご紹介します。また、天才画家サルバドール・ダリについてもまとめていますので、ぜひ一緒にご覧ください。
サルバドール・ダリについて
スペインを代表する画家サルバドール・ダリ。彼は、シュールレアリスムを代表する天才画家として世界に知られおり、代表作には「記憶の固執(溶ける時計)」「茹でたインゲン豆の柔らかい構造」などがあり、多くの作品で非常に高い評価を受けています。
「シュールレアリスム」とは、現実主義を意味する「レアリスム」に「過剰な、過度の」を意味する「シュル」を付けたもので、日本語では「超現実主義」と呼ばれています。つまり、シュルレアリスムとは現実主義を突き詰め、心の奥に潜む「要求」「夢」「本能」など無意識レベルの領域を表現した作風のことをいいます。
シュルレアリスムでは、哲学や心理学などとの関わりが深く、かのサルバドール・ダリも、20世紀前半のフランスにおいて大きな支持を受け、精神分析の父と呼ばれていたフロイトの「精神分析理論」に大きな影響を受けています。
さらに、ダリは目の錯覚や心理的錯覚を利用した手法を得意としており、彼が発明したシュルレアリスト手法には「偏執狂的批判的方法」があります。
これは、一つの作品に二つのイメージを重ねて描く手法。物の見方が一つではなく、時にはダブって見えることを表現しており、代表作には「ナルシスの変貌」や「水面に象を移す白鳥」などがあります。
ダリ自身は「偏執狂的批判的方法」のことを、精神錯乱的な連想と解釈の批判的かつ体系的な客観化に基づく非合理な認識の自然発生的方法”と表現しており、
生い立ち
1904年スペインカタルーニャ地方のフィゲラスで生まれます。画家出身の母を持つダリは、幼い頃から絵を描きはじめます。ピカソの友人でもあるラモン・ピショットにその才能を認められ、1922年にはマドリードの美術学校に通います。この頃にはすでに高い技術を持っていたと言われています。
1927年、23歳になったダリは単身パリに渡り、パブロ・ピカソ、ルイ・アラゴン、アンドレ・ブルドン、トリタン・ツァラなどシュルレアリスムの中心人物と出会います。これが彼の絵画人生の大きな転機となりました。
さらにパリでは、ダリの作品にも度々出てくることになる運命の女性「ガラ・エリュアール」と出会い、1934年に結婚します。
彼はガラを生涯愛し続け、1982年にガラが亡くなった際には「人生の舵を失った」と言っており、翌年の1983年に彼は絵画制作を完全に辞めてしまうほど、ひどく落ち込みました。
そして1989年、84歳で生まれ故郷であるフィゲラスでその生涯に幕を閉じました。
サルバドール・ダリの豆知識
その個性的な性格や人々を驚かす発言で世間から注目を集めていたサルバドール・ダリ。メディアにも頻繁に登場していました。ここでは、サルバドール・ダリにまつわるちょっとした豆知識をご紹介します。
サルバドール・ダリの代表作「溶ける時計」はカマンベール?
サルバドール・ダリの作品の中でも最も有名な絵画といえば、溶ける時計が特徴的な「記憶の固執」です。
溶けた時計は、キッチンでダリの妻「ガラ」が食べていたカマンベールチーズからインスピレーションを得ています。カマンベールが溶けていく様を彼は時計と重ねて見ていたようです。
一般的に固い時計を柔らかくすることで、「固いもの」と「柔らかいもの」を同時に描くことで、「不安」と「欲望」の対照的な感情を表しています。ダリが固いものと柔らかいもの両極への強い執着から完成した作品。
さらに、一説によるとゆがんでいる時計は、時空のひずみを表現しており、アインシュタインの「一般相対性理論」を作品に取り入れたともいわれています。
チュッパチャップスのロゴはサルバドール・ダリのデザイン!?
