歴史的な建造物や、自然の美しさで知られているスペイン最大の州、「カスティーリャ・イ・レオン(Castilla y León)州」は、中世の建物がいたるところに残っており、その歴史的価値から多くの世界遺産があることでも有名ですよね。
カスティーリャ・イ・レオン州はスペイン北西に位置し、国土の約5分の1を占めるスペイン最大の州です。その広さだけではなく、ワインの生産量も多い地方であり、カスティーリャ・イ・レオン州の東側にある、リベラ・デル・ドゥエロ(D.O. Ribera del Duero)は、今や現代のスペインワインを語る上で、外すことのできない名釀地となっています。
1980年台に至るまで、一部の有名ワイナリー以外はさほど注目されていない産地であったリベラ・デル・ドゥエロ(D.O. Ribera del Duero)ですが、1982年に原産地呼称が創設されたことをきっかけに、世界的評価を受ける生産者が徐々に増えていきます。
今回は、原産地呼称の創設に奮闘した生産者のひとり、ボデガス・イスマエル・アロヨ(Bodegas Ismael Arroyo)が手がける赤ワイン、バルソティージョ ティント ホベン (Valsotillo Tinto Joven)をご紹介します。
原産地呼称の創設で品質の高さが世界的に評価されるように
スペインでは原産地呼称制度に先駆け、1926年にリオハで産地指定制度が設けられます。高品質なワインであることの証明と、他の産地との差別化を図るための基準となる産地指定制度には、栽培面積や収穫量の規定、醸造法やアルコール度数など、大変厳しいルールが設けられています。
リベラ・デル・ドゥエロの原産地呼称は、イスマエル・アロヨをはじめとするリベラ・デル・ドゥエロのワイン生産者、そしてブドウ畑とワイン醸造に関わる全ての関係者が行動を起こしたことで実現しました。厳しい基準をクリアし、農水省がリベラ・デル・ドゥエロの原産地呼称を認め、最初の承認をしたのは1982年7月のことです。
統制委員会が創設されて以来、リベラ・デル・ドゥエロでは新しい栽培方法の実施や、醸造に関わる最新技術の導入を続け、現在では「近代スペインワイン発祥の地」と言われています。
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カスティーリャ・イ・レオンに残るワインの歴史
カスティーリャ・イ・レオン州には、ワイン造りに関係する遺跡がいくつか残されており、古くからワインが生活において特別なものだったことを証明しています。
パディージャ・デ・ドゥエロにある遺跡では、2500年ほど前からワインが造られていたことがわかる「ワインの残留物」が見つかっており、 古代から人々はワインを造り、消費していたことが確認されています。
1972年、バニョス・デ・バルデアラドスではローマ時代の建造物が偶然発見されます。いくつかの部屋がある建物の中に、ギリシャ神話に登場する、酒や豊穣の神「バッカス」を描いた、見事なモザイクで飾られた一室が見つかります。66平方メートルもあるそのモザイク画は、イベリア半島で見つかった「バッカス」がモチーフの作品の中では最も大きいものだと言われています。
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バルソティージョ ティント ホベン
【商品情報】
商品名 |
バルソティージョ ティント ホベン (Valsotillo Tinto Joven) |
生産者 |
ボデガス・イスマエル・アロヨ(Bodegas Ismael Arroyo) |
地域 |
カスティーリャ・イ・レオン州(Castilla y León) |
ビンテージ |
2022 |
生産国 |
スペイン |
ブドウ品種 |
ティンタ・デル・パイス(テンプラニージョ)【平均樹齢30〜90年】100% |
おすすめ料理 |
赤身肉のステーキ、ビーフシチュー、うなぎの蒲焼き、チェリーパイなど |
発酵容器 |
ステンレススティールタンク |
発酵期間 |
8〜10日間 |
発酵温度 |
26~28℃ |
