カタルーニャ地方は、スペインワインで最も長い歴史を持つ地域の一つです。
スペインでは、数百年前に建てられた美しい建造物をそのまま使用するワイナリーも少なくありません。
今回は、カタルーニャ州の歴史的建造物に指定された「ベゲリアタワー」を持つ伝統のワイナリー「Torre del Veguer(トレ・デル・ベゲール)」の白ワインをご紹介します。
ベゲリアタワーとは
バルセロナのサンペドロデリバスにある中世の家であるベゲリアタワーは、正方形の塔、新古典主義のスタイルで建てられた「要塞」のための塔です。
歴史的に残っている書物によると、 ベゲリアタワーは1359年に建てられており、中世ならではのオリジナル要素と新ゴシック様式の礼拝堂などを合わせた折衷的なスタイルとして注目されています。
ヒエロニムス修道院時代からの遺産に丸天井のあるいくつかの石のアーチがあり、外側には、16世紀の大理石の盾で飾られた大きなアーチ型の柱廊玄関があり、当時のオーナーであるAvinyo家の紋章がしっかりと支えられています。内部には、地下室にある3つの尖頭アーチと、キッチンにある半円形のアーチが、古代的な象徴です。建設から、3世紀経った頃には、「Torre del Veguer」と命名されました。
カタルーニャ州の歴史的建造物に登録
1413年には、ベゲリアタワーで僧侶(ジェロニモ修道士たち)が礼拝の為のワインを造りはじめます。彼らは、粘土と石造りで作った手作りの大桶でワインを醸造。この当時使用していた石桶は今でもワイナリーで使用されております。
その後、僧侶たちは別の地に移住し、不動産の所有権は多くの権力者たちの手に渡ります。現在のオーナー家族になったのは1878年ですが、ワイン造りはその時代に合わせて製造され続けていました。1888年にはバルセロナで開催された万国博覧会で高評価され、金メダルを受賞するまでに成長します。
14世紀にその基盤を持ち、その領土、人々、建築物としての歴史と芸術性などを総合的に考慮した上で、2010年にカタルーニャ州の歴史的芸術建造物として登録されました。
Raims Immortalitat Blanco(ライモス・インモルタリタット ブランコ)について
【商品情報】
商品名 |
ライモス・インモルタリタット ブランコ (Raims Immortalitat Blanco) |
ビンテージ |
2017 |
生産者 |
ボデガス・トレ・デル・ベゲール(Bodegas Torre del Veguer) |
設立 |
1878年 |
おすすめ料理 |
シーフードサラダ、魚貝類のマリネ、ヤリイカのフリット、白身魚のポワレなど |
生産国 |
スペイン |
地域 |
D.O.ペネデス(D.O.Penedès) |
ぶどう品種 |
チャレロ・ブランコ 90% チャレロ・ベルメル 10% |
発酵容器 |
ステンレス・スティールタンク |
熟成容器 |
500L フレンチオーク樽/6か月 瓶内熟成/12か月 |
発酵期間 |
15日間 |
度数 |
13.5% |
ボディ |
ドライ |
飲み頃の温度 |
8~12℃ |
容量 |
750ml |
今回ご紹介するワインは、歴史的建造物ベゲリアタワーをワイナリーに持つ「Bodegas Torre del Veguer(ボデガス・トレ・デル・ベゲール)」の白ワイン「Raims Immortalitat Blanco(ライモス・インモルタリタット ブランコ)」です。
地中海気候由来のミネラル感とフランスオークで熟成させたことによりクリーミーさも併せ持つアロマティックな白ワインです。
Raims Immortalitat Blanco(ライモス・インモルタリタット ブランコ)
ライモス・インモルタリタット ブランコは、チャレッロ(ブランコ/白)とチャレッロ・ベルメル(赤)品種から作られた白ワインです。
フランス中心部の森林(アリエ、トロンセ、ネバーズ)のフレンチオーク樽での発酵と最低6ヶ月の熟成の後に、12ヶ月の瓶内発酵を行います。
ライモス・インモルタリタット ブランコのワインラベルは、世界的芸術家であるサルバドール・ダリの作品「不死のブドウ」がモチーフとなっています。
「ボデガス・トレ・デル・ベゲール」の家族であるジョアキン・ゲイ・デモン・テッラカサノバス氏は、サルバドール・ダリの親友でした。
ワイン好きでもあったダリに対して、彼の1970年の作品Raïms de la Immortalitat「生物学的懸濁液に含まれる不 死を象徴する」という宝石シリーズ(宝石と絵画のペア作品)の絵画を使ったラベルと彼の作品をワイン名に入れており、友好の証として醸造しています。
味わいの特徴
明るく澄んだ輝きのあるレモンイエロー。
口に含むと、熟した「もも」や「びわ」のような優しい甘みと樽由来の燻製とバニラ香が広がります。フルーティーな香りに、ドライアロマハーブのノート、ビターアーモンド、トーストアロマがバランス良く、長い余韻を感じられます。
牡蠣や海老、白身魚などのシーフード料理との相性が抜群!
受賞歴
- 2018年 ギルバート&ガイヤールコンペティション 金メダル
生産者について
Torre del Veguer(トレ・デル・ベゲール)は、D.O.ペネデスに位置するエル・ガラフに15エーカーのぶどう畑を持っています。
職人技で生産された家族経営のワイナリーで、Xarel.loやMalvasiaなどのネイティブガラフ品種、マスカットやグルナッシュなどの地中海品種、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラーなどの外国産品種など、独自の有機ブドウ園から高品質のワインを生産しています。1995年にワイナリーの新しい段階が始まり、市場のトレンドに従ってワインを生産するための新しい近代的な設備が組み込まれています。
ぶどう畑は海辺から数十キロと近いため、海洋性の化石が見つかるなど、他のカタルーニャ地域のぶどう畑とは異なり、石灰質土壌が特徴的。非常に少ない有機物で、ミネラル感が多く感じられます。
地中海の影響を大きく受け、地域ならではのワインを造り出すことができる歴史のあるワイナリーです。
600年前に作られたワインを再開発
トレ・デル・ベゲールでは、ジェロニモスの僧侶が作ってきたスペインワインの歴史や哲学を非常に大切にしています。
樽室の真ん中には約600年前に僧侶によって作られた石造りのワインプレスがあります。2015年には、当時のワインを再開発するためのプロジェクトを立ち上げ、当時の手法を忠実に再現したワインも作っています。
有機農法によるオーガニックワイン
現在のトレ・デル・ベゲールでは、世代が変わり、SDGs(持続可能性)と気候変動に対して100%の努力を尽くすことをモットーとしています。
そんなワイナリーでは、2013年から有機農法をはじめ、2016年にはオーガニックワイン認定を取得。2018年にはヴィーガン認証も受けるなど、自然派ワイン造りにこだわりを持っています。
亜硫酸塩、砂糖の使用を最小限に抑え、人の手を加えることを最小限に抑えた農業を心がけており、お届けするワインはぶどう畑そのものを体現した100%オーガニックワインに仕上がっています。
まとめ
スペイン中世時代に建てられた美しい建築物「ベゲリアタワー」を持つワイナリーTorre del Veguer。
このワイナリーのツアーでは、カタルーニャ州の歴史的芸術建物ベゲリアタワー内部を見学し、ワインを飲みながら14世紀から今日までの歴史について知ることができるのだそうです。一度は訪れてみたいものですね。
今回は、クリーミーな100%オーガニック白ワイン「Raims Immortalitat Blanco」をご紹介しました。ぜひ、ご賞味ください。