自然派ワイン・ナチュールワインの定義とは?ヴィーガンとビオディナミとナチュールの違い 自然派ワイン・ナチュールワインの定義とは?ヴィーガンとビオディナミとナチュールの違い

自然派ワイン・ナチュールワインの定義とは?ヴィーガンとビオディナミとナチュールの違い

ヴィーガンやビオディナミ、ナチュールなどにカテゴライズされるワインは環境問題や美容や健康に意識の高い方を中心に、年々注目度があがっています。 

ただ、改めて「ヴィーガン」と「ビオディナミ」、「ナチュール」の違いについて問われると、はっきりとは答えられないという方も多いかもしれません。

今回は「ヴィーガン」と「ビオディナミ」、「ナチュール」とはそれぞれどのようなものなのかについて解説し、おすすめのスペインワインも併せて紹介していきます。

 

ヴィーガンについて

ヴィーガン(Vegan)とは日本語に訳すと「完全菜食主義者」という意味になります。そのため、ヴィーガンの人は動物由来の食品を食べないだけでなく、革製品などの動物性の製品を使わず、動物の搾取をおこなわない、という考えを持っています。 

イギリスの「ヴィーガン協会(The Vegan Society)」によって1944年にヴィーガンという言葉が作られた背景には動物の権利運動が深く関わっています。現在では環境保護の観点や美容、ダイエットや健康のためにヴィーガンを実践する人も多いようです。

ヴィーガンと混同されやすい言葉にベジタリアン(Vegetarian)という言葉があり、これは「菜食主義」を表す言葉です。ベジタリアンには動物の肉を食べないだけで卵や乳製品、蜂蜜などを食べる人もいれば、一切の動物性食品を食べない人まで、いくつかの段階があります。つまり、ヴィーガンはベジタリアンの中でもかなり厳格な部類、というふうにくくることもできるのです。 

もしワインにヴィーガンの表示があった場合はワインの醸造過程で、一切の動物製品の使用や動物の搾取が行われていない、ということになります。そのため、ワインの濁りを取り除くための「清澄剤」として、卵白や動物が含まれているものは使われていません。そのかわり、鉱物から作られるベントナイトや珪藻土をフィルターとしてワインを濾過したり、時間をかけて自然に沈殿させて濁り成分を取り除くなどの製法が用いられます。

 

おすすめのヴィーガン認証スペインワイン

モルスカ ブランコ(Mollusca Blanco)

バレアレス諸島(Islas Baleares)のマヨルカ島(Mallorca)南に位置するボデガス・ヴィ・レイ(Bodegas Vi Rei)のヴィーガン認証を受けた希少なワインです。柑橘系のアロマに新鮮なハーブの香りがあります。土着品種のヒロ・ロスや地中海で歴史的に栽培されてきたマルヴァジア(Malvasia)のほか、シャルドネ(Chardnnay)とソーヴィニヨン・ブラン(Sauvignon blanc)がブレンドされ、それぞれのぶどうの個性が生かされた果実味と複雑さが味わえる1本です。

マヨルカ島は年間10ヶ月ほどが晴天という「地中海の楽園」と呼ばれるぶどう栽培には非常に条件の良い土地です。モルスコスとは地中海に多く生息する軟体動物を意味する言葉です。

 

ラス・エルマーナス オーガニック  〜姉妹のワイン〜 (Las Hermanas Organic)

スペイン南東部ムルシア(Murcia)州のD.O.フミージャ(Jumilla)で長年家族経営されてきたボデガス・ルソンのユーロリーフ認証(EUオーガニック認証)のオーガニックワインで、ヴィーガンの認証も受けています。赤系果実の香りやスミレの花のような魅力的で華やかなモナストレル(Monastrellまたはムールヴェードル)100%の赤ワインです。フルーティさがたっぷり味わえ、渋みと酸味のバランスが良く、飲みやすい1本です。

 

 

ビオディナミについて

ビオディナミ(Biodynamique)とはオーストリアの哲学者で科学者のルドルフ・シュタイナー(Rudolf Steiner)による1942年の農業講座の内容を基礎とした農法です。「すべての生命は地球上だけで完結しているのではなく、地球を含む宇宙の営みからも影響を受け、調和しながら生きている」という考えをもとにしていて、畑を生きた生命体としてとらえ、自然に植物の抵抗力を高めるとされています。 

ビオディナミでは化学肥料や除草剤、農薬や殺虫剤を使いません。そう聞くと、

「無農薬農法やオーガニック 農法とはどう違うの?」

と思う方もいるでしょう。無農薬農法は化学肥料や除草剤、農薬や殺虫剤のような薬剤を用いない農法のことを指します。また、オーガニック農法でも農薬や化学肥料を使わず、肥料には動物の堆肥や植物由来の肥料を使うなどし、自然の力を活かして作物を作ります。たしかに、ビオディナミとの違いはわかりにくいかもしれません。

ただ、ビオディナミには非常に特異的な特徴がいくつかあるのです。

まず、ビオディナミの大きな特徴としてプレパラシオン(préparation)と呼ばれる独自の調合剤を使うことがあげられます。

 

プレパラシオンは以下の9種類があります。

500番・・・雌牛の糞(雌牛のツノに糞を詰めて土の中に入れて冬に作る。薄いで希釈し散布する。)

501番・・・水晶の粉(砕いて雌牛のツノに詰めて6ヶ月土の中に埋め、希釈し散布する。)

502番・・・セイヨウノコギリソウの花(アカシカの膀胱に詰めて一冬寝かし、夏に撒く。)

503番・・・カモミールの花(秋に牛の小腸に詰めて春に播く。)

504番・・・イラクサの腐葉土(乾燥させ、使用時に煎じて播く。)

505番・・・オークの樹皮(樹皮を細かく砕いて牛か馬の頭蓋骨に詰めて一冬寝かせる。)

506番・・・タンポポの花(牛の腹膜に詰めて一冬越したもの)

507番・・・セイヨウカノコソウの花(絞った汁を発酵させて使用。)

508番・・・スギナ(陰干しして乾燥させ、煮出して使用。)

 

そして、ビオディナミでは独自の農事暦を参考にしてプレパラシオンの攪拌や使用、作物の収穫などの時期を決めます。ビオディナミの農事暦は惑星や星座の位置、月の満ち欠けなどに基づき、種まきの時期や収穫などのスケジュールが細かく決まっています。そのため、ビオディナミワインはぶどうの収穫や澱引き、瓶詰めなどの作業を天体の動きに則っておこない、造られているのです。他のワインにはない、どこか神秘的な魅力があるような気がしますね。

 

おすすめのビオディナミ製法のスペインワイン

アルミラル マグナム(Armilar Magnum

アルト・ペネデス地方(Alt Penedès)でビオディナミを実践しているエウダルド・マッサナ・ノヤ(Eudald Massana Noya)のマグナムサイズのカヴァ(Cava)です。加糖を一切おこなわずにぶどうの自然な糖分だけで仕上げたブルット・ナトゥレ(Brut nature)です。リンゴや柑橘のアロマ、はちみつやトーストのような甘く香ばしいニュアンスがあります。ほど良い酸と泡があり、優雅な仕上がり。使用されているぶどう品種はマカベオ(Macabeo)62%、チャレロ(Xarel-lo)21%、シャルドネ9%、パレジャーダ(Parellada)8%です。

アルミラルとは球面に恒星の天球上の位置を示した「天球儀」の意味です。15〜19世紀のヨーロッパにおいて普及した天文具で、天文学が重要な要となっているビオディナミ製法にこだわりのあるオーナーが名だたる天文学者達の貢献を称え、付けた名称なのです。

 

ナチュールについて

ナチュール(Nature)とは「自然な」という意味の言葉で、ヴァン・ナチュール(Vin Nature)とは「自然派ワイン」といった意味です。

実はヴァン・ナチュールには明確な定義はありません。無農薬やオーガニック農法で育てられたぶどうを使ったワインや、ビオディナミワイン、減農薬農法(リュット・レゾネ/Lutte Raisonnee)で作られたワインなど、できるだけ自然に沿った農法や醸造方法で造られたワインをひとくくりにヴァン・ナチュールとすることが多いようです。

しかし、細かく挙げると、ブドウの栽培では有機農法で栽培し、人の手でこだわって少量を栽培、ひとつずつ目でチェックして手摘みする、など。醸造から瓶詰まででは、安価な工場生産ワインと違って酸化防止剤を添加しない、着色料を使用しない、ブドウがもつ天然の酵母を利用して醸造する、などの特徴があります。



まとめ

「ヴィーガン」と「ビオディナミ」、「ナチュール」とはそれぞれどのようなものなのかについて解説し、おすすめのスペインワインも併せて紹介しました。この記事がヴィーガンやビオディナミなどのワインをより深く楽しむきっかけになれば幸いです。

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