カスティーリャ・イ・レオン州の世界遺産・お肉とワインと観光と カスティーリャ・イ・レオン州の世界遺産・お肉とワインと観光と

カスティーリャ・イ・レオン州の世界遺産・お肉とワインと観光と

スペインにある17の州の内、最大の広さを誇るカスティーリャ・イ・レオン州(Castilla y León)。

カスティーリャ(Castilla)は、ラテン語で「城」の複数形を表すカステラ(Castella)という言葉が由来で、「城塞が多い国」を意味します。

この地域は旧カスティーリャ(Castilla la Vieja,カスティーリャ・ラ・ビエハ)と長い間呼ばれていましたが、1983年にカスティーリャ・イ・レオン州として再編されました。

旧カスティーリャには、現在はラ・リオハ州(La Rioja)になっているログローニョ(Logroño)も含まれていたそうです

カスティーリャ・イ・レオン州内には8つの世界遺産がある他、リベラ・デル・ドゥエロ(Ribera del Duero)やトロ(Toro)、シガレス(Cigales)など、有名なワイン産地もいろいろあります。

スペインの中では存在感が薄い印象もありますが、観光するにはおすすめの州と言えるでしょう。

サンティアゴ巡礼の途中で立ち寄れるカスティーリャ・イ・レオン州の世界遺産

スコルニワイン  カスティーリャ・イ・レオン州

最初にご紹介する世界遺産・サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路:カミーノ・フランセスとスペイン北部の巡礼路群(Caminos de Santiago de Compostela: Camino francés y Caminos del Norte de España)は、1993年に世界遺産に選ばれました。

カスティーリャ・イ・レオン州にあるのは、フランス人の道(Camino francés,カミーノ・フランセス)のレデシージャ・デル・カミーノ(Redecilla del Camino)からラ・ラグーナ・デ・カスティーリャ(La Laguna de Castilla)間の約930の構成要素です。

フランス人の道のルート上で1・2を争う大都市であるブルゴス(Burgos)には、1984年に世界遺産に選ばれたブルゴス大聖堂(Catedral de Burgos)もあります。

スコルニワイン  カスティーリャ・イ・レオン州

ブルゴス大聖堂は、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路の構成要素の1つにも選ばれている、2重登録世界遺産です。

13世紀から18世紀にかけて建てられたゴシック建築(Gothic)の大聖堂は、セビージャ(Sevilla)、トレド(Toledo)の大聖堂に続き、スペインで3番目の広さを誇ります。

外観はフランスゴシックの影響が強く、荘厳な雰囲気ですが、内部はスペインゴシックらしく装飾にあふれています。

ブルゴス大聖堂の見どころとしては、

15世紀に建てられた高さ 84 メートルのツインタワーが両脇にそびえる、サンタ・マリア広場(Plaza de Santa María)に面した「赦しの門(Puerta del Perdón)」

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シモン・デ・コロニア(Simón de Colonia)がイサベル様式で15世紀に完成させた礼拝堂で、星形に透かし彫りされたドーム天井など、装飾が随所に施され、大聖堂内で最も美しい礼拝堂といわれる「元帥の礼拝堂」(Capilla de los Condestables)

イタリア・ルネサンスの影響を受けながら、ディエゴ・デ・シロエ(Diego de Siloé)が16世紀に完成させ、後年、パリ・オペラ座(l'Opéra)の階段のモデルとなった「黄金の階段(Escalera Dorada)」

1240年代に完成した最も歴史がある門で、古典的なゴシック様式で彫られたキリストや使徒たちの彫刻群が見逃せない「サルメンタルの門(Puerta del Sarmental)」

大聖堂内の身廊と袖廊が交差する場所(Crucero, クルセーロ)に位置する、エル・シッド(El Cid)ことロドリーゴ・ディアス・デ・ビバール(Rodrigo Díaz de Vivar)と妻ヒメナ(Doña Jimena)の

などが挙げられます。

エル・シッド(1043年ころ~1099年)は、ブルゴスから北に約10km向かったビバル・デル・シッド(Vivar del Cid)生まれの、レコンキスタ(Reconquista,キリスト教徒によるイベリア半島の再支配)で活躍した英雄です。