度数 |
14.5% |
テイスト |
フルボディ |
飲み頃の温度 |
14∼16℃ |
容量 |
750ml |
バルソティージョ ティント ホベン (Valsotillo Tinto Joven)について
ティンタ・デル・パイス(Tinta del Pais)のみが植えられたブドウ畑は、日当たりの良い南向きの斜面に広がっています。ブドウの平均樹齢は約30年で、中には90年に達するものもあり、自然の力と人の手によって維持されています。
粘土石灰質、砂質の土壌はブドウに十分なミネラルを与え、十分な陽の光と昼夜の寒暖差が複雑な果実味を与えます。斜面に植えられたブドウは、伝統的なゴブレ方式で仕立てられており、手間はかかりますがブドウにとって理想的な環境。
収穫はブドウが成熟に達した時点で始まり、通常は10月初旬に行われます。手作業で厳しく剪定し低収量に抑えることで、凝縮した果実を収穫することができるのです。
発酵はブドウの果皮についた天然酵母で自然に始まり、8日〜10日程度続きます。自然の力と献身的な人の手によってバルソティージョ ティント ホベン (Valsotillo Tinto Joven)は造られています。
味わいの特徴
濃いダークチェリーレッドの色調で、ワインの淵は紫がかっており若々しさを感じさせます。レーズンを思わせる凝縮された甘い香りの中に、ブラックペッパーのようなスパイシーさがあり、複雑で豊かな芳香が特徴的。口に含むと、香りに負けない果実味と凝縮感があり、後味にはカラメルのようなほろ苦いニュアンスも感じられます。
バルソティージョ ティント ホベン (Valsotillo Tinto Joven)は、若々しく透明感のある味わいでありながら、しっかりとしたタンニンと長い余韻を楽しむことができる、バリュー感のある赤ワインです。
おすすめのペアリング
凝縮感があり、優しい酸味のバルソティージョ ティント ホベン (Valsotillo Tinto Joven)には、赤身肉のステーキやビーフシチューなど、しっかりとした味のお料理が好相性です。ステーキのソースには、ワインの香りにも感じられる黒胡椒やベリーを使うと、よりマッチしますよ。
トマトを使ったお料理と合わせるのもおすすめです。野菜をトマトで煮込んだラタトゥイユや、チリンドロンというトマトを使ったスペインの郷土料理も、酸味がワインと調和してとても良く合います。酸味の穏やかなタイプの赤ワインには、補うように酸味のあるものを合わせると、お食事全体のバランスが良くなるのでぜひお試しください。
ボデガス・イスマエル・アロヨ(Bodegas Ismael Arroyo)について
ボデガス・イスマエル・アロヨ(Bodegas Ismael Arroyo)は、原産地呼称リベラ・デル・ドゥエロ(D.O. Ribera del Duero)の中心部、ソティージョ・デ・ラ・リベラの町にある家族経営のワイナリーです。
このワイナリーは、まだ原産地呼称が存在しなかった1979年に設立され、創立者であるイスマエル・アロヨ氏は、少数のワイン生産者と協力して、原産地呼称リベラ・デル・ドゥエロ(Ribera del Duero)を創設するために奮闘し、1982年に見事実現させました。
ワイン造りの伝統は400年に渡りアロヨ家に受け継がれてきたものであり、16世紀に作られた地下ワイナリーには岩を掘って作られた1,200平方メートルの地下回廊があり、そこにはアロヨ家のワイン造りへの献身の歴史を見ることができます。
まとめ
今回は、ボデガス・イスマエル・アロヨ(Bodegas Ismael Arroyo)が手がける赤ワイン、バルソティージョ ティント ホベン (Valsotillo Tinto Joven)をご紹介しました。
ボデガス・イスマエル・アロヨ(Bodegas Ismael Arroyo)は、中東の高級ホテルでも選ばれているほどの高品質なワインを生み出す生産者です。透明感がありながらしっかりとしたタンニンがあり、開けてから2日目も美味しく楽しめる、リベラ・デル・ドゥエロらしい赤ワインをぜひ一度味わってみてください。