ポップでカラフルなチュッパチャップスのロゴは、誰もが一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?あのカラフルで可愛らしいデザインは、なんとサルバドール・ダリの作品です。
しかしなぜ、ダリがデザインしたのか?それは、チュッパチャップスの生みの親である「エンリケ・ベルナート氏」もダリと同様、スペイン出身であり、交友関係があったためです。
ダリと食事していた際に、エンリケ・ベルナートはチュッパチャップスのデザインを依頼します。すると、そこにあったナプキンにデージー(ひな菊)をベースにしたチュッパチャプスのロゴをスルスルと書き上げたそうです。
彼が即興的にナプキンに書き上げたデザインを気に入ったエンリケは、チュッパチャップスのロゴに採用。現在の原型となりました。
「シュール」という言葉は「シュールレアリスム」からきている
今でこそ、よく耳にする「シュール」という言葉。1990年代に「シュールな作品」「シュールなギャグ」などといった表現で、テレビ内の会話で頻繁に使われたことがきっかけで、一般的な言葉になりました。
シュールとは、非現実的な様子、風変わりな様子、理解できない様子、などを表す言葉ですが実は、シュールの語源は「シュルレアスム(超現実主義)」の略語だったのです。
超現実主義は、潜在意識の世界観を表す手法。つまり現実離れしたという意味も含んでおり、現在私たちが一般的に使う「シュール」という言葉になりました。
Raims Immortalitat Tinto(ライモス・インモルタリタット ティント)について
【商品情報】
商品名 |
ライモス・インモルタリタット ティント (Raims Immortalitat Tinto) |
ビンテージ |
2016 |
生産者 |
ボデガス・トレ・デル・ベゲール(Bodegas Torre del Veguer) |
設立 |
1878年 |
おすすめ料理 |
マッシュルームのオーブン焼き、ローストビーフ、ラムシチュー、ミートパイなど |
生産国 |
スペイン |
地域 |
D.O.ペネデス(D.O.Penedès) |
ぶどう品種 |
カベルネ・ソーヴィニョン 85% シラー15%(共に樹齢約35年) |
発酵容器 |
ステンレス・スティールタンク |
熟成容器 |
300~500L フレンチオークにて18か月熟成 |
発酵期間 |
15日間 |
度数 |
14.0% |
ボディ |
フルボディ |
飲み頃の温度 |
15〜18℃ |
容量 |
750ml |
今回のおすすめスペインワインは、サルバドール・ダリの故郷でもあるカタルーニャ地方のスペインワイン「Raims Immortalitat Tinto(ライモス・インモルタリタット ティント)」です。
サルバドール・ダリが手がけたワインラベルと署名が特徴の芸術ワインをご紹介します。
Raims Immortalitat Tinto(ライモス・インモルタリタット ティント)
ライモス・インモルタリタット ティントは、カベルネ・ソーヴィニヨンとシラーを使用しています。収穫は、厳選したぶどうのみを20kgの木箱に入れ、すべて手摘みで行われています。収穫後は、低圧でのソフトプレスを行います。21℃に保った部屋で10日間の熟成後、1,000Lのステンレススティールタンクにて15日間の発酵。最後には300〜500Lの厳選したフレンチオーク樽にて18ヶ月間の熟成を行い、瓶詰めされます。
こだわりの収穫と最高品質の哲学を継続し、ガラフ地域にある「ボデガス・トレ・デル・ベゲール」のぶどう園で栽培された高品質のカベルネ・ソーヴィニヨンから、強烈なアロマと持続的なフィニッシュを備えた、丸みのある最高品質のワインに仕上がっています。
サルバドール・ダリとの繋がり
「ボデガス・トレ・デル・ベゲール」原当主の大叔父にあたる「ジョアキン・ゲイ・デモン・テッラカサノバス氏」は、サルバドール・ダリの親友であったことから、ライモス・インモルタリタットのワインラベルに繋がりました。
さらに、ワイナリー「トレ・デル・ベゲール」の中には、芸術家サルバドール・ダリに捧げるために造られた展示部屋「ダリの部屋」には、ダリの絵画やオブジェはもちろんのこと、ダリ直筆のメモや手紙、妻ガラのキスマークなど、が飾ってあります。
サルバドール・ダリは、1940年初頭から1970年にかけてニューヨークの宝石商と提携し、宝石と絵画のペア作品を造る宝石シリーズを手がけています。彼のデザインした宝石コレクションは「Raïms de la Immortalitat(生物学的懸濁液(けんだくえき)の不死の懸念を表している)」と呼ばれており、この時にデザインした作品の一つ「不死のぶどう(1970年)」を再現。ライモス・インモルタリタットのラベルモチーフとなっています。さらに、ワインの名前も宝石コレクションの作品名から取っています。
味わいの特徴
ワインの色合いは、紫の反射が美しい輝きのあるワインレッド。
樽熟成由来の柔らかく甘いバニラの味わいの背景とともに、熟した果実や黒系果実(ブラックベリー、プルーン)などの濃厚な香りが感じられます。
タンニンが心地よく、酸味と果実味のバランスが絶妙。丸みのある柔らかな余韻を長く楽しめる最高品質な赤ワインです。
ライモス・インモルタリタット ティントには、肉料理はもちろんのこと、シチューや煮込み料理、ブルーチーズのようなクセのあるチーズから脂ののった魚料理にまで幅広い料理に合わせられることも魅力的です。
受賞歴
- 2013年チェコ国際ワインコンクールキュヴェで銀メダル
- 2013年デカンタワールドワインアワードで表彰
- 2015年&2016年カタビナムワールドワイン&スピリッツコンペティション銀メダル
まとめ
今回は、スペインが生んだ世界的芸術画家サルバドール・ダリのデザイン&署名をラベルにしたワイン「ライモス・インモルタリタット ティント」をご紹介しました。現オーナー・ホアキン・ガイ・デ・モンテラ氏の家族はカタルーニャの有力者として知られており、政界や財界などの経歴もありました。その繋がりから世界的芸術家であるサルバドール・ダリとも交友があり、ワイナリーに訪問、家族で食事などを楽しむ間柄であったそうです。
サルバドール・ダリのファンもそうでない方も、ダリの描いた素敵なラベルとともに、丸みのある柔らかな高品質赤ワインをお召し上がりください。