観光後にバル(Bar)巡りをするならば、サン・ロレンソ通り(Calle San Lorenzo)がおすすめです。

内陸部にあるブルゴスは、肉料理のタパスメニューが充実しています。

豚の血入りのブラッドソーセージであるモルシージャ(Morcilla)、スライスしたパンの上にウズラの卵の目玉焼きとピメント(pimento)、スパイシーなチョリソーをのせたコホヌード(Cojonudo)とコホヌードとほぼ同じで、チョリソーの代わりにブラッドソーセージをのせたコホヌーダ(Cojonuda)などが、ブルゴス名物です。

1912年創業のレストラン・カサ・オヘーダ(Casa Ojeda)では、ソロミージョ(Solomillo ,サーロインステーキ)や子羊のローストなど、ボリュームのある肉料理が堪能できますよ。

肉料理には、肉と相性の良い、カスティーリャ・イ・レオン州産の赤ワインを合わせて召し上がってみてください。

さて、世界遺産に話を戻しましょう。

ブルゴスから東に約15kmの場所にあるアタプエルカ(Atapuerca)は、アタプエルカの古代遺跡(Sitio arqueológico de Atapuerca)として、2000年に世界遺産に選ばれました

シエラ・デ・アタプエルカ(Sierra de Atapuerca,アタプエルカ山脈)の洞窟では、これまで、130万年前(名称未定)、85万年前(ホモ・アンテセッサー,Homo Antecessor)、50万年前(ネアンデルタール人以前の旧人類, Preneandertal)、5万年前(ネアンデルタール人, Homo Neanderthalensis)の人骨とホモ・サピエンス(Homo Sapiens)の人骨が発掘されています。

アタプエルカは、ナバーラ(Navarra)王ガルシア4世(García IV)とカスティーリャ王フェルナンド1世(Fernando Ⅰ)が1054年に兄弟対決したアタプエルカの戦いの戦地としても知られているため、先史時代(旧石器時代など)から中世以降に至る、長い期間の遺跡が残されています。

フランス人の道からは、左にそれて約3kmの場所にあるので、巡礼の途中に立ち寄ってみるのも良いでしょう。

フランス人の道のルート上にあるポンフェラーダ(Ponferrada)から南西に約20kmの地点には、1世紀に古代ローマ人が金を採掘していた鉱山跡である、ラス・メドゥラス(Las Médulas)があります。

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ラス・メドゥラスは、1997年に世界遺産に登録されました。

ラス・メドゥラス村にある考古学センター(Aula Arqueológica)では、鉱山に関する展示資料を見られる他、金の採掘現場だったラ・クエボナ(La Cuevona)やラ・エンカンターダ(La Encantada)を巡るガイド付きツアーも開催しています。

ラス・メドゥラスを一望できる約8km 離れたオレジャン展望台(Mirador de Orellán)を訪れるならば、木々が黄色く色づく、秋の夕日が沈む時間がおすすめです。

ラス・メドゥラスの近くには、古代ローマ人がぶどう栽培を始めたワイン産地・ビエルソ(Bierzo)もありますよ。

中世に繁栄を極めた世界遺産の3つの都市

続きまして、中世に栄えた3つの都市をご紹介します。

サラマンカは、サンティアゴ巡礼路の1つ「銀の道」(Vía de la Plata)のルート上にある、古代ローマ人が築いた都市です。

サラマンカは、サラマンカ旧市街(Ciudad vieja de Salamanca)として、1988年に世界遺産に選ばれました。

旧市街には、サラマンカ大学(Universidad de Salamanca)、貝の家(Casa de las Conchas)、旧カテドラル(Catedral Vieja)、新カテドラル(Catedral Nueva)、マヨール広場(Plaza Mayor)などの構成要素が点在しています。

1218年創立で、オックスフォード大学(University of Oxford)やパリ大学(Université de Paris)、ボローニャ大学(Università di Bologna)と共にヨーロッパで最も権威のある大学に選ばれたサラマンカ大学。

プラテレスコ様式(Estilo Plateresco)のファサードが見どころで、このファサードの中に紛れ込んでいるカエルの彫刻を誰にも頼らずに発見すると、1年以内に幸せと結婚が叶うのだとか。

運試しで探してみるのもいいですね。

壁面にサンティアゴ巡礼のシンボルであるホタテ貝の貝殻が400個近く埋め込まれた「貝の家」は、もともとはサンティアゴ騎士団員(Orden Militar de Santiago)用の家として、15世紀に完成しました。

現在は、図書館として使われています。

ロマネスク様式(Romanesque)の旧カテドラルと16世紀から18世紀にかけて建てられた新カテドラルでは、イエロニムス(Ieronimus)というツアーに参加すると、普段あまり見ることができない屋上やテラスなど、両カテドラルの隠れた名所を見学することができます。

イエロニムスは夜にも開催されているので、一味違ったカテドラルの魅力を発見したい方は、ぜひ参加してみてください。

マヨール広場は、フェリペ5世(Felipe V)の依頼で1755年に建築家アルベルト・デ・チュリゲラ(Alberto Churriguera)とその弟子が完成させた、四方をバロック様式(Baroque)の建物で囲まれた広場で、スペインで最も美しい広場として知られています。

マヨール広場に面した建物の1階部分はお店になっているので、ワインを飲みながら、一息入れるのも良いですね。

続いてご紹介するセゴビアは、セゴビア旧市街とローマ水道橋(Ciudad vieja y acueducto de Segovia)として、1985年に世界遺産に選ばれました。

スコルニワイン  カスティーリャ・イ・レオン州

紀元前50年ころに完成したローマ水道橋は、166のアーチと120本の石柱から構成される、2層アーチ構造の水道橋です。

高さは最も高い場所で28m以上あり、スペイン最長の水道橋としても知られています。

接着剤などは使わず、石を積み上げただけで造られていて、19世紀までは現役で使われていました。

ローマ水道橋と共に世界遺産に選ばれた旧市街には、

 12世紀以降、マドリード(Madrid)に王宮が置かれるまでは王族の居城として使われていた、映画「白雪姫」の城のモデルの城としても知られるアルカサル(Alcázar)

 スペイン最後のゴシック様式大聖堂であるカテドラル(Catedral)

などの構成要素があります。

世界遺産の構成要素に含まれているマヨール広場周辺は、レストランやバルが集まるグルメスポットです。

セゴビア名物の「子豚の丸焼き」(コチニーリョ・アサード, Cochinillo Asado)が食べられるお店もありますよ。

ちなみに、D.O.リベラ・デル・ドゥエロ(Ribera del Duero)のパゴ・デ・カラオベハス(Pago de Carraovejas)は、ボデガ直営のレストラン(Restaurante Ambivium,レスタウランテ・アンビビウム)の子豚の丸焼きに合わせるために造られたワインです。

レスタウランテ・アンビビウムでは、5大陸3000種類以上のお酒を食事と組み合わせるテイスティングメニューなどを提供しています。

セゴビアからは車で約1時間の距離にあるので、セゴビアを観光した前後に訪れてみるのも良いかもしれません。

セゴビアから南西に約1時間の場所には、アビラの旧市街と塁壁の外の教会群(Ciudad vieja de Ávila e iglesias extramuros)として1985年に世界遺産に選ばれたアビラ(Ávila)があります。

1年中裸足で過ごし、様々な神秘体験をしたことで知られる聖女テレサ(Santa Teresa ,テレサ・デ・ヘスス(Teresa de Jesús)とも呼ばれる)がかつて住んでいたアビラ。

長さ約2.5kmで、約90の塔と9つの門を持つ、11世紀に造られた城壁(Murallas)

12世紀から14世紀にかけて建てられた、スペイン最古のゴシック様式大聖堂であるカテドラル(Catedral)

聖女テレサの生家跡に17世紀に建てられたサンタ・テレサ修道院(Convento de Santa Teresa)

スコルニワイン  カスティーリャ・イ・レオン州

などが世界遺産の構成要素に選ばれています。

 城壁外では、

27年間、聖女テレサが修道女として過ごしたエンカルナシオン修道院(Monasterio de la Encarnación)

1562年に聖女テレサが初めて設立したサン・ホセ修道院(Convento de San José)

なども構成要素になっています。

アダハ川(Rio Adaja)をはさみ旧市街の対岸にあるクアトロ・ポステス(Cuatro Postes)のビューポイントからは、旧市街を一望することができますよ。

旧市街の中心部メルカド・チコ広場(Plaza Mercado Chico)周辺のお菓子屋さんでは、聖女テレサにちなんだイエマス・デ・サンタ・テレサ(Yemas de Santa Teresa,イエマス・デ・アビラ(Yemas de Ávila)とも呼ばれる)という、卵黄を使ったお菓子を購入することができます。

アビラ牛のステーキ(Chuletón,チュレトン)もアビラの名物です。

レストランで「デグスタビラ」(DegustÁvila)というランチセットを頼むと、2つの名物をセットで楽しむことができますよ。

カスティーリャ・イ・レオン州唯一の自然遺産でブルーチーズと赤ワインを

スコルニワイン  カスティーリャ・イ・レオン州

次にご紹介するカルパチア山脈とヨーロッパ地域の古代及び原生ブナ林(Bosques antiguos y primarios de hayas de los Cárpatos y otras regiones de Europa)は、ヨーロッパの18ヶ国にまたがる世界遺産で、スペイン国内の構成要素は2017年に追加されました。

カスティーリャ・イ・レオン州には、2つの構成要素があります。

どちらもピコス・デ・エウロパ国立公園内にあるブナ林(Hayedos de Picos de Europa)です。

クエスタ・フリア(Cuesta Fría)のブナ林は、ピコス・デ・エウロパ国立公園内の西側・山塊の南斜面(Vertiente Leonesa,レオネサ斜面)に位置します。

アストゥリアス州(Asturias)との州境に近いソト・デ・サハンブレ(Soto de Sajambre)からベガバニョ牧草地(Vega de Vegabaño, ベガ・デ・ベガバニョ)を経由して、行くことができます。

世界遺産に登録されているのはブナ林ですが、幹周りが8m以上ある、樹齢500年以上の「ロブロン・デ・クエスタ・フリア」(Roblón de Cuesta Fría)と呼ばれるオーク(Roble)が、クエスタ・フリアのブナ林の一番の見どころです。

カナル・デ・アソーティン(Canal de Asotín,アソーティン運河)のブナ林は、アソーティン運河の中央付近にあり、最寄りのコルディニャネス(Cordiñanes)からは徒歩約50分で到着することができます。

羊飼いや地元の人がかつて歩いていたリエンダ小道(Senda de la Rienda, センダ・デ・ラ・リエンダ)を通る必要があるため、登山初心者はアクセスしにくい世界遺産ですが、人があまり足を踏み入れなかったこともあり、特に紅葉時期の景色は素晴らしいです。

なお、ピコス・デ・エウロパ国立公園内のポサダ・デ・バルデオン(Posada de Valdeón)は、ブルーチーズ「ケソ・デ・バルデオン」(Queso de Valdeón)の産地です。

ポサダ・デ・バルデオンのレストラン「エル・デスバン・バルデオン」(EL Desvan Valdeon)では、ケソ・デ・バルデオンなどレオン産チーズの盛り合わせを、カスティーリャ・イ・レオン州産を中心とした赤ワインと共に楽しむことができます。

ピコス・デ・エウロパ国立公園を訪れる際には、ぜひ立ち寄ってみてください。

終わりに

カスティーリャ・イ・レオン州では、文化も自然も美食も楽しむことができます。

夏は酷暑・乾燥、冬は厳寒、と気象条件が激しい土地ではありますが、それだからこそ素晴らしいワインが生み出されるのかもしれません。

観光に訪れるならば、紅葉やワインの収穫時期にあたる秋がおすすめです。

旅行が自由にできるようになったら、旅行を検討してみてはいかがでしょうか。

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