スペインではこれまでの歴史の中でも多くのスペイン特有の土着品種が栽培されてきましたが、今もなおその全ての品種が残っているというわけではありません。
スペインで認定され、有名になっている数々の国際ぶどう品種の影にはすでに、絶滅してしまったぶどう品種や現在絶滅の危機に陥っているぶどう品種も多くあります。
今回は、絶滅の危機に陥っているぶどう品種の中でも「フォルカリャ(Forcallat)」100%を使った華やかでエレガントな希少ロゼワインをご紹介します。
スペイン土着品種「フォルカリャ」
フォルカリャ(Forcallat)は、スペイン南東部のカスティーリャラマンチャ地域とバレンシアコミュニティのアリカンテ州とバレンシア州、ムルシアで伝統的に栽培されている赤ワイン用ぶどう品種です。
別名フォルカリャ・ティント(Forcallcat tinta)とも呼ばれ、バレンシア語で”二股”を意味しており、フォルカリャ・ティントの房が二股に分かれることが名前のであると言われています。
絶滅の危機に瀕している希少なぶどう品種
あまり肥沃的でない土壌にもよく適応するため、生産的でもあったフォルカリャは、一時は活発的な栽培が行われていましたが、カビやボトリチスなどの病気への感度が高いため、栽培が困難になっていきました。
上記ような理由から、多くのワイナリーではより扱いやすい他の品種へ置き換えられるようになり、現在フォルカリャはほとんど栽培されておらず、絶滅の危機に陥っています。
スペイン国内のいくつかの少数メーカーがフォルカリャの回復するための努力をしていますが、まだまだ栽培量が少なく、スペイン国内でさえも希少なぶどう品種であるため、日本で飲めることは極めて稀なことでしょう。
フォルカリャの特徴
フォルカリャは、赤ワインぶどう品種として栽培されますが、色が淡く、赤ワインを生産することが難しいため、フォルカリャを取り扱う多くのワイナリーではロゼワインなどの淡い色のワインを生産する傾向にあります。
非常に肥沃で、中型から大型の房ができます。あまりコンパクトではなく、中型の果実に丸く濃い赤紫色、ぶ厚い皮がフォルカリャの特徴的です。
フォルカリャからは、一般的に酸が少なく、糖度が低いドライなワインが造られます。
希少価値のある日本で飲める
フォルカリャをご紹介〜商品情報〜
商品名 |
アラグ・ロゼ フォルカリャ(Alagú Rosé Forcallat) |
生産者 |
ボデガス・カサ・コレドール(Bodegas Casa Corredor) |
おすすめ料理 |
生ハム、フルーツトマトのカプレーゼ、サーモンのポワレ、ローストポーク、ウサギのパエリア、白桃のタルトなど |
生産国 |
スペイン |
地域 |
バレンシア州、アリカンテ、ビノ・デ・アウトール(Vino de Autor) |
ぶどう品種 |
フォルカリャ 100%(樹齢35年) |
度数 |
14% |
発酵容器 |
ステンレス・スティールタンク |
発酵期間 |
ステンレスタンク6ヶ月 |
味わい |
ミディアム |
飲み頃の温度 |
10-15℃ |
容量 |
750ml |
今回ご紹介するワイン名のアラグ(Alagú)という名前の由来は、イベリコ半島でレコンキスタが行われていた時代に、イスラム教徒からキリスト教に改宗した方々(モリスコ)が喜びや誇りに思うものを祝して乾杯する際に、お祝いの言葉として使用されていたことからきています。
現在でも、農業に携わる高齢の方のなかには「アラグ!(Alagú!)」という表現を使って、好きなものや喜び、楽しみを表現する時に使う言葉です。
「アラグ・ロゼ フォルカリャ」の味わい
アラグ・ロゼ フォルカリャ(Alagú Rosé Forcallat)は、「華やかでエレガント。希少品種で造られたハイクオリティな個性派ロゼ」です。
淡いサーモンピンクとやわらかなオレンジの色調が可愛らしく、フランボワーズやチェリーなどの赤い果実のアロマにグレープフルーツのような柑橘系のアクセントが爽やかさを表現してくれます。
白い花のニュアンスやほのかなフルーツキャンディのニュアンスがあり、華やかな中にもチャーミングさも感じられます。
フレッシュで軽い味わいのため、サーモンのポワレなどのシーフード料理はもちろんのこと、生ハムやローストポーク、ウサギのパエリアなどの肉料理からトマトのカプレーゼや前菜、白桃のタルトのような甘いデザートまで幅広いマリアージュが楽しめるのも嬉しいポイントです!
穏やかな酸味とボリューム感がバランス良く、絶滅しかけている希少なぶどう品種「フォルカリャ」の良さがしっかりと楽しめる逸品になっています。
ワイナリー「ボデガス・カサ・コレドール」
について
「ボデガス・カサ・コレドール(Bodegas Casa Corredor)」は、マドリードとアリカンテを結ぶ国道高速道路168番出口に隣接するワイナリーで、スペイン大手ワインメーカーMGWinesグループの内の一つです。
2013年には若くも明確な意思を持つオーナーミニャモ・ゴメス氏と若き女性醸造家ラウラ・ラモス氏を筆頭に「葡萄の個性を最大限に引きだす事」をモットーにプロジェクトを立ち上げている先鋭的なワイナリーです。
アリカンテ地域の自生ぶどう品種を大切にした
こだわりのワイン造り
ボデガス・カサ・コレドールでは、顕著な地中海の特徴を持ち、アリカンテ地域で原産地呼称に認定されている品種(アリカンテ、ブラス、ビエルソ、アルマンサ)を主に栽培しています。
スペイン伝統の在来品種を大切にし、スペイン国内のワイン醸造の豊かさを維持することがこのワイナリーの主な目的であり、中でも”フォルカリャ”や”ヒロ”などの生産性が低く、色合いが薄いぶどう品種であることから近年ではワインの生産に使われず、絶滅しかけていた自生ぶどう品種を中心に栽培を行い、自生品種の回復に努めている数少ないワイナリーの一つです。
ぶどうの栽培やワイン生産が難しい絶滅危機品種にフォーカスし、手間をかけていることからも、ワイナリーがスペイン土着品種を大切にすることにこだわった強い信念を感じられますね。
環境に考慮した有機ワイン生産
ワイン醸造学者のローラ・ラモスが指揮を取り、自然とその時代を尊重するブドウ栽培を行っており、最小限の介入主義でありつつも最も革新的な技術と伝統の組み合わせを大切にしています。
合計430haのぶどう園を持っているボデガス・カサ・コレドールですが、環境へは最大限の考慮を行い、有機ワイン生産に取り組んでいます。
また、農業環境への影響を抑えて効率的な農業を展開する農場「フィンカララグニラ」では、エコロジカルエクストラバージンオリーブオイルも生産しています。
これらは全て地下10メートルの深さに岩で掘られたセラーで醸造されており、ワインは木とステンレス鋼のタンクで混合された醸造のあと、フランスとアメリカのオーク樽で熟成されます。
まとめ
スペインの絶滅危機である希少な土着品種「フォルカリャ」をご紹介しました。
スペインの在来ぶどう品種を救うプロジェクトを立ち上げたワイナリー「ボデガス・カサ・コレドール」によって生産されるフォルカリャは、ワイナリーのモットーである「葡萄の個性を最大限に引きだす事」の言葉通り、フォルカリャの持つポテンシャルを存分に活かした素晴らしいロゼワインに仕上がっています。
ここでしか飲めない希少な個性派ロゼワインですので、ぜひこの機会に希少ぶどう品種フォルカリャの味わいを堪能してみてくださいね!