スペイン北東部、カタルーニャ州タラゴナ県にあるプリオラート(Priorato)は、リオハ(Rioja)と並んで2009年に特選原産地呼称D.O.Ca.に認定されたスペイン屈指の名釀地です。
プリオラート(Priorate)のワイン造りにおける歴史は古く、12世紀に修道士によってブドウ栽培がもたらされました。
修道士たちはタラゴナの地を開墾し、その一帯やブドウ畑を管理していたことから、修道院=プリオラート(Priorat)という地名がつけられたという説や、修道院の領地や修道長を指すプリオラ(Prior)から名付けられたという説があります。
今回は、歴史ある産地プリオラート(Priorato)の生産者、セジェール・バィ・リャック (Celler Vall Llach)が手掛ける赤ワイン、ポレラ・ビ・ダ・ビラ バィ・リャック(Porrera Vi de Vila Vall Llach)をご紹介します。
過疎地だったプリオラート(Priorato)
プリオラート(Priorat)で修道士たちが造っていたワインはとても力強く、当時からそのワインは広く知られていたそうですが、時代とともにワインの生産は減少していき次第に過疎化していきます。
タラゴナの北西、モンサン山脈の山間部にあるプリオラート(Priorat)は、起伏のある山地地形のため、急斜面や段々畑にブドウの樹が植えられており、一部の畑では機械を入れることができず、全てを手作業で行わなくてはいけない厳しい環境でした。
伝統的に造られてきた力強い味わいのワインは時代とともに需要が減っていき、過酷な環境での農作業は担い手が次第に減っていきます。そして、遅れてやってきたフィロキセラがブドウ畑に甚大な被害を与え、住民の流出に拍車をかけたのです。
その後ブドウ畑を再興するための動きは無いまま、プリオラート(Priorat)は過疎化の一途を辿ります。
復活の兆し
プリオラート(Priorat)の地が再び注目されるようになったのは1980年代後半のことです。
プリオラート(Priorat)を一躍名釀地にし、特選原産地呼称D.O.Ca.認定のきっかけとなった、スペインワインの革命児「プリオラートの4人組」をご存知の方も多いのでは無いでしょうか。
プリオラート(Priorat)の土地が持つ可能性に着目した外部の若い醸造家たちが、もともとプリオラート(Priorat)で栽培されていたカリニェーナ(Cariñena)とガルナチャ(Garnatxa)、他の外来品種と合わせて、ブドウ栽培・ワイン醸造をはじめたのです。
彼らがプリオラート(Priorat)に感じていた可能性の一つが、山地の特徴的な気候とリコレリャ(Llicorella)と呼ばれる土壌です。
気候と土壌
プリオラート(Priorato)は、地中海性気候で比較的温暖な地域です。
山地が海からの湿った風を遮ることで空気が乾燥し、その乾燥がブドウを病害から守り、水分を求めてブドウが根を深くまで伸ばす役割を果たしています。
プリオラート(Priorat)の特徴である粘板岩土壌「リコレリャ(Llicorella)」は、ブドウ栽培に理想的な「痩せた土壌」「水はけが良い」といった条件を満たしており、プリオラート(Priorat)の気候に合った理想的な土壌だったのです。
また、リコレリャ(Llicorella)には太陽の熱を反射する特徴があり、ブドウの成熟や色付きを助け、乾燥期に適度な水分を保持できるという点も、良いブドウ・高品質なワインを生み出している理由のひとつです。
ポレラ・ビ・ダ・ビラ バィ・リャック(Porrera Vi de Vila Vall Llach)
【商品情報】
商品名 |
ポレラ・ビ・ダ・ビラ バィ・リャック(Porrera Vi de Vila Vall Llach) |
生産者 |
セジェール・バィ・リャック (Celler Vall Llach) |
地域 ブドウ生産地 |
カタルーニャ州 D.O.Ca. プリオラート(D.O.Ca. Priorat) |
ビンテージ |
2017 |
ブドウ品種 |
カリニェーナ(Cariñena)58%、ガルナチャ(Garnatxa)42%【樹齢80 - 100年】 |
おすすめ料理 |
赤身肉のグリル、牛ほほ肉の煮込み、ジビエ、ビターショコラ など |
発酵容器 |
フランス産オーク樽及びステンレスタンク |
発酵期間 |
17日間 |
発酵温度 |
20~29℃ |
度数 |
15.5% |
テイスト |
フルボディ |
飲み頃の温度 |
13∼16℃ |
容量 |
750ml |
ポレラ・ビ・ダ・ビラ バィ・リャック(Porrera Vi de Vila Vall Llach)について
“これらのブドウの樹は異なる時代のもので、まさに私たち「ポレラ・ビ・ダ・ビラ バィ・リャック(Porrera Vi de Vila Vall Llach)」の個性を決定付けるもの”
ポレラ・ビ・ダ・ビラ バィ・リャック(Porrera Vi de Vila Vall Llach)に使用される、ポレラの偉大なカリニェーナ(Cariñena)種のブドウは、樹齢80年〜100年のブドウから造られます。
樹齢の高いブドウの樹は地中の奥まで根を伸ばし、リコレリャ(Llicorella)土壌から栄養を吸収します。若い樹に比べ実をつける数は少なくなっていきますが、ひとつの房に栄養が集まり、他では経験できない凝縮感のある味わいとなります。
味わいの特徴
深みのある紫がかった濃い色調で、鼻を近づけるとレーズンのような香りに、アンズやミント、追ってスパイスのような複雑なニュアンスが広がります。
口に含むと、しっかりとしたタンニン、凝縮感ある果実味、厚みのあるボディと長い余韻を感じられます。
グラスに注いだ瞬間のジューシーなブドウの果実を思わせる香り、口に含んだ時のミネラル感、全体を引き締める酸味のバランスが良く、長期熟成にも十分に耐えられる上質な赤ワインと言えるでしょう。
おすすめのペアリング
ポレラ・ビ・ダ・ビラ バィ・リャック(Porrera Vi de Vila Vall Llach)は、果実味、渋み、酸味のバランスが良い、大変上質な赤ワインです。酸味が穏やかなので、赤身肉を使ったグリルや、牛頬肉の赤ワイン煮込み、ビーフシチューやジビエなどに合わせていただくのがおすすめです。
グリルや煮込み料理には、たっぷりのチーズでコクを足したマッシュポテトなどを添えると、よりワインを引き立ててくれます。付け合わせやソースはしっかりとした味付けにすると良いでしょう。
酸味が穏やかで、後味にカカオのような余韻を感じさせるポレラ・ビ・ダ・ビラ バィ・リャック(Porrera Vi de Vila Vall Llach)には、ビターショコラやタルト・タタンなどのデザートとも好相性です。
生ハムやチーズなど、ワインに合うおつまみにはどれもマッチします。ぜひ、食中酒だけでなく食後酒としても楽しんでみてくださいね。
セジェール・バィ・リャック (Celler Vall Llach)について
プリオラートで最高峰と認められた名高い生産者で、栽培から瓶詰めまでのワイン造りにおいて、厳格に高品質なワインを生み出すことを重要視しているワイナリーです。
セジェール・バィ・リャック (Celler Vall Llach)は、Enric CostaとLluis Llachによって、1990年代初頭にカタルーニャ州南部タラゴナ県の村、ポレラ(Porrera)に設立されました。
葡萄栽培から瓶詰めまでの各工程において、徹底した管理を行い、常に品質を保つことを目的に、ブドウ畑の管理されたマイクロ生産に取り組んでいます。
現在は、Enric Costaの息子、Albert Costaが監督を務めており、品質に対するこだわりの他にも、ワインの製造過程で生まれてしまう「ブドウの搾りかす」などの廃棄物を最大限に活用し、ワインに含まれるポリフェノールから「抗酸化化粧品」を造るプロジェクトを行うなど、環境にも配慮した取り組みが注目されているワイナリーです。
まとめ
今回は、セジェール・バィ・リャック (Celler Vall Llach)が手掛ける赤ワイン、ポレラ・ビ・ダ・ビラ バィ・リャック(Porrera Vi de Vila Vall Llach)をご紹介しました。
土地や品種、ワイナリーによって年数は様々ですが、ワイン用のブドウの樹はその寿命を迎える前に植え替えがされます。ブドウの樹の寿命は長いですが、それでも樹齢80年〜100年のブドウの樹はかなりの長寿ですよね。
地勢と土壌はもちろん、丁寧な人の手があってこその「長寿なブドウ」。
そんなブドウから造られる、「ポレラ・ビ・ダ・ビラ バィ・リャック(Porrera Vi de Vila Vall Llach)」を、この機会にぜひ味わってみてください。