一般的に、ワインは料理と一緒に飲むものだと思われています。でも、ワインはデザートと一緒に楽しむこともできるのです。「甘いものとワインって合うの?」と思われるかもしれませんが、ヨーロッパでは古くから甘いデザートとワインなどのアルコール類を一緒に楽しむ習慣があるのです。
今回はいくつかのデザートとワインの組み合わせの例と、それぞれのデザートに合うスペインワインも紹介します。
デザートとワインの組み合わせのおすすめ4選
アップルパイやピーチなどの焼き菓子+カヴァ(Cava)
アップルパイや、ピーチなど、フルーツを使った甘酸っぱい焼き菓子にはカヴァがよく合います。フルーツの甘酸っぱさを甘さと酸味を感じさせるカヴァがより引き立ててくれるのです。
アップルパイやピーチなどの焼き菓子と合う、おすすめのカヴァをご紹介します。
薔薇色がかったピンク色がデザートの時間をより華やかに楽しく彩るピノ・ノワール(Pinot Noir)100%使用のカヴァです。ブルットとはほとんどドサージュ(Dosage/加糖)しないで造られる辛口のカヴァの意味です。辛口ですが、ラズベリーやざくろなどの赤系果実の甘い香りと、フローラル系のアロマやチェリーキャンディのニュアンス、りんごを思わせる味わいがアップルパイなどの甘酸っぱさにぴったりです。また、優しく穏やかな泡立ちもデザートとよく合います。優雅さと親しみやすい魅力を兼ね備えたユーロリーフ(Euro Leaf/ヨーロッパの有機農業規則にしたがって生産された農産物であることを証明するマーク)認証のロゼカヴァです。アップルパイなどのほか、木苺のタルトなどのデザートに合わせるのもおすすめです。
このカヴァの造り手は1777年に創業したアルト・ペネデス(Alt Penedès)地方のワイナリー『エウダルド・マッサナ・ノヤ(Eudald Massana Noya)』です。エウダルド・マッサナ・ノヤの初代当主は17世紀から近隣の修道院にワインを献上していたほど、歴史が古いワイナリーです。1917年からは新しい品種のぶどう栽培とカヴァ造りに着手しています。現在の当主であるエウダルド氏は9代目にあたります。
ジュレ、シャンパンゼリーなどの清涼感のあるお菓子+白ワイン
ジュレやシャンパンゼリーなど、プルプルとしてみずみずしい、清涼感のあるお菓子にはすっきりとした白ワインを合わせるとより爽やかな味わいを楽しむことができるでしょう。
ジュレ、シャンパンゼリーなどの清涼感のあるお菓子に合うおすすめの白ワインをご紹介します。
キラキラと光るレモンイエローが爽やかな、スペインの固有種ゴデージョ(Godello)100%による白ワインです。柑橘系の爽やかなアロマで、ピーチやトロピカルフルーツのニュアンスがあり、清涼感のあるお菓子によく合います。フレッシュでたっぷりとした果実味にほどよい酸味があり、バランスの取れた味わいです。優雅なフローラルの余韻も楽しめ、デザートとのひとときを贅沢に演出してくれるでしょう。「O Luar Do Sil」とはスペイン語で「月の光」を意味します。
生産者のパゴ・デ・ロス・カペジャーネス(Pago de los Capellanes)はスペインの高級ワインの産地として名高いリベラ・デル・デュエロ(Ribera del Duelo)の代表的なワイナリーです。険しい起伏のある谷間の、独特な気候条件と土壌の豊富なミネラル分が特徴の地域にあり、表現力豊かなゴデージョが育つと評判です。1996年に設立して以来数々の賞を受賞していて、収量制限による高品質なぶどう作りを行い、世界中から高い評価を受け続けているワイナリーです。
ガトーショコラ、オレンジピールチョコ、チョコムースなど、チョコレートのお菓子+赤ワイン
ガトーショコラ、オレンジピールチョコ、チョコムースなど、チョコレートを使ったお菓子には、凝縮感のある赤ワインを合わせると、チョコレートの甘さと非常にいいマリアージュとなります。
ガトーショコラ、オレンジピールチョコ、チョコムースなど、チョコレートのお菓子に合うおすすめの赤ワインをご紹介します。
キラキラとしたルビーレッドが美しい、ガルナッチャ(Grenache)75%、テンプラニージョ(Tempranillo)25%の赤ワインです。さくらんぼやざくろなど、赤系果実のアロマに、グレープフルーツなど柑橘系のアロマもあります。スパイシーさもほんのりとあり、フルーツジャムのような甘いニュアンスがオレンジピールチョコなどのお菓子にマッチします。スムースな口当たりで、穏やかな酸とほどよいタンニンが特徴です。
造り手のボデガス・アラゴネサス(Bodegas Aragonesas)はアラゴン州(Aragon)のガルナッチャの原産地として知られるD.O.カンポ・デ・ボルハ(Campo de Borja)にあるワイナリーです。ガルナッチャの栽培は1954年から手掛け、ワイナリーは1984年設立です。現在もガルナッチャを中心に栽培し、ワイン学者の専門家チームと、ガルナッチャの著名な栽培者、醸造家などがタッグを組み、「多くの人に愛されるワイン造り」をモットーにしています。
濃いルビーレッドの、高齢樹のモナストレル(Monastrell)100%の力強い赤ワインです。熟した黒系果実のアロマに、ほのかなロースト感があり、チョコレートの甘さと苦味にぴったりです。スムースな口当たりに心地よいタンニンがあり、しっかりとしたボディとボリューム感がたっぷりと楽しめます。
生産者のボデガス・ルソン(Bodegas Luzón)はムルシア州(Murcia)D.O.フミージャ(Jumilla)に19世紀後半からワインを生産している伝統的な家族経営のワイナリーです。このワイナリーはスペイン領フィリピン、ルソン島に駐留していたドン・ホセ・デ・モリーナ(Don José de Molina)が娘のために設立しました。ぶどうの収量制限を行うことにより、高品質なぶどうを収穫、その後もきめ細やかなプロセスを経て優れたワインを生産しています。
バニラアイス+シェリー酒
バニラアイスにシェリー酒をかけ、アフォガート(Affogato)にして食べると、まるでラムレーズン入りのアイスクリームのような香り高い味わいを楽しめます。
バニラアイスにかけるのにおすすめのシェリー酒をご紹介します。
輝きのある淡い黄色の、古くからあるブランドのマンサニージャです。ドライで繊細なアロマ、すっきりとした清涼感がありフローラル系の香りが特徴です。口当たりがスムースで、ほんのりとした苦みと塩と花の味わいがバニラアイスクリームにぴったりです。100年くらい前からさまざまな賞を受賞しているため「Las Medallas(メダル)」という名を冠しています。5〜6年の熟成期間を経て造られ香り高いシェリー酒です。
生産者のエレデロス・デ・アルグエソ(Herederos de Argüeso)は1822年にレオン・デ・アルグエソ(León de Argüeso)によって設立されました。古いボデガから樽やシェリー酒を買い集め、樽は現在まで修理を重ねながら使用し続けています。すべてのマンサニージャがスペインを代表するワイン誌『ヴィーノス・エスパーニャ(VINOS DE ESPAÑA)』で賞を取るなど、その実力には定評があります。現在はアンダルシア州(Andalucía)サンルーカル・デ・バラメーダ(Sanlúcar de Barrameda)に3つのボデガを保有しています。
まとめ
いくつかのデザートとワインの組み合わせの例と、それぞれのデザートに合うスペインワインも紹介しました。いかがだったでしょうか?どれも絶妙!な組み合わせですので、ちょっと特別なディナーの後、または、気軽なおやつの時間、自分へのご褒美時間などにぜひ試していただければと思